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刀に映る物語のその先で(仮)  作者: 湊川 琥珀
出会いと盃
3/3

2.兄妹

ちゃんと続けられる様に頑張るぞい\\\\٩( 'ω' )و ////

できればどんなものでも良いのでご意見頂けるとものごっつ喜びます。


p.s.文字書くのって1時間にどれくらい書ければ早い方なんですかね……?


アスマがロミルの後ろを着いていき大通りを歩いているとアスマの眼には数多くの風景が移ろっていく。そこにあるのはアスマの故郷とは違う光景ばかり。今まで旅の途中で寄った街でも見たことはあるが未だアスマはこの光景に慣れずにいる。キョロキョロ周りを見まわすアスマを振り返ったロミルはくすくす笑いながら通りにある店を紹介していく。


「あれはこの街で1番美味しいって評判のパン屋さん。あっちは武器屋さん。その横にあるのは小物屋さん。この通りのをもっと行った先にはこの街で1番おっきな商会のマディース商会と冒険者ギルドや高級街があるんだ。その先にこの街の領主であるブローネ男爵様のお屋敷があるんだよ」

「この街を統治してるということはブローネの一族のやつらは強いのか」

「ブローネ男爵様ね。貴族様の事を呼び捨てにしちゃダメだよ。強いかぁ〜どうなんだろう、別に強いからこの街を統治しているわけじゃないし。強いかどうかは知らないけど男爵様はお優しい方だよ。月に一度貧民街の住民に炊き出しをしてくれるんだ」

「そうか。おい、そっちは通りと違うぞ」


ロミルはアスマの問いに答えながら大通りを外れ、人が多くいた大通りとは全く違う薄暗く細い人が見当たらない通りの奥へと向かってゆく。


「大丈夫だよ。言ってなかったけどこっちに僕の家があるんだ」

「こんな薄暗い通りにか。まさか、お前…………貧乏なのか……」

「ははははは、そうなんだよね。お礼とはいえこんなとこまで連れてきてごめんね。帰る時はさっきの大通りまでまた案内するからさ」

「いや、別にそれはかまわんが……ワシに渡したパンは貧民なら大事な食糧だったんじゃないのか。」

「失礼だなっ僕たちが貧乏だといってもそこまでお金がないわけじゃないよ。パンを買うお金くらいあるから心配しないで」

「ならばいいが…………」

「そんな気にしないでよ、パンくらいでさ。話してたらあっという間についたね。ここだよ僕の」


そういってロミルは貧民街の一角にある小汚い小さな平屋を一軒指差した。


「小さな家で汚いけど、入ってよ。精一杯のおもてなしするからさ。」


ロミルが家の戸を開けながらアスマを招き入れる。

アスマが中に入って見てみると外と比べて中は綺麗にされていて物が整頓されている。まあ、整頓というよりかは物が少ないから部屋が綺麗とも言えるが。その部屋の片隅に一つのベットが置かれており、その上に誰かが寝そべっていた。


「あそこで寝ているのが僕の妹のネーアだよ。今は寝てるからお話しするのはちょっと待っててくれる?」

「分かった。ここの机の椅子に座ってていいか」

「うん。そこに座っててよ。僕はちょっと買い物に行ってくるからさ。」

「おい、ワシを置いていくんか」

「すぐ戻るよ。その帰りにギルドによってキミが気になってる情報も聞いてくるかさ。」

「分かった。早く戻ってこい」

「じゃあ、行ってきます」


そういってロミルは買い物に出かけて行った。一人残されたアスマは椅子に座り腕を組み目を瞑る。この家にいてもやることがないため、これからのことを考えているのだ。


これからどうするべきか。アスマは思案を巡らせるが良い案は浮かばない。ロミルの妹に旅の話を聞かせこの家から出た後にまた道端で野宿する。明日になれば門が開くらしいのでこの街を出る。その後、近くの森に行き動物を狩る。そこまでは考えている。しかし、それ以降の考えがまとまらない。ロミルが言っていた冒険者になれれば良いのだろうが銭が足りない。それに銭がないので街から出たらもう街に入れないだろ

う。そう考えるとこの街から出たらもう銭を稼ぐこともままならない。だったらこの街からでるのは得策でないように思える。ロミルにこの街中で出来る仕事を紹介してもらうべきだろうか。しかし、戦闘しか自信がない自分ができる仕事が街中であるとは思えない。となればやはりこの街を出るしかないのか。考えれば考えるほど自分の選択肢がなく詰んでいるようにしか思えない。悪い方向にしか考えが回らないためアスマは考えるのをやめる。一息つこうと目を開けるとじっとこちらを見つめている少女が目に映った。アスマがベットの方向に目を向けるとベットで上半身を起こしている少女と目が合う。しばらくそうしていると少女の方からアスマに話しかけた。


「こんにちは。あ、兄の知り合いの方ですか。」

「ああ、ロミルの……ロミルの……知り合い、だと思う」

「ふふ、ずいぶん曖昧なご関係ですね」

「今日会ったからな、関係性が築けるほど一緒に過ごしておらん。まあ、命を助けられた仲だ」

「ああ、では路地裏に倒れていた少年とはあなたのことだったんですね。」

「あいつはそんなことまでお前に話しているのか」

「はい、兄さんはその日にあったことを寝る前に私に何でもお話してしてくれます。」

「そうなのか、それにしてもお前の喋り方は丁寧だな。平民とは思えん」

「体調が良い日には兄に教会に連れて行ってもらっていますから。修道女さんの口調が移ってしまって」

「そうか……」


アスマとネーアの会話は全然弾まない。当たり前である。アスマは口数が多い性格ではないしネーアは物静かな少女だ。二人の会話が弾むはずが無い。ネーアは頑張って会話でなぜかいない兄の代わりにもてなそうとはしているが相手がアスマということもあり頑張りは結果に繋がらない。


「兄はどこに行ったんでしょうか」

「知らん」


「今日は良い天気ですね」

「ああ」


「……朝ご飯を食べても良いでしょうか」

「好きにしろ」

「その……申し訳ないのですが机の上にある籠を取ってくださいませんか?」

「分かった」


アスマが自分の目の前にある籠をベットにいるネーアに手渡す。籠にはパンが一つ入っていた。


「ありがとうございます」


ネーアはお礼を言って籠を受け取り籠の中のパンを取り出しパンを半分に分けその片方を籠に戻しもう片方を口に運び小さく齧る。その様子を見てアスマが口を開いた。


「パン半分しか食べないのか。半分じゃ足りないだろ」

「あんまり裕福って訳ではないので私たち家族は1日ひとつのパンで生活しているんです」

「……パンを買うくらいの銭はあるのでは無かったのか」

「いえ、そんなことはないです。1日にパン1つ食べるだけでもカツカツで家計は大変です。でも、兄さんには感謝してます。身体が不自由な私を養ってくれているんですから。」

「お前らは親はいないのか」

「親は2年前に亡くなりました。腕のいい冒険者だったようなんですけどクエストに出て行ったきり戻って来なくて……」

「そうか……ワシは昨日も今日もお前の兄にパンを貰った。さっきの話から考えるにあれらは大事なパンだと思う。なのになぜワシにそのパンをお前の兄は渡したのだろうか」

「兄はあなたのことをかなり気に入っているからだと思いますよ。」

「今日会ったばっかりなのにか」

「それは一目惚れっていうものだと思いますよ。あなたはかっこよく見えますし」


そう笑うネーアを横目にアスマは考える。これはかなり大きな恩になってしまったと。普通の家庭ならパン二つ分など大したものではないがこの家庭にとってはかなりのものである。それにしてもなぜそこまでのものを自分に渡したのだろうか。ほんとにただの優しさなのだろうか。だとすればかなりのお人好しである。自分の食事を削ってまで人を助けるとは。


「お前の兄はとんだお人好しだな」

「はい。兄さんはとても優しいんです。だからお金が無くても私たちは幸せに暮らせてるんです」


アスマの目にそう笑顔で答えるネーアがロミルに重なった。


「ワシは貰ったパンの礼に旅の話をお前に聞かせにここまで来た」

「そうなんですね。楽しみです!私は家からあまり出られないので外のお話が好きなんです」

「じゃあ話しちゃる。この街の外のこと」


ネーアの嬉しそうな様子を見てアスマは旅の話を話し始める。海というどこまでも果てしなく大きい塩辛い水で出来ている水溜まりを船に乗って渡って故郷からこの大陸に来たということ、野原いっぱいの花畑があったこと、大きい街に立派な城が建っていたことなど多くのことをネーアにアスマは話した。二人は楽しそうに旅のことをしばらく話した。ネーアは興味深く度の話に質問をし、アスマは記憶を辿りながら懐かしそうに話をしていた。二人の話が一段落すると日が傾き太陽が沈みかけていた。アスマはそれに気がつくと家の戸に目を向け言葉を投げかけた。


