はじまり
車に乗り二人は一息吐き廻子が話しかける。
「飲み物はある?私もうあんまり無いから買って行って良いかな?無いなら私が払うわよ」
「私は水筒にお茶入れてきたの大丈夫です。」
「そっか。じゃあ悪いけどちょっと付き合ってね。」
「勿論です。運転よろしくお願いします」
スーパーでアイスティーを買って、山部の研究室までナビを設定する廻子さん。
「30分かぁ。迷ったらごめんね。帝都が陽川の件があってから車を買えって五月蝿く言われて買ったんだけど、まだ慣れないのよねー。まぁ便利なんだけど。」
「結城さんと相変わらずラブラブですね」
「そう見えるのかぁ。。私は説教されまくってるからなぁ。アイツが迎えに来てたら何も無かったのになぁ」
「説教というより心配だと思います。廻子さんへの愛が強い言葉になってるんです」
「こんな事年下に言われてるから、アイツにこんなにも言われるのかなぁ?」
「私如きが言うべきじゃ無いんでしょうが、結城さんの想いは何となく分かります。九瑠璃に対して私も同じような事してしまってるかも、、」
「九瑠璃ちゃん元気なの?PTSDはどんな感じ?」
「たまにうなされてますが、起きてる時は息も上がらなくなってきた印象です。」
「結衣ちゃんといる安心感もあるだろうけれど、快くなってるみたいで良かった。」
「あの子は容易くやるから、心配は尽きないですよ」
「私は帝都にそんな感じで言われてるのかなぁ?」
「私は何も聞いて無いですし、九瑠璃と才田さんは違いますよー」
「そうかなぁ。なんか同じ空気感を彼女に感じるんだけど、、」
「正しさを曲げられない所は共通するところかもしれないですね。才田さんの方がずっとずっと大人ですが」
結衣は笑っている。
「こういう仕事してたらそうなっていくし、学生時代私も似たような事してたかもなぁ」
「九瑠璃が才田さんみたいになってくれたら安心です」
結衣は再び顔を綻ばせる。