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刀に映る物語のその先で(仮)  作者: 湊川 琥珀
出会いと盃
2/3

1.路地裏の出会い

ちゃんと続けられる様に頑張るぞい\\\\٩( 'ω' )و ////

できればどんなものでも良いのでご意見頂けるとものごっつ喜びます。


p.s.最近ゲームを最後までできなくなってしまいました。飽き性でもできるゲームを探しています。どこにあるのだろうか...


アスマは今日もまた薄暗い路地裏で目が覚まし身体を起こす。昨日、パンを食べれたことで少し余裕がある腹持ち以外何も変わりはない。

 ....人の気配がする。昨日まではこの周りに人の気配一つ感じなかったのにあの曲がり角の先から人の気配を感じる。その後、足音が続いて耳に聞こえてくる。どんどん近づいてくる足音に警戒しながら視線を曲がり角に集中する。緊張感がユウヤを中心に漂う中、曲がり角からアスマより少し歳上に見える少年が顔を出しこちらに近づいて来る。ユウヤはその少年をさらに警戒しながら腰にある刀に手をかける。餓死しかけたアスマだが物取りと思える丸腰の少年に負けるほど落ちぶれてはいない。空腹で力を出せないとはいえ同じ世代に遅れをとる訳はない。そんなアスマの警戒を知らないようにその少年は座しているアスマの前まで歩みを進めアスマに合わせるようにしゃがみながら口を開いた。


「おはよう。良い朝だね」

「……」


その少年の挨拶にアスマは沈黙で返す。よく知らないヤツに応えてやる義理は無い。ただでさえ空腹なのだ。こんな事で無駄な活力を使う必要はない。まあ、元々アスマは口数が多くなく無口なことも理由の一端なのだが。アスマは危害を加えてくるまでは無視を貫くことにする。そんなアスマの様子を気にせずその少年はさらに話しかけてくる。


「昨日の夜に置いたパン食べてくれたんだ。少しは元気になった様でよかったよ。いやあ、びっくりしたよ。こんなとこで子供が倒れてるなんてさ。孤児の子は大体グループ作って生活してるし、孤児院の子ってわけでもないでしょ?」


ニコニコしながらアスマにとって無視できない言葉を放つ。驚いた、この少年が自分の恩人だったのか……

そうならば無視するわけにはいかない。アスマは逸らしていた顔を少年の方を向け目を合わせる。無視すると決めていたが恩人となれば話は別、受け応えすべきだろう。そう思いアスマは口を開いた。


「わしは孤児じゃない。旅人だ。昨日のパンは助かった。礼を言う……ありがとう」

「どういたしまして。そっか君は旅人なんだ。でも旅人ならこんな路地裏で倒れてたの?」

「それは……」


こいつ、つかれたくないところついてくる。路銀がなくなり餓死寸前だったなど自分の恥を応えたくない。しかし恩人からの問いを無視するなんてそんな恥知らずなこと武士である自分ができるはずはない。いや、するべきではない。喋るしかない。アスマは決心して重い口を開いて応えた。


「……路銀が尽きて行き倒れていた」

「そっか、大変な状況だね。じゃあ今日もこのパン食べるかい?」


少年はアスマの恥を笑うことなく昨日と同じパンをアスマに差し出してくる。なんなのだろうか、この少年は。なぜ自分の様な者を助けようとしているのだろうか。もしかして自分の刀と脇差を狙っているのだろうか。しかしこの刀は値打ちものではない。アスマの愛刀は國を出る時預けてきたゆえその代わりとなるものを旅の前に鍛冶屋で購入したのだ。自分の国ではどこにでも売っている様な一振りである。まあ、この国では刀を差している者を見たことがない。もの珍しいモノなので欲しいのだろうか。だが、どうせ自分は死にゆく者とはいえ武士の魂である刀を渡したくはない。しかし、恩がある。それを踏まえて考えればこの少年に刀を渡すべきなのだろう。アスマは葛藤する気持ちにけりをつけ刀を腰から抜き少年の前に置く。


「この刀をやる。昨日のパンの礼だ。だが、この刀は其方が欲しがるほどの値打ちは無いぞ。この国では珍しいモノだろうが……」


ほんとに渡すとなると量産品の刀とは言え流石に心にくるものがある。どうしても刀に未練の視線を向けてしまう。そんなアスマの姿は見て少年は笑いながら話す。


「ははは、刀が欲しくてパンをキミにあげるわけじゃないよ」


そう話す姿にアスマは余計にこの少年のことを計りかねた。ならばなぜこの少年は自分を助けるのだろうか。考えてもわからず少年に理由を問うた。


「ならばなぜ、わしを助ける。其方に利点などないと思うが。何を狙っておる」

「何も狙ってなんていないよ。そうだなあ、キミを助ける理由か……直感かな。キミを助けた方が良いと思ったんだ。まあ、たいした理由なんてないよ。それに人を助けるのに理由なんているのかい?」


