第5話 ラブレター。
遅れました。すみません。
今日はやけに授業が長く感じる。それも仕方ない。だって放課後にラノベやギャルゲでしか有り得ないと思っていたビッグイベントが俺を待っているからだ。
陰キャで童貞の俺には少しばかり刺激が強すぎたのか授業に全く集中できない。まぁ。いつも寝てるんだけど。
しかし、誰が俺なんかにラブレターなんぞ送ってくるのだろうか。話したことのある女子……
挨拶って会話に入るのか?俺に話しかけてくれたと勘違いして反応してしまった場合…? もしそれらじゃない場合は一目惚れ?
あぁ。こりゃ一目惚れだな……。
イケメンは辛いぜッ……!!………………。
やめよう……自分の中で勝手に妄想して勝手に落ち込むの意味わかんねえ。
自分の中で解決しきれない俺は、悠に聞いてみることにした。もちろんだが悠では無かった。とすると本当に誰なんだ。それ以外のおなごなんて接点ないぜよ。
「まぁ。あゆむってクラスじゃ話題にも出ない空気だからねー」
面と向かってそう言われるとすごく傷つく。もうやだ私お嫁にいけない。ぴえん。
だとしたら、空気として見られてない誰か。というわけか。
結局何も解決しないまま、課外の7限目を終えた。
やっと放課だ。ドキドキと不安を抱えながら俺は直ぐに準備を整えた。
「あゆむぅ!」
隆也がウィンクをしてきた。悠のやつ。口軽すぎだろ。
今ので少し気持ちが楽になった。俺はゆっくり屋上へと向かった。
屋上の入口の扉を開いた。
初めて屋上に入ったかもしれない。結構広かった。
夕焼けに照らされる。眩しかった。
しかし、そこには誰もいなかった。