24.お昼休憩のお時間です
ついに仕事がほとんど片付き書類も手元にあるもの程度となった。
………いや、早くない?
現在お昼。みんなで昼食を食べる所なのですが夕方くらいに終わるかなー、という気持ちでいたので本当に予想外でした。
要因としては兄様とクラウのチートぶり、そして父様とフィズも慣れてきて作業スピードが早まったことも挙げられます。
「仕事が……片付いた………」
父様が信じられないといった様子で呟いていますがそれは本来なら普通なことです。まぁ、仕事量と人数が完全に釣り合ってなかった上に効率の悪いやり方をしてたのだから仕方ないかもだけど。
「お昼休憩をまともにとれたのっていつぶりでしたっけ。お茶ってこんな美味しかったんだなぁ。熱くて冷まさないと邪魔になるものじゃなかったんだなぁ。」
フィズもこんな様子。たしかに急いでる中で熱いものは飲めないよね。
「お疲れ様です。父様、フィズ。」
背伸びして二人の頭を撫でてみる。すると同時に撫で返されました。
「レイラ、僕には?」
「お疲れ様です。兄様とってもすごかったですよ。」
兄とも同じやり取りをする。
ん?クラウも?確かにとっても助かったからね。ありがとう。
「働くってこんな大変なことなんだねぇ。」
兄様、少なくともこの状況はイレギュラーですよ。完全ブラックな職場ですもの。
「……父様も好きで帰って来ない訳じゃないんだよね。」
いくら賢くても10歳です。年相応の考え方は一応ありますよね。
「レイラ、ライル。今日はすまなかったな。」
「父様!そういう時は謝るよりお礼の方が嬉しいんですよ。」
「ああ、なら…ありがとう。お陰で家に帰れそうだ。」
「はい!どういたしまして!母様とみんなで一緒にご飯食べれますし、また明日明後日もお手伝いしますのでお願いしますね!」
「いや、そんなに毎日してもらう訳には…」
「いくら効率が上がっても二人じゃ無理でしょ。せめて秘書官の人が着くまでは手伝った方がいいでしょ。………レイラがまた来るなら僕も手伝うよ。だから無理はしないで。母様とレイラが悲しむ。」
「そう…だな。すまな…いや、ありがとう。少しの間頼むぞ。」
「周りへの態度をどうにかしないとしばらくは居ないといけなそうだね。」
兄様はやれやれと言った様子でため息をつく。でもその顔は嬉しそうだった。
「だが、ただしてもらうのもなんだ。週末に何か考えておきなさい。行きたい場所、欲しいもの、なんでも言うことを聞いてやるぞ。」
「本当!?父様大好き!!」
「何にしようかな……って、ちよっと!」
私は父様に抱きつき、兄様は父様に抱き寄せられた。
兄様は不満げですが嫌じゃないことくらいもう分かりますからね。
「へーへー、親子の仲睦まじい光景を見れて満足ですよ。それはそうと主人。顔だらし無さ過ぎだろ。冷徹の公爵なんて二つ名が泣くぜ。」
父、そんな名前でよばれてたの!?そんな二つ名いらないよ!
あとフィズは父様と昔からの付き合いらしく公式の場合以外では親しい話し方をします。私たちにはいつでも敬語で主人にそれは違和感だけど気にはしない。
その時、ドアがコンコンとノックされて扉が開いた。
「…失礼します。えっ!?綺麗になってる…あっ、休憩中でしたか。すみません出直します…」
すごく気弱そうな細めの男の人が入ってきた。すっごいビビってるけど…父が怖いからって周りに押し付けられたとかなのかなぁ。あと父のだらしない顔を見て逆に怖くなったとか?
「特に問題ない。用件は?」
「あっ…ありがとうございます。こちらの書類に印鑑を…」
そう難しい事でも無かったしすぐに終わった。
すると男の人は私達に目を向けた。
「お子さん達ですか?可愛らしいですね。」
この人度胸あるな。私だったらすぐに部屋から出そうなものだが。
「やらんぞ。」
「…はい?」
「レイラもライルも嫁にも婿にも出さんからな。」
「へ?」
「はぁ?」
「ブフッッッ!!!」
…なんの話をしているんだ父様。フィズめっちゃ笑ってるし。それはこの男の人に言ってるの?それで兄様が婿いったらB…いや、深くは追求しないけども。
「あ…いや、そういう意味ではなくて、僕、一応妻もいますので…」
「ならいい。実はな…」
そして父は私達の自慢話をし始めた。もういいよ!!その人も自分の仕事まだあるんだろうから行かせてあげて!!
なっがい話が終わりようやく解放された細身の人に別れを告げ、私たちは仕事に戻る…といってもさっきのように来ない限り仕事はないけれどね。
細身の人は疲れ果てていたが、最初のように父に怯えた様子が解けていた。これで父のイメージが少しは変わればいいな。
夕方になり帰る時、私はとても達成感で満ち溢れていた。父様への誤解も兄様と父様のわだかまりも解けたし、とても良い結果となった。
さてと、母様の所へ帰ろうