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4-16.非日常:お祭り前日。

〇望〇


「という訳で、美怜がミリィにつきっきりで寂しい」


 いつも通りのお昼の時間が終わり、会話になる。

 明日が夏休み最終登校日ということもあり、夏休みの予定に浮かれた話が時折聞こえてくる。


「平沼ちゃん、授業中も携帯を操作してて先生に怒られそうになってたしな。

 しかし、祭り用の出し物でAIとはな……」

「僕もあそこまでキチンとしたAIがパソコン研究会で組まれているとは思わなかったね?

 最初はお父さんに頼むつもりでいたから」


 正直、嬉しい想定外だ。

 全く遜色がないどころか、頼もうとしていたモノより性能が良い。

 自信作のコピーだと言っていたが、本家はどんなことになっているか興味がある。

 さておき、


「ミリィ、今日の晩御飯の献立考えて?」

『検索。

 ゴザールでサバが安いです。

 照り焼きとかどうでしょうか?』

「サバなら味噌煮が好きなんだよ」

『了解。

 そしたらこんなレシピはどうでしょうか』

「ふむふむ。後で見るから保留で」 


 ……どうなんだろうか、これは。

 最近の生活サポートAIに聞くことと言えば、これぐらいだから間違いではない。

 しかし、今回の目的は名目上、案内用だ。

 好みを教え込むのは有りなのだろうか……。


「昨日からこんな感じで僕との会話が減っていてね。

 悲しい」

「そしたらソラが代わりに、お泊りしてですね……」

「ソラさん?」


 っと、抜け目ない美怜がソラ君へ威圧していた。

 コホンと誤魔化すようにソラ君が話題を切り替え、


「最近、流行ではありますよね。

 京都駅も案内板がAIになったりと、チラホラ見ますわ」

「そうなんだ」

「人間に比べて入力さえしなければ間違いないですしね。

 ソラはあまり機会に詳しくはございませんが、

 最近は個人用のモノも売り出してますわね」


 グーグルだとかのスマートスピーカーの話だろう。

 基本的には入力を音声で行うパソコンみたいなものだ。

 美怜の使い方としては近いモノがあるが。


「それらとは違ってどうやら自己学習型らしい。

 会長曰く、データベースからの検索はもとい、経験を積んで回答を成長させていくとのことだ」

「望、それヤバい奴じゃないのか?

 AIの進化とかよく反乱オチだろ?」


 水戸がそう言ってくるが、映画とかの見過ぎな気がする。


「どうだろね。

 僕も専門外ではあるが、聞いた限りではそこまではいかなそうだ。

 人間ですら問題を定義された場合、解決するための手段は多々ある。

 例えば、環境を奇麗にするということを言ったとする。

 これでよく人間を排除するのがAIモノのよくある話だが、

 1:環境とは何を定義するのか。

 2:奇麗とは何なのか。

 3:手段をどうするのか。

 と、人間ですら迷うことが要素に上げられる」


 つまりだ。


「AIの取捨選択としても、膨大なネットから引っ張ってきてもどれが正しいのかが偏ることは無いだろう。

 とはいっても、人間も偏った人が居る訳で、そうならないとも否定しきれないが……。

 まぁ、この危険性は人間も一緒だ」

「良く判らんが、危険性は生きた人間と変わらない。

 こういうことか」

「そういうことだ。

 結局は学習型AIといっても与えられた経験やデータを基に行動や指標を定義する。

 これは人間と変わらないと、僕は考えている。

 それに自分から能動的に行動するタイプのAIではないそうだ」

「どういうことだ?」

「答えを作るだけのAIであって自己思考をして、自らの行動を定義、発展させるモノではないということだ。

 あくまでも受動だそうで、自分から何かをしたいからする、ということはしないそうだ」

「コンピューターが判断して一人で絵を描き始めたり、モノを作ったりすることがないわけか」


 とはいえ、出来ないわけではないと考えている。

 だが、そこにはあえて触れないでおく。


「とはいえ、僕のような人間に預けなかったのは正解だと思うがね。

 一般的な指標からはズレているから、案内用AIとしては適していないだろうしね?」

「……お前、自覚症状あったのか」


 さておき、


「ソラ君はお祭りの日、暇かい?」

「その日は稽古で出てしまっているんですよね……。

 は、デートのお誘い⁈

 空けますわ!」

「それならいいさ。

 祭りを手伝って貰おうかと思っただけだからね?」


 となると、美怜、ソラ君の手伝いが見込めない訳だ。

 幾ら目玉があるとはいえ、美人や美少女が居た方がいいに決まっている。

 小牧君を観て、視線を外す。

 僕の評価では二人に比べると劣る。

 特に女性としての象徴が。


「……いま、失礼なこと考えたやろ?」

「被害妄想すぎるかと思うがね?」

「ちなみにウチの道場も祭りで演舞があるからムリや」


 小牧君もダメ。

 後はリク君が浮かぶが、一応、お嬢様である。

 何かあったらことだ。

 あっちから声をかけてくるならともかく、こっちからだと責任を取らされかねない。


「望、私……出ようか?」


 悩んでいるのを見かねて美怜から声をそうかけられる。

 最悪ありだとは思うが、ムリはさせたくない。

 体力も使う上、日差しの強さが体育祭の比ではない。

 

「無茶しない範囲で頼むかもしれない」

「ミリィの事も心配だし」

『?』


 その画面のミリィには?マークが浮かんでいた。


「ほら、コミュニケーション取ってると仕草が可愛くて。

 何というか愛着がわくんだよ」

「僕らが生まれる前に流行ったたまごっちか何かと勘違いしている気がするが……。

 本体は学校に置きっぱなしだから大丈夫なんだがね?

 とはいえ、自画自賛出来るようになったのは素晴らしいことだね、美怜」

「自画……自賛?」

「モデルは誰だったかな?」

「はっ!」

 

 美怜が固まった。


『可愛いとは何ですか?』


 っと、美怜の携帯から機会音声が聞こえた。

 ミリィだ。


「うーんと……。

 観ていると保護したくなるような気持ちが沸くことかな?」

「基本的には小さく幼いモノに愛着が沸く際に発する言葉だね」

『カテゴライズ完了』


 ……ちょっと待て、能動的に行動してないか?


 ミリィを覗き見ると、その視線を察ししたのか『?』と浮かべていた。

 僕の中で想定外という文字が浮かんだがあえて突っ込まない方向にした。

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