希月葵の哀歌
年のはじめの一月一日。
結婚の挨拶をするため、婚約者の実家に向かっていた。
地方工場の娘であると彼女は謙遜するが、漏れ聞こえる話からしてとてもそうは思えない。
かつての名家が現代での生業として工業を選び、一族経営での企業複合体となった、その本家の御令嬢……といったところであろうか。
二人並び、長く電車に揺られながら。
とりとめのない思考の海に沈んでいた。
貴女ほど賢い人を僕は知りません。
貴女ほど善き人を僕は知りません。
貴女ほど美しい人を、僕は――。
そも、何故に僕のような冴えない者を――。
珠に瑕の変態性慾でしょうか。ならば神仏に感謝の詔を。
あるいは、そう、すべてがただの、初夢だったのでしょうか。
結婚の挨拶をするため、婚約者の実家に向かっていた。
地方工場の娘であると彼女は謙遜するが、漏れ聞こえる話からしてとてもそうは思えない。
かつての名家が現代での生業として工業を選び、一族経営での企業複合体となった、その本家の御令嬢……といったところであろうか。
二人並び、長く電車に揺られながら。
とりとめのない思考の海に沈んでいた。
貴女ほど賢い人を僕は知りません。
貴女ほど善き人を僕は知りません。
貴女ほど美しい人を、僕は――。
そも、何故に僕のような冴えない者を――。
珠に瑕の変態性慾でしょうか。ならば神仏に感謝の詔を。
あるいは、そう、すべてがただの、初夢だったのでしょうか。
乙巳の本年 謹んで年頭の御祝詞を申し上げます
僕の産まれた日
2025/01/02 10:06
(改)