職場案内
「団長~っ!」
訓練場の入り口からいつもの門番さんが走ってきた。
「ルイーゼ、行くぞ。」
「え?あ、はいっ」
アレクシスは訓練を突如中止して、ルイーゼとともに門番と合流し、そのまま訓練場を出ていった。
「団長室にてすでにお待ちです。」
門番さんは歩きながらアレクシスに報告していた。
やっぱり団長だからお偉いさんなんだな~。
「早いな。まぁいい。その間ルイーゼに中の案内を頼む。」
「はっ!」
騎士団の詰め所に戻ると、アレクシスは3階に向かっていった。
「ルイーゼさん!詰め所のご案内しますね!さ、こちらへどうぞ!」
人懐っこい笑顔でルイーゼを誘導してくれる門番さんは、どこから案内しようかと考えながら進んでいるようだった。3階まであるし、結構広いよねここって。
「ここから始めましょうか。まず、1階には今からご案内する事務室と食堂、洗濯場、武器庫があります。2階には騎士たちのロッカーや休憩場、3階には団長室と客室、今は使われていませんが、副団長室があります。1階からご案内していきますね。」
部屋は少なそうだから、一部屋が広いのかな。1階がみんな集まれるところで2階が騎士たちの憩いの場ってところ?3階は、魔王(団長)の住処っと。副団長室が使っていないってどういうことだろう。
「副団長室は使っていないんですか?」
ルイーゼの質問に少し苦笑いをしつつ、口を開いてくれた。
「副団長のニコラウスさんは、団長にほぼすべての業務を依頼しているため、滅多にいないんです。
2階の騎士たちのところに基本いるんですよ。」
なるほどと納得した反応をお返しした。ニコラウスさん本人もアレクシスさんに任せてるって言ってたし、すごい割り切りだな~。ふふっ、ニコラウスさんらしいかも。
「ここは、僕たち門番が待機している場所です。ここは事務室としても機能していて、文官たちもここで書類仕事をしています。あとは僕たち門番は、各所からの報告連絡をすることが多いのでここにいろんな情報が集約されることが多いです。なので、騎士たちは基本的に立ち入り禁止なんです。」
自身の仕事に誇りをもっているように胸を張りながら、紹介してくれた。
「門番さんも文官さんのお仕事を?」
「はいっ!門番の仕事がメインですが、文官の仕事もちゃんとやっていますよ!結構字がうまくて人気なんです!」
「読みやすいとみなさん助かりますもんね。」
照れ笑いをして、次の場所に案内してくれた。
「ここの詰め所の食堂は、一番美味しいと評判なんですよ!料理人たちが毎日騎士たちのために栄養バランスも考えた食事を提供してくれています!ルイーゼさんもここで食べられますよ!」
一枚板でできているテーブルがいくつも並び、奥には広そうな厨房が見えていた。
床もテーブルもきれいに磨かれていて、食堂の清潔感は異次元なレベルだった。
「とても広くて、キレイですね」
「そうなんです!食堂は、汚く使うと出入り禁止になるんです・・・なので、余程緊急度が高くない場合は、騎士たちは基本的に土埃や汗を洗い流してから行くんです。」
門番さんは、目尻を少し下げながらルイーゼに食堂の入室方法を教えてくれた。すると奥から門番さんを呼ぶ声が聞こえた。
「マシュー!ちゃんとシャワーに入ったのか!あぁ?」
「ひぃっ!!!今日はキレイです!今は詰め所を案内中なだけですよぉ!」
肩を震わせ、目を閉じたまま厨房から聞こえた罵声に返答していた。ルイーゼは、目をぱちぱちをさせながら声の出所に顔を向けた。
門番さん、マシューって言うんだ。柔らかい髪質でふわふわしている茶髪で優しい感じがぴったりだ。
うん、可愛い。、
「なんだ、どこのやつだ。あ?」
目を細めながら料理人はルイーゼを見つめていると「思い出した!」と手を叩いた。
「嬢ちゃんもしかして、アドルフにスープの作り方を教えてやった子か?そうかそうか、騎士団にって言ってたけど、ここの配属だったんだな!ははは!こりゃいい!」
頭に?を掲げたまま、門番のマシューさんは料理人と私を交互に見ていた。
「ど、どいうことですか。ルイーゼさん。なんでこの人と関係があるんですか!」
「い、いや、あの方は知らないですね。」
「で、でも知ってるって・・」
わなわなと食堂の入口付近で震えているマシューさんは、私の後ろに隠れるように身体をズラした。
「嬢ちゃん、ジャンヌ様のところで世話になってるんだろ?」
「はい、あ・・アドルフ?」
「そう、俺はアドルフの弟でアンドレだ。嬢ちゃんのスープに頭悩ませてたぜ、アドルフ。」
「料理長の料理はとても美味しかったとお伝えください。」
確かにジャンヌさんのところの料理長はアドルフと言っていたはずだ。
兄弟どちらも料理人ってすごいんだな。なんとなく目元が似ている気がするかも?
「ここの所属となるなら、嬢ちゃんもここで食べられる。ぜひ俺たちの料理を食べていってくれ。」
「はい、楽しみにしています。」
アンドレは片手を振りながら、厨房の奥に消えていった。
「さ、次行きますよ!」
と涙を浮かべながら、案内を続けてくれた。




