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代行者  作者: ふみ
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序章2

人間は日々、幸福や希望、愛情を糧に生きている。しかしそれが無くなり絶望、怨嗟が心を満たした時、人は生まれ変わりこう呼称される「残穢」と。

残穢になった人間は、脳のリミッターが外れ超人のような力を手に入れる事が出来るが知性そのものを無くしてしまう。そんな奴らに引導を渡すのが「代行者」といわれる者である。

残穢の存在は子供達に秘匿されている。理由としては、精神が多感な時期にそのような存在を認知してしまうと残穢の数が増えてしまうことを国が懸念したからである。18歳になったと同時に残穢の存在を知らせ…

「お勉強終わった?」

「今中断させられた、というか3階は女子立ち入り禁止だろ」

話しかけてきたのは幼馴染…とはまた違う腐れ縁とも言い難い何とも表現しきれない

たまたまこの孤児院に入ってきたタイミングが同じだった、それだけ名前は「水無月陽香みなづきはるか」年齢は俺と一緒の18歳だ。

「バレなきゃ大丈夫!」

「年下が真似したら俺達が怒られるだろ」

「責任感強いねぇ」

「心理カウンセラー目指すんだからちゃんとしろよ」

「緩くてほわほわしてる方が話しやすいんじゃない?」

自分も陽香も残穢に両親を殺されこの孤児院に来た。俺は代行者という道へ、彼女は残穢になる前の人間を救う道を目指している。

「陽くん、もっと笑いなよいっつも堅苦しい顔してると気が滅入るよ」

「デフォルトなんだよこの顔が、それに面白い事が無いと笑えないだろ」

「ゲラゲラ笑うんじゃなくて何時もニコニコしてたら人受けも良いって話」

「こうか」

自分なりに笑ってみる。口角を上げて目を開いてこんな感じか?

「アハハ!口の端ピクピクして無理やり笑ってる感凄い!悪魔みたい!」

もうコイツの前で笑うのをやめよう絶対に。

「充分笑ったし私は2階に戻るよそれじゃ」

「気晴らしに来るなよ……」

「ねぇ…代行者になる夢は変わらないの?」

「あんな事はもう起きて欲しくないから」

「死ぬ可能性もあるんだよ…普通の人間が化け物と戦って勝ち続ける保証はないよ!」

「残穢に家族殺されたからこそ残穢を処理したい…殺されたままの思い出が風化していきたくないんだ」

「そっか…」

そう言って彼女は自室に戻って行った。

「疲れたし一旦寝るか」

このままだと集中出来ないし少しだけ寝て脳をリセットしよう。そう考えて布団に入った。目が覚めて時計を見ると23時を回っていた。晩御飯の時間が19時だから食べ損ねた…

「俺の分冷蔵庫にあるかな…」

1階の食堂に行き、冷蔵庫を開けると何も残ってない。風呂の時間も過ぎているが入らないと気持ち悪いし……

「火事です!火事です!」

警報が鳴り響くが出火場所が分からない。2階に上がろうとした瞬間、轟々と炎が襲いかかってきた。

「どうしたらいい…」

1人だけ避難し消防車を呼ぶ。今なら怪我をすること無く安全に呼べるが陽香達が生きる可能性は0に近い。水を被って炎の中に飛び込む?それで人は救えるのか無駄死にじゃないのか。何も選択出来ないまま時間だけが過ぎていく。

「家族…友達…羨ましいなんで私がやらないといけないんだ」

燃え盛っている2階からそんな事を言いながらナニカが降りてきた。人間を超えた背丈、身体から炎が吹き出しながらこちらに向かって歩いてくる。

ブツブツ呟きながら自分に目もくれずに

「オイ!お前誰なんだよそれに背負ってるの」

肩に担いで居るのは陽香だ。気絶しているのか何も反応は無い。

「貴方にあげる」

「は…」

渡してきたのはサッカーボールのと同じ大きさの真っ黒な玉。

「なんだよこれ…」

多分、いや絶対これは誰か頭部だ。だけどそれを認めたくない、また目の前で人が亡くなったという事実を受け入れたくなかった。

「あの人に気に入られるのは私だけでいいのに…」

「これ以上増えるのは見たくない…」

陽香の足を掴む?抱えてるアイツを殴る?とりあえずなにか行動しないと!ソイツの腕を掴んだ瞬間全身が燃えた、目を開けられない。熱い、熱い皮膚が焼けて肉が焼ける感覚がする!

「私をもっと見てほしい…なんで誰も見ないの」

そう言って大事な人を…陽香を抱えて淡々と外へ出ていった

「何なんだよ!また目の前で大事な人が消えていく!」

自分が無力で嫌になる、大事な人が2度も目の前で消えていく…俺の人生ってなんだ。

「失うもんか…2度と俺の手から失ってみせるもんか」

心の内にあるのか、憎悪、自分に対する呆れ、無力感そんな感情に支配され動けなくなった瞬間意識が落ちた。

目が覚めると真っ白な天井。

「おはよう」

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