8話 真夜中の魔術
こんにちは、あんなです!
今回はいつもより少し短いですが、お楽しみください!
眠れない夜は退屈だ。
何度目を閉じても、目は閉じるのを拒否するかのように、睡眠なんて必要ない、とでも言うように、いつのまにかパチッと開いてしまう。
その時、ルナは、夜そのもの、あるいは空間の奥底から、自分を呼ぶ声のような、抗い難い感覚を覚えた。その響きは耳ではなく、身体の芯に直接届くようだった。
(この声……外に行かなきゃ)
ムクッと起き上がり、すやすやと寝息を立てるみんなの足を踏まないように気をつけながら、外に出た。
(寒……ッ)
外に出た瞬間、攻撃的な冷たい空気が肌に突き刺さる。吐く息が白く、足が冷たい(そういえば、靴を履いてこなかった)。
歯をガチガチ鳴らしながら、ふと考える。そういえば、ミスター・Xはどこで寝ているのだろう。みんなが寝ている部屋にはいなかった。
(……あ、いくらあいつでも、寝る時ぐらいは仮面をはずすよね? 素顔を、寝顔を拝めるってコト? よしよし、見てやろうじゃないの)
ルナは鼻息も荒く、周りを見渡した。
その時、夜空が目に入り、彼女は息をのんだ。
「……綺麗………」
美しい星空を目にして、ルナは得体の知れない責任感のようなものに包まれた。
まるで、星や月の、女王のような――。
届くはずもない星に手を伸ばし、願った。
「……美しい夜の世界に、祝福を」
ルナの身体がぼうっと光り、その光が空にのぼっていく。
「……わた、し、は、何、を、やってるんだろう」
ルナは、ハッと我にかえり、たどたどしく言葉を発した。
しばらく悩んだ末に、ルナは「自分は寝ぼけているのだ」という判決を下した。全く眠くもなんともないということについては、目をつむることにした。
その時、ふいにどこからか視線を感じ、ルナは周りを見渡した。ミスター・Xも外に出ていたことに気がつき、何か挨拶でもしようかと考えていたら、男が指を鳴らした――。
「あれ? 私、こんなところで何してるんだ?」
ルナが必死に思い出そうと試みたら、少しずつ思い出すことができた。
「……えーっと、私、眠れないから外に出て……不思議な、魔法みたいなこと、したんだよね。その後、誰かに会ったんだけど……うーん、誰だっけ」
その時、ふいにどこからか視線を感じ、ルナは周りを見渡した。ミスター・Xも外に出ていたことに気がつき、何か挨拶でもしようかと考えていたら、男が指を鳴らした――。
「あれ? 私、こんなところで何してるんだ?」
おお寒。どうしてこんなところにいるのかはわからないけど、とりあえず、ここにいると寒くなる。というか、もうかなり寒い。早くあのボロ小屋に戻ろう。
小屋に戻って、ベッドに潜り込んだら、すぐにまぶたが重くなってきて、数秒で眠りに落ちた。
いかがでしたか?
男が使ったのは、記憶を消す魔術ですね。
ナニシヤガル、コノヤロウ!




