25.復活の真面メイド
仕事も終了の時間となり、帰りの馬車に乗って帰る私たち。
行きのような気まずさはなく、かなり楽しい時間となった。そのせいかすぐに家に着いた感じがする。
父と共に玄関を開ける。
「ただいまー!!」
そこで待っていたのは母様とメリルとフリアンだった。……フリアン?怪我は治ったの!?
「お帰りなさい。」
「お帰りなさいませ、お嬢様方。」
「フリアン、怪我は?また無理してるんじゃ…」
「ご心配ありがとうございます。ですがもう通常通りにお嬢様のお役に立たせて頂きます。」
メリルに確認してみるととりあえず大丈夫なようだった。治癒力高くない?
「それよりもお嬢様は今日どこにお出かけしていたのですか?旦那様、そしてフィズ?お帰りが随分とお早いですが何かあったんですか?お話いただけます?」
「ヒッェ……」
フリアン、顔が怖いよ。綺麗な顔が台無しになっちゃうよ。
「待て、姉貴。これにはちゃんとした訳があってだな…」
「ええ、どうぞ?いくらでも待ちますわよ?」
ちなみにフィズとフリアンは姉弟で、力関係は見ての通り。
………ただ、フィズはどうやって説明するのだろうか。もし事実を伝えたとしても信じるか怪しいし、それはそれでフリアンがどうなるかは容易に想像がつく。
静寂が訪れる。その中で口を開いた人物がいた。
「レイラとライルを仕事に連れて行った。するとレイラの働きによって仕事が効率的になり、ライルによって捌かれた。そうして仕事がすぐに終わり、早くに帰ってこれた。」
そう、父様である。
最初もそうだったけど天然だよね!いっつも誤解を生むような言い方をする。いや、事実だけどこの状況でそんな言い回しする!?
「………はい?」
流石のフリアンも一瞬呆けたが、すぐに戻った。
「つまりはお嬢様たちを職場に行き、仕事をさせたと?」
「ああ、とても良い働きぶりだったぞ。コリルも聞きなさい。二人はとっても賢くてな、レイラは…」
父様、今そういう感じじゃないです。般若になりかけているフリアンに気づいてください。自慢話をしている場合じゃないです。というか母様にも呆れられてるし。
「フィズ。少し裏庭の方まで行きましょうか。確か花壇の手入れがまだでしたし。」
立場的にも被害はフィズに行くんだよなぁ。お疲れ様です。あとでしっかりフォローはします。けど今はフリアンに話かけるのは怖いので無理です。
「……母様、お腹空いた。」
「私も。」
「…そうね。夕食にしましょう。あなた、後で私から話がありますよ。」
「ああ、私からも話したい事は沢山あるからな。」
父様は気づいていないのかもしれないが父様を叱れるのは基本母様だけなのです。そして怒るととっても怖いので私なら即刻謝ります。
………裏庭から聞こえてくるなにかを破壊する物音は…いや、気にしないでおこう。
「では、準備ができていますのでこちらへ。」
メリルも気にしないようにしているようです。後で聞いたら私がクラウと出逢った時に怪我をしたことについてとっても叱られたそうです。そういう意味でも無茶はやめてくださいと言われました。
本当に申し訳ない。




