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28.道とワンコと少女

えーっと、ここをこう来たから………こっちだ!!


…違う気がする。やっぱあっち?それとも戻って向こう側?



「おい、レイラ。何処へ行こうとしているのだ。」


「え?あー…さっきの部屋に戻ろうかなって。」


「一向に着く気配が無いぞ。そもそも本当にこっちか?戻って向こうではないか?」


「さっきもそう言ったから進んだんじゃん!クラウが間違ってたんじゃないの?」


「そんな訳…大体道を覚えていないレイラが悪いんだろう!!」


「クラウだって覚えてないくせにーー!」


「我は空を飛べば道の事なぞ知る必要は無かったのだ!!」




現在私達は絶賛迷子中でございます。

精神的には19歳だったはずなんだけどなぁ?


あ、元から方向音痴だったな。そういえば。




「どうするのさー。もうそろそろ検査も終わっちゃうよー。」



そしたらフリアンがどうなるか…考えただけで恐ろしい。




「そう言ってもどうしようも…むっ、レイラ。向こうに人がいるようだ。植物と人の匂いがする。」


「本当!道聞こう!早く行こ!!」



クラウが匂いを辿りながら道を進む。


ってかそんなことできるならフリアンの所まで行けるんじゃないの!?

と思ったけれど人かどうかぐらいの判別しか今は出来ないらしいです。その姿、嗅覚まで落ちるんだ。



そうして少しの間進むと、木々が生い茂った空間へ出た。ここは…中庭かな?




「!!おい、レイラ。あれ!!」


「あれ?って…!?」



私達から少し離れた場所に少女が一人、犬っぽい魔獣達に追い詰められていた。少女は高めの台に乗って動けずに怯えているようだ。



「レイラ!何をしようと…」



確か魔獣となら多少の意思疏通が出来たはず……



「こら!そこの子たち!いい子だからこっちに来て!」



魔獣といっても小型犬サイズなのであまり恐怖は無い。でも噛まれたら小さい子供じゃ危ないかな。



「ほら、とってこーい!」



犬達の注意を引いてからいくつか木の棒を投げた。すると凄い勢いで取ってきてこちらに寄ってきてじゃれ始めた。



「あはは、くすぐったいよぉ。お、もう一回?よーし、それー!」



可愛い!ワンコ可愛い!!もふもふの金色毛並みはとっても気持ちよかった。



その後ある程度遊ぶと犬達は満足したようで落ち着いた様子になり、木陰で居眠りし始めた。ちょっと興奮してただけみたいだね。



さて、それなら…


少女はまだ台の上で膝をついていた。おっとりとしたエメラルド色の瞳にツインテールで縛った金色の髪をしていてとても可愛らしい子だ。同年代のように見える。



「大丈夫?立てる?」


「え?あ、うん…」


「怪我はないみたいだね。良かった。」


「えっと、その…ありがとう………」


「どういたしまして!私はレイラ。よろしくね。」


「うん。私はミル・フォレスト。あ……」



少女はハッとしたように佇まいを整えて一礼した。



「ミル・フォレスト公爵令嬢です。よろしくお願いします。」



あ、私完全に忘れてたけどここお城の中だしお偉いさんが来ていることは多いよね。

公爵令嬢…私と同じだね。


「レイラ・クリスタル公爵令嬢です。どうぞよろしくお願い致しますね。フォレスト公爵令嬢。」



「クリスタル家!?ご、ごめんなさい。私…」


爵位は同じですが父の仕事からうちの方が身分が上な所があるみたいなんだよね。あんま気にしてないけど。


「いや、そんな風にならないで。もっとお互いに楽にしない?友達になりたいんだけどな。」



なんせ身内以外で初めて他人と関わるんですもん。共通の話題を持てる人は欲しいしね。



「友達!?本当!あ、ごめんなさい。ちょっと嬉しくて。」



おっ、その反応は友達がいないみたいな感じですか?しょうがないなぁ、私が第一号の友達に…待てよ。私もまだ友達っていなかったな。強いて言えばクラウ?



……お願いします!はじめての人間の友達になってください!!!





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