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30.第二王子と伝説の魔法

もふもふとクラウのツヤツヤ肌を堪能していたら声が聞こえてきた。



「あ、見つけた!こんなところに…」



声の主は銀色の髪にはとんがった犬のような耳がついており、フサフサの尻尾が生えていて、とても可愛らしい美少年だった。


初めて見る獣人だ。



「あ、申し訳ありません。この子達、お庭で遊ばせていたのですが少し目を離した隙に居なくなってしまって……」


ワンコたちが少年に走り寄っていく。

どこかで見たような…気のせい?



「ガイゼル第二王子様!?」


ミルから驚きの声が上がる。


あー全然気のせいじゃなかったわ。むしろなんで忘れたんだろ。

ハーモニリカ国第二王子、ガイゼル・ハーモニリカ。

兄ベルリスとは腹違いの子供で銀狼種の獣人。ハーモニリカ国は獣人差別意識が他国よりは低いはずだが、無いわけではない。そのために馬鹿にされることがある。

更に完璧な兄と比較され、周りから嫌味を言われたりして自信を失くしている…だったかな。


私の脳を久々にフル回転して思い出したが多分こんな感じだった。

そして今思ったらミルは主人公の親友ポジだった気がする。




「そんなことはありません…それより勝手にお庭に入ってしまって申し訳ございません!!」


「いえ、そんなことは…客人であるあなた方に迷惑をお掛けしてしまって………」




私思うんだけどさ。貴族社会って子供なのに会話のレベル高くない?すごいよね。あとすごくめんどくさい。私は仕事に来て迷ってきちゃったってだけなんだけど。



「あっ、やはり怪我を………」


あれ、本当だ。ミルの足に擦り傷ができていた。あっ、今まで服をちょっと伸ばしてたのはそれを隠してたのか。


「ミル!怪我してるなら言ってよ!!」


「えぇ、でも迷惑かけちゃうし…」


「そんなの気にしなくてもいいの!ああ、なにかあったかなぁ?」



「レイラ、傷を治したいのか?」


「!!魔獣?…しかも喋って…?」



クラウ、普通に喋っちゃった。ミルの前で普通に話してたからなぁ…。ミルの場合普通に受け入れてたんだけど………


「あ、私の従魔のクラウです。知性が高くて…」


「従魔ですか…?そんなに早く契約を?しかも知性を持つ高位な魔獣と…?」



私にはよく聞こえない声で呟いている第二王子を無視してクラウは続ける。



「ならば手をかざして祈ってみろ。」


「?ちょっとクラウ。なんでそんなこと…

「いいからやってみろ。」



とりあえずやってみることにした。

うわ、結構血が出てる。なんで私も気づかなかったんだろう。………よし、治れ〜傷治れ〜、いたいのいたいのとんでいけ〜!


「えっ?」


少しの間があり、ミルの傷を柔らかな光が包み始めた。これ、確かクラウが怪我していた時の…?


やがて光は擦り傷を消し去った。


「クラウ、もしかしてこれって………!!!」


「やはりか。もしやとは思ったのだけどな。しかしこれからどうするか…」



「やったーー!!!魔法できたー!!」


「ミル、違和感は無いか?」


「うん。うわぁ、すごい。全然痛くない。……でもこれって…」


「ああ、本物ということだな。」


「えええ!?えええええぇぇぇ…?」


3人でなんか慌てたり悩んだりしている。道具も使わずに傷が治ったってことは成功したんでしょ?これって魔法だよね。回復魔法ってやつだよね!!



「レイラ、我と出会った頃に話していた内容を覚えているか?というか聞いていたか?」


「え?んー………なんかあったっけ?」


「やはりか…どちらにせよ問題だが、まぁいい。簡単にレイラでも聞いて分かるように言おう。今さっきまで、回復魔法は誰にも使えない伝説の魔法だった。使えるのはお前だけだ。」




「……………は?」





回復魔法が伝説?そんな話聞いたこともないんだけど?実際ゲームで主人公とか使える人居たし。あ、でもレイラ・クリスタルは違う属性だったな。いや、そうじゃなくて。ということはなに?私世界で唯一のなんとかーみたいなものになったの?いやおかしいでしょそもそもなんで使えるんだよしかもあんな適当な方法で!あぁもう訳ワカメになってきたーぁあ!!!!



「さて、ここで問題だ。世界で唯一、そしてとても便利な能力、それが世界中に広まったらどうなると思う?」



それはまぁ、奪い合いになるよね。一つしかない便利な物は誰だって欲しいだろうし。

ん………?そうなると私がそれになるってこと…?

国同士で

やめて!私の為に争わないで!

状態になるってこと?なにその地獄絵図。


そして国にかなりの影響を与える公爵家のミルと王子のガイゼル第二王子がこの場にいる。

あ、もしかしなくても終わった?



「気づいたようだな。」


「私は絶対秘密にする。レイラは友達だし、ずっと一緒にいたいもの!!」


「ミル………」


「ミルはまぁ問題ないだろう。レイラよりはしっかりしているしな。問題は………」


え?クラウさん、なにしようとしてるのかな?物騒なことしようとしてないかな?平気だよね!?王子だからね!しかも悪い人じゃ多分ないから!!



というかそもそもクラウが私にここで使わせなければよかったんじゃないかな!?ミルの怪我が治せたから感謝はしてるけども!!



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