confrontation
宇宙が生まれて間もない頃、神と魔王は数万年間戦っていた。
神と魔王が争った魔神戦争は、神の敗北によって幕を下ろした。だが、滅びを受け入れることなく、神は魔王を打ち倒すため、幾人もの人間を転生させ続けてきた。
雨が激しく降る夜、俺はコンビニへと向かっていた。
45歳、フリーター。積み上げるどころか、崩れ続けた人生。
俺は、そんな自分に嘆いていた。
そのときだった。
赤信号を無視して猛スピードで突っ込んできた車が、俺の身体を跳ね飛ばした。
「……つまらない人生だった……。いや、違う――」
「思い出した。これは、俺が望んだ人生だった。」
――目を覚ますと、目の前は闇だった。
完全な、深い闇。その中心に、ひとつの存在が立っていた。
神。
(この時を、どれほど待ったことか……)
神は穏やかに問いかけてくる。
「あなたは一度死にました。これまでのあなたの人生を見てきました。もう一度、やり直したいですか?」
俺は黙って杖を振り上げる。
「火炎魔法――ストラージ・ギガマンテ!」
最大火力の火炎魔法が神に直撃する。
続けざまに、雷、風、重力、あらゆる魔法を解き放つ。
神はたじろぎながらも結界魔法を張って応戦した。
「久しぶりだな、神様。」
「……貴様、ライルか。人間を転生させようと思っていたが、まさかお前とはな。」
「ああ、その件で迷惑してるんだ。どうせ神の力を授かっても、誰も魔王には勝てやしない。」
「……今までに何体か魔王は死んでいる。いつかお前を倒す転生者も現れるさ。」
「だったら――今ここで、お前を殺して終わらせる!」
空から、光の矢が降り注ぐ。
詠唱すら省いた、閃光魔法――ライルの得意とする魔法だ。
「……無意味だ。」
神はすべてを打ち消し、冷気の奔流を放つ。
氷魔法がライルを凍てつかせる。
ひるんだライルに対し、神が次なる魔法を詠唱する。
「いでよ、我が子たちよ……!」
次の瞬間、空間が裂け、数体の存在が召喚された。
見覚えのある顔。懐かしさすら覚える気配。
「久しぶりだな。――10億年ぶりか。」
それは、かつて神が創造し、魔神戦争で私と戦った
天使――クラーナー。
「これで、形成逆転だ...」
なぜか魔王ライルが放った一言だ。