そう話す少年はアスマにはとても輝いて見えた。自分はこんな風に人を助けることができるのだろうか。いや、できまい。なんせ今まで人助けなど考えたこともなかったのだ。そう考えると途端に自分が恥ずかしく思え、この少年を美しく感じた。自分が小さく見える。強くなることしか考えていなかった自分が。そんなことを考えているアスマなど気にも止めずに少年はさらに話しかけてくる。


「それで今日もパンいる?堅パンで申し訳ないけど」

「……欲しい。空腹の腹にはこのパンでも十分満足できる。ありがたい」

「そう。それならよかった。はい、どうぞ」

「かたじけない」


そう言ってアスマはパンを受け取る。本来なら武士として他人からの施しなど受けるべきではない。しかしアスマは少年の提案を拒否することなどできなかった。拒否すれば美しい少年の心意気を汚してしまいそうな気持ちになったからだ。

受け取ったパンを食べる。そのアスマの姿を見ながら少年はアスマに質問を投げかける。アスマはパンを食べながらできる限り少年の質問に答えた。


「どこから来たの?」

「……東雲」


「東雲ってどういう国なの?」

「この大陸の東にある島国」


「旅の目的は?」

「……言えない」

「えー、少しでもいいから教えてよ」

「強くなるため」

「じゃあこの剣はキミの武器なんだ。剣士なんだね」

「故郷では武士って言う。」

「そっか、武士か。その歳で凄いね。歳いくつ?僕は13なんだけど」

「八つ。今年で九つ」

「そうなんだ。僕より3つも下だね。僕の妹もそのくらいの歳だよ。あと1ヶ月で8歳になるんだ。」

「妹がいるのか」

「そうだよ。やっとキミから僕に話しかけてくれたね。嬉しいよ」


いつの間にかこちらから話しかけてしまった。この少年といると自分の中の何かが狂っていくのが分かる。こんな気持ちにさせる人物はこの少年で二人目である。アスマは故郷のある人物を思い出した。そういえばこの言葉にできないが美しい雰囲気もどこか似ている様に感じる。なぜこの人達は自分の価値観を変えてくるのだろうか。それは分からないが自分を変えられるこの感覚は嫌いではない。まあ好きでもないが。どうせ喋っているんだ。こちらから喋ってみるのも良いだろう。そう思いアスマも少年に質問をぶつける。


「……ワシからも問うてもいいか」

「いいよ。僕が答えられることならなんでも答えてあげる。」

「この街から出たい。だが門が開いておらん。どうすれば出られる」

「この都市から今出るのは難しいかな。でも明日になれば外に出られると思うよ。さっきギルドに寄った時、戦闘はもう終わって今は後片付けが行われているだけだと言っていたから」

「門の外で何があったんだ。それにギルドとは何ぞ」

「この都市周辺に大きなオーガの群れができてたらしくてね、それをこの都市の騎士や冒険者が討伐にでたんだよ。それで一様この都市内に討ち漏らしたオーガが入ってこない様に門を閉められてたんだ。あと、ギルドっていうのは冒険者ギルドの事だよ。旅しているなら冒険者ギルドに登録してると思ったけどしてないの?」

「しておらん。旅に出る者は登録するものなのか」

「そうだよ。ギルドに登録するとほとんどの領地の通行税が免除されるからね。まあその分、冒険者ランクが上がると緊急クエストは断ることができないんだけど。冒険者の義務だからね。」


少年の話を聞いてアスマは絶句した。今まで多く払っていた通行税はなんだったのか。その無駄金さえ払わなければここで生き倒れる事も無かったというのに。アスマは決意する。明日まで生き延びることができれば冒険者ギルドという所に登録してみようと。


