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35.有能過ぎるパニックメイド

この存在を覚えている人は果たしているのだろうか…

待っている人がいたらほんとにすいません。改善できるかは別として。



「…はっ!レイラ!レイラは…」


急に意識を取り戻した父様は文字通り飛び起きて周囲を見渡し始める。


「ここにいますよ、父様。心配かけてごめんなさい」


父様は目尻に涙を浮かべ私を抱き寄せた。あの父様がここまで取り乱すなんて…もう少しこのままいてあげよう。



「…あの、クリスタル公爵。感動の再会のところ申し訳ありませんが、これ解いてくれます?」


冷静なラルさんから指摘され目が覚めた。そうだ、こんなことしてる場合じゃなかったんだ。


「む、フォレスト公爵か。すまんな」


「いえ、城内はパニックこそ起これど、物的にも人的にも被害は出ていないようですから」



あれだけのことでも被害が出てないんだ…ん?


「それに、ミルが何処かへ行ってしまったとなったら私も城一つ壊すくらいするかもしれませんからね」


平然と恐ろしいことを言ってのけるが、そこじゃない。


「…ラルさんが公爵?令嬢なんじゃないんですか?」


妹のミルが公爵令嬢なのだからラルさんも同じのはず。それに親は…


「ああ、私たちのことはあまり世間的に広く伝わってはいませんから知らなくても仕方がないわね。ですが、私が公爵なのは間違いありません。私たちの両親は遠くで住んでいるので」


「本来ならば認められないことなのだが、ラル公爵の卓越した実力から特別に公爵の爵位が与えられた。唯一の女性で最年少の公爵だ」


ラルさんの大人びた態度は兄と同じ雰囲気がしていたが、まさかの公爵そのものだとは思わなかった。実力って精神的なものなのか魔法の強さなのか…どちらにせよ先程の発言を実行できる力はありそうだ。

おお、怖い……。



「それよりもう一つのパニックにも対処せねばなりませんね…」


「もう一つの問題…」


その言葉の直後、屈強な男達の群れがすぐ近くの廊下を走り去っていった。



「…あの、今のは…」


「騎士団の方達ですね。先程から忙しそうです」


顔から血の気が引いていくのが分かった。まさか、やったのか…フリアン…!


私の顔から何かを察したフィズが首を振って答える。


「それが…違うんです」

「え?」

「あの愚姉…パニックになってお嬢様が拐われたと勘違いして怪しい人物全員片っ端からひっ捕らえてるんですよ。しかも全てそいつの悪行の決定的な証拠を持って。騎士団はそれを無視する訳にもいかず次々と検挙される者達の連行と後処理に追われてるってのが今の状況です」



ええ…なにその状況。どうやったらそうなるのか詳しく説明してほしい。

隣にいたミルが口を開いた。



「…このままにしておいた方が国の為になるんじゃないかな」

「…私もそう思う」


ウチのメイドは騎士の方が向いているのではないだろうか。メイドの仕事も完璧だからどちらとも言えないが。


あと父様と協力して逃亡や抵抗しようとした容疑者を水晶で閉じ込めて捕獲…なんて協力プレーもしていたようだ。


…本当に公爵とメイドだろうか。戦闘力が高すぎやしませんかね。



「お嬢様!よくぞご無事で!!!」


こちらに気づいたフリアンが一瞬で距離を詰め目の前で跪いていた。


…瞬間移動ですか?もはや人なのかさえ疑わしくなってきました。



「フリアン。勝手にいなくなってごめんなさい、私はなにもなかったから。」


フリアンもまた泣いていた。先程まで鬼の形相で相手に詰め寄っていた人と同一人物には見えない。



「良かった…またお嬢様になにかあったら私…」



…そういえばつい最近に二度魔物やら魔獣やらに襲われて死にかけたことがあったんだった。

・・・本当に申し訳ありませんでした!!!




まぁ、ともあれこれで一件落着に…


「クリスタル公爵様。国王様がお呼びです」


なりませんよね。うん、ですよね。



「私達も付き添いましょうか」

「うん」


できればなにも起こらなければいいけど…そうもいかなそうだな…って、全ての原因私なんだよねぇ。

はぁ、気が重い。

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