29.ガールズトーク
その後仲良くなったミルと木陰にあるベンチに座りお話をしていた。なんやかんやでかなり話があった。好きなものが読書と植物を育てることなのだそうだ。
事情を聞くと、ミルは都合でお姉ちゃんと共にここへ来たのだが途中ではぐれてしまったらしい。
私と似たような状況だな。自分から動いたかどうかの違いだ。ちなみに同い年。
「私も道に迷っちゃっててさ、せめてこのまま父様の執務室まで行ければ良いんだけど。」
「クリスタル公爵の執務室!?何してるの?」
「兄様と一緒にお手伝い。今日は寝坊して置いていかれてさー。」
「クリスタル公爵様のお手伝い…すごいなぁ。私は何やってもダメでね、フォレスト家は魔法の才能で貴族になったのに私はちゃんとした魔法もまだ使えなくて。」
「私も!人より魔法の才能が無いのか、魔力を感じるってことがまずできないのよ。」
「レイラもそうなんだ。でもレイラは賢くて、さっきみたいに魔獣達に怖がらないで落ち着かせちゃうし…勇気があって…さっきのレイラ、とってもかっこよかった。」
もう二回大型の魔獣やら魔物やらに襲われてますからね。それに遊びながらもふもふを堪能してただけだし。
「物語に出てくる王子様みたい。」
「ちょっと大袈裟だって、でもそうだな、物語の中だったらミルはお姫様かな?」
「えっ?なんで?」
「とっても優しくて可愛い、ぴったりだと思うよ。それに、守ってあげたくなっちゃうもん。」
「…やっぱり王子様みたいね。ありがとうレイラ。」
「というかミルだって凄い所沢山あるじゃんか。本の題名と内容全部覚えてたり、見ただけで植物の名前とか状態が分かるなんて普通できないよ。」
「そう…かな。でも、レイラに言われるとすっごく嬉しい。」
すると三匹いたワンコ達の目が覚めたようだ。ゆっくりこちらへ近寄ってくる。
と思ったら一匹が膝の上に飛び乗ってきた。
「きゃっ!?」
ミルの方にも一匹乗った。もう一匹は私達の間に座っている。
「大丈夫大丈夫。優しく触ってごらん。もふもふだよ。」
恐る恐るといった様子でミルが膝の上の子を優しく撫でた。すると嬉しそうに尻尾を振って耳をピクピクさせている。
「ほんとだ。かわいい。」
やばい、可愛い。ミルもワンコもどっちも可愛い。ミルははにかんだ笑顔を浮かべて、ワンコはつぶらな瞳でお互いを見つめ合っている。美少女と子犬、可愛すぎて声に出しそうだった。
「わん!」
お、お前も撫でて欲しいのか。ここか?ここがええのんか?
「ふふ、可愛い。」
ミルがこちらを見て呟いた。
「本当だよね。もふもふでちっちゃくてとっても可愛い。」
「ふふふ、うん。ほんと可愛い。」
私は今までで一番とも言えるほど和やかな時間を過ごした。
途中から拗ねているのかふてくされたクラウが参戦したので二人で撫でまくりました。満足満足。