「その様子だと知らなかったみたいだね」

「……情報に感謝する。明日、ギルドに行ってみる」

「ギルドに登録するにはお金かかるよ」

「……いくらくらいかかる。これで足りるか」


そう言ってアスマは懐から通行税のお釣りである全財産の銅貨を一枚見せた。


「これは銅貨だね。100シェケル。さっきのパン1つ分の価値。言いにくいけどギルドの登録料は5千シェケル。……つまり全然足りない」

「…………」


一旦冒険者になるのは諦めよう。まず、生きる事を考える事にする。でも外に出られるのは良いことだ。森にさえ行ければ動物を狩り腹を満たすことができる。その後のことは後で考えよう。今日さえ耐えれば大丈夫。希望が持てた分昨日までより生きる活力が湧いてくる。それもそうと目の前の少年に感謝を重ねなければならない。この少年のおかげで色んな情報を得られた。そう思いアスマは少年に感謝を口にする。


「助かった。明日この街から出ていく。この恩は忘れない。ワシにできることがあれば何でも言って欲しい。できる限りのことはさせて貰う。」

「うーん、特にして欲しいことはないかなあ」

「だが、このまま其方と別れるわけにはいかない。恩を受けておきながらそれを返さないとは武士の恥である。どうか恩を返させて欲しい。」

「そう言われてもなあ…」


 そう言って少年は考え込む。少し考えた後、少年は口を開いた。


「じゃあさっき言った妹にキミの旅の話を聞かせてあげてくれない?妹は身体が弱くてベットから出れないんだ。ほんとは僕が外の話をしてあげたいんだけど人に話せるような面白い経験したことないんだ。」

「ワシだって旅をしてきたとはいえ、面白い話ができるか分からんぞ」

「それでもいいよ。本当の旅の話を聞かせてくれれば妹も喜ぶと思うからさ」

「……分かった」

「じゃあそういうことで、僕の家まで行こうか。妹が待ってるからさ」


そう言って少年はアスマの目の前から立ち上がりアスマに手を差し出してきた。アスマはその手を取らずに立ち上がった。人の力を借りるのはできる限り避けたいのだ。それが些細なことだとしても。そんな様子のアスマを少年は苦笑しつつ受け入れた。


「つれないなあ。命の恩人なのに。」

「それについては感謝してる。だから早く行くぞ。其方の妹のところに」

「はいはい、こっちだよ」


そう言って少年はアスマを先導して歩き始めた。アスマはその少年について行こうとして歩みを止める。忘れていたが少年に大事なことを聞き忘れていたのだ。でも今更こんな事を聞けない。どうしたものか立ち止まり考えていると先導していた少年がアスマの元に戻ってきた。


「どうしたの?何も言わず立ち止まんないで欲しいんだけど」


声をかけてくる少年に覚悟を決めアスマは口を開く。


「…………其方の名前を聞いてなかった。教えて欲しい」


人に名前を聞くとはこんな恥ずかしいものだっただろうか。神妙な面持ちでそう呟くアスマを少しの間呆然と少年を見つめ、その後大きな声で笑い出した。そんな少年にアスマは顔を羞恥で赤くし声を荒げた。


「なっなにがおかしい」

「ごめんごめん。悪気はないんだ。ただそんなに真剣に名前を聞いてくる人にあったことなくてね。確かに僕たち自己紹介してなかったね。じゃあ改めて、僕は見習い冒険者のロミル。よろしくね。」


そう言い、アスマにロミルは手を差し出す。それに続きアスマは少し躊躇しながらロミルの手をとり名を名乗った。

 

「ワシは……アスマだ。武士をしている。宜しく頼む。」

「こちらこそ、アスマ」


ロミルはアスマが手を取ったことが嬉しくなりアスマと握手している手をブンブン振るがアスマは嫌そうにその手を離す。そんなアスマを見てロミルは苦笑いを浮かべた。


「じゃ、着いてきてアスマ。改めて家まで案内するよ」

「分かった」


2人は再び歩き出した。薄暗い路地裏を抜け日の当たる大通りへと。


こうしてアスマと異国の若者の物語が重なった。




「そう言えばアスマ、これは忠告だけど僕の妹がどんなに可愛いからって手を出さないでね。」

「出すわけなかろう」

「絶対だからね。約束だよ」

「分かった」

「本当に手を出さないでね。約束破ったら容赦しn

「分かったっていっておろうがっっ。安心しろワシには……いや、何でもない」

「え?アスマって好きな子いるの?ねえ、どんな子?ねえ、どんな子なの?僕にも教えてよ」

「うるさい、早く行くぞ」

「待ってよ。家そっちじゃないし、さっきの話の続きを教えてってば」

「やかましいっっっ」






2人の物語は重なった………………と思われる


 

ご覧いただきありがとうございますm(_ _)m

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