14話 光と影
こんにちは、あんなです!
なろうチアーズ、参加してみました!
「サイラス……貴様、この娘に何も教えていないのか?」
ルミナは冷ややかに尋ねた。それに対して、サイラスはしゃあしゃあと答えた。
「ええ。教える必要など少しもないと判断しましたからね」
ルミナは不快そうに首を振った。
「ならば、その判断はまちがっている。全てのものは、ハッキリと、輝いていなければならないのだ。曖昧で、暗い嘘を吐いてはいけない。不安定な感情や愛情は捨てなさい。質問には正直に答える」
「おや、女神様。その知識を披露してくださる必要はございませんよ。誰も望んでいない真実など、ガラクタと大差ないのですから」
サイラスが言ったが、ルミナは無視することにした。
「私は誰かと聞いていたな。私は、ルミナ・アウレア、“太陽の支配者”だ。貴様はルナ・エリア、“月の支配者”で間違いないな?」
ルミナが当然のことのように言うので、ルナは泣きたい気持ちになった。
(もう! 胡散臭い誘拐犯のオジサン(ダークマスク)も空から現れた怪しいピカピカした女の人(ルミナ)も、どうして私の名前を知ってるの? 怖いって! 私にプライバシーってもんはないの!?)
だがルナは、にこっと笑って、言った。
「そう、私がルナよ。でも、夜のなんとかっていうのは、なんのことかわからないわ」
「さもありなん。サイラスは貴様に何も説明していないようだからな、私が説明してやろう」
ルミナは苦々しげに言った。サイラス少し困ったように、皮肉を言った。
「舞台のルールをご存じないようですな、ルミナ様。貴女が真実をベラベラと明かしてしまっては、このゲームが成り立ちませんでしょう? 道化の楽しみを奪わないでいただきたい」
ルミナはサイラスを一瞥しただけで、話し始めたので、サイラスは、呆れ顔でさらに皮肉った。
「ああ、始まりましたよ。全てを曝け出さないと気がすまない、退屈な先生の授業がね……」
「まず、この世界には“月の支配者”と“太陽の支配者”がいる。
“月の支配者”は“夜の支配者”や“深淵の支配者”などと呼ばれることもある。“太陽の支配者”は、“光の支配者”や“黎明の支配者”などという呼び方もある。“太陽の支配者”というのは、異世界に太陽が見えているところ全てを、支配することができる者だ。そして“夜の支配者”というのは、ファンタジア レルムの夜を支配することができる者である。私がその“太陽の支配者”で、貴様は“夜の支配者”なのだ」
ルミナの言葉を聞いた途端、ルナは頭の中で「ないないない」と繰り返した。だれか、ドッキリだって言ってよ、とどうでもいいことを考えながら、手のひらをシャツにすりつけた。必死に笑って誤魔化そうとしたが、顔の筋肉が石のように固まって動かない。
「……そ、そんなの、私じゃない。勝手に決めないでよ……! 私は闇の支配者なんかじゃない。やめて、私は……」
ルナは喉の奥から声を絞り出した。だが、返ってきたのは冷たい言葉だった。
「……愚かですね。貴様の否定など、真実の前では無意味です。私は貴様の感情には、一切関心がありません」
そして、視線を空に向けた。
「太陽は、いつか必ず、夜を滅ぼします。貴様が現実から目を背けているのも、そう長くはありません」
冷たく笑って、さらに続けた。
「せいぜい、私の準備が整うまで、その力を無駄遣いしていなさい」
ルミナが身を翻し、その姿が夜の闇にゆらめいて、静かに、そして優雅にその場から消え去った。
いかがでしたか?
次話「15話 夜の女王と信者」もお楽しみに! ブクマ、評価、コメント、リアクションお待ちしています。




