そのエルフには……
街に着いた俺とグリムは、早速情報を集めるついでに街の観光をしていた。
街には人だけではなく、なんと……。
「エ、エルフだ!」
そう、エルフがいて他にも、キャットピープルにウォーウルフ、ドワーフまでいる。
「ほほ~、いいいいいなぁ~」
「カイト様、テンションが上がりすぎでは?」
「何言ってやがる! 見てみろよ! 夢にまで見た世界が今! 目の前に!」
さも当然のように、日常を謳歌する多種多様な種族達。
普通に買い物をし、普通に食事をし、普通に生活をしている。
そう、ここではこの光景、景色……それが普通なのだ!
「ひゃっはー! 待ってろ俺のハーレム!」
「カイト様、まずは最初に情報収集をしませんか?」
「あぁ、それもそうだな……っは」
「どうかしましたか?」
しまったとんでもないことに気づいてしまった。
俺は唖然として、口をあんぐりと開けたまま、周囲からの異質なものを見るような視線を己が物だけとしながら……とんでもないことに気づいてしまった。
そうだ……。
「なぁ、グリム」
「は、はい! どうしましたか? 急にそんな真面目そうな声で……」
俺の事をとても心配そうに見つめるグリム、そんなグリムに俺は思った事をそのまま口にする。
「俺って、ここの言葉とかわかるか?」
俺がそう言った瞬間、グリムが心配して損したとでもいうかのように、顔をゆがませると。
「は?」
とだけ返してくる。
「いや! いやいや! いやいやいや! ちょー重要な事だろう! こっちの住民と会話ができなきゃ!」
俺が言い切る前にグリムが「あっ」とだけ声を上げて。
「そうですね、情報収集以前に会話がままならないですよね……」
「ん? 情報収集? 何言ってんだお前?」
「え?」
「会話ができないと、美少女と楽しくお話ができねーじゃねーかよ!」
「あなたこそ何を言ってるんですか?」
グリムが俺を心底呆れたって目で見てくる。コワい!
なんて鋭い眼光だ、さすが死神……睨み殺されそうだ。
もう一回死んでるけど……。
「カイト様?」
「はい、何でしょうか?」
「ハーレムもいいですけど、まずは先に情報収集をしましょう……ね?」
ひぃぃ、近い! 美少女! 近い! 怖い! 美少女……でも怖い!
額と額がくっつきそうなほどに、顔を近づけて来たグリム……さすがは死神なだけにとんでもない殺気だ~。
これ以上ふざけてると、また天に召される。
「す、すみません! 情報収集の方が大事ですよね!」
「分かったならよろしいです。こちらの言語に関してですけど……まぁアンヘル様が相当抜けてなければ魔法陣に言語の習得を記入しているはずです」
「そっか、それならまずは最初に誰かに話しかけてみましょう」
グリムがそういうので、俺は誰か話しかけられそうな人物を軽く探すと……。
「よぉ、そこの美人なエルフさん」
俺は金髪長髪で巨乳な美少女のエルフに声をかけた。
このエルフが、俺の異世界生活を乱すすべての現況になるとも知らずに……。
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んじゃね!