9話 記憶
こんにちは、あんなです!
遅れてしまって、すみません。今回もちょっと短めです。
恋愛描写とか、無理イイイイィ!
次に意識が浮上したのは、窓から日光が差し込み、部屋の中を明るく照らし始めた頃だった。太陽光線が顔に直撃し、ルナは熱さに呻きながら身体を起こす。ただでさえ寝起きでぐしゃぐしゃな赤毛を、窓から入り込んできた鬱陶しい風がさらに乱していた。
ゆっくりと周りを見渡せば、みんなが既に起きていることに気がついた。レイヴンは、既に顔を洗い、布団を畳み終えている。ベリーとジェームズも少し前に起きていたようだ。
ロジャーは、今起きたばかりのようで、ベッドの上で伸びをしながら太陽の光に目を細めていた。パッキャパキャの窓から入る風を浴びる彼の姿に、ルナの動きが止まる。憂いを帯びた赤い瞳と、風で後ろに流されている黒い髪を目にした瞬間、さっきまで鬱陶しかったあの風が、ロジャーの周りでは爽やかな朝の風に早変わりしたように感じられた。
「……お、おはよ」
ルナは真っ直ぐ見ることができず、斜め下に視線をそらす。目に入ったベッドシーツのシワについて真剣に考察していると、ロジャーが答えた。
「ああ、おはよう」
フッと微笑みながらこちらを向いたロジャーに、ルナは悲鳴をあげかけた。必死に押しとどめたが、心の中では抑えきれない。
(ぴゃああああああああ!!! ぴょおう! ぴぃゃあああああ!!!!!)
顔が熱くなるのを感じて、ルナはベッドにボフッと突っ伏した。
(もうホントに、何してんだろ……)
その時、ミスター・Xが部屋に入ってきた。
「おはよう、みんな。よく眠れたか?」
今日も黒い仮面と黒いローブを着ている。
(もうコイツの名前、ダークマスクでいいかも)
ルナがそんなことを考えていると、ミスター・Xはスタスタと歩いてきて、彼女の隣に座った。
一瞬、「この男は心を読むことができるのか」と疑ったが、その様子だと、彼女の若干失礼な思考回路を読んで何か言いに来たわけではないらしい。
「……昨夜は星空が綺麗だったな?」
探るような口調で、意味不明なことを聞いてきた。
「え……見てないけど」
ルナが素直に答えると、男はホッとしたように立ち上がり、にこやかに言った。
「そうか、それは残念だ。綺麗だったんだぞ」
「へー……」
(いきなり、なんなんだろう。星が綺麗だったとか知らないし。オレは見たぜ、っていう自慢? だとしたら、相当ウザいよ、ダークマスク……)
ルナは心の中で毒づいた。
ルナはフードをかぶった。なぜかはわからないが、あの巨人の一件以来、自分の赤毛を隠したいという、強い衝動に駆られたのだ。
いきなりフードをかぶりだしたルナに気づいて、ベリーが話しかけてきた。
「ルナ?どうかした?」
「う、ううん。なんでもない」
(心配も、迷惑も、かけたくない)
しかし、強い違和感が彼女を襲う。何か忘れてる。何かが足りない。何かを奪い取られてる……。
「あっ……」
パズルのピースがはまっていくように、頭の中で足りなかった記憶が埋まっていく。夜中に外に出たこと。夜に呼ばれた感覚。星空の下で光を放ったこと。そして――ミスター・Xが指を鳴らしたこと。
全てを思い出して、ルナはフードを深くかぶりなおした。隠すべきは、髪の色ではない。この秘密そのものだと悟ったからだ。
いかがでしたか?
これから「ダークマスク」定着させていきまーす♪