「おい、話は終わったぞ。隠れてないで早く出てこい」


アスマが喋り終わると戸が開きロミルが買い物かごを持って家に入ってきた。


「バレてたんだ。ごめんごめん。2人に仲良くなって欲しくてね。それにしても2人とも楽しそうに話してたじゃん」

「ええ、とても楽しかったです!」

「まあ、いい暇つぶしになった」

「そんなこと言ってすぐ妹と仲良くなっちゃうんだから」

「別にそんなんじゃない」


ロミルとアスマがそう話しているとネーアが何か気づいたようにアスマに喋りかけた。

 

「そういえば私、自己紹介していませんでした。ごめんなさい。ロミルの妹のネーアです。よろしくお願いします」

「ワシはアスマだ」

「2人ともあんなに楽しそうだったのに自己紹介してなかったんだ」

「ええ、話に夢中になってしまって」

「まあいいや、もう暗いし夜ご飯にしようと思うんだけどアスマも食べていくよね?今日はお客さんもいるし豪華にしようと思うんだ」

「いや、ワシは要らん。話は終わったし帰る」


ネーアからあんな話を聞いた後では夕飯をいただくことなどできるはずがない。

そんなアスマの心情を知ってか兄妹二人してアスマを引き留めた。


「良いじゃないか、今日はもう暗いしご飯くらい。そんな気を使わないでよ」

「そうです。あんなにたくさんのお話を聞かせてくださったんですからご飯くらい食べていってください」

「しかしあれはパンの礼で話したことだ。これ以上恩を受けるわけにはいかん」


アスマは頑なにご飯をいただこうとしない。そんなアスマを見てロミルは必殺の技を繰り出した。


「じゃあ、パンのお礼に一緒にご飯を食べようよ。妹と2人だけじゃ少し寂しいからさ」

「私もアスマさんとご飯食べたいです」

「…………それがパンお礼になるんじゃったらありがたくいただくとするが本当にいいのか。あまり家計は余裕ないんだろ」

「今日1日ぐらい大丈夫だよ。そんな大したご飯じゃないしね。パンとスープを作るくらいだから。あっどうせなら今夜泊まっていきなよ。うん、その方がいい」

「そこまでされるわけn

「パンのお礼」

「………分かった。そうさせてもらう。厄介をかける」

「やったね、ネーア。今日はいつもより賑やかになるよ」

「はい。とっても楽しみです」


そう、ロミルは気づいたのだ。無愛想に見えるこの少年は実は律儀で恩のためだと言えばこちらのいうことを聞いてくれると。

こうしてロミルは当初の予定通りアスマを自分の家に泊まらせることに成功した。


アスマが泊まることが決まるとロミルは台所で夕食作りを始めネーアはアスマとの話を再開させた。その時間はアスマにとって旅に出てから初めての安息の時間となった。なぜか心地よくずっとこうしていたいような気にアスマはなっていた。

アスマとネーアが話をしているといつの間にか夕食が出来上がりアスマたちは三人で机を囲み夕食を共にした。夕食はロミルが言っていた通りパン一切れと野菜が入ったスープ一杯だったが三人にとっては十分なご馳走であり、美味しくいただいた。夕食後は近くの井戸にアスマとロミルは身体を拭くための水を汲みにいった。普段からネーアは自分で背中まで拭けないためロミルが代わりに身体を拭いているという。二人が身体を拭いている間、アスマは家の外に出て自身の身体を拭き二人が身体を拭き終わるのを待って家に入る。その後は三人で時間も忘れて色んな話に花を咲かせた。アスマの旅の話の続き、ロミルの仕事の話、ネーアの体が治ったら何がしたいなど無口なアスマを少しでも喋らせるようにアスマを中心に話が進んでいく。


その三人の姿は仲のいい家族の様に映っていた。

 


ご覧いただきありがとうございますm(_ _)m

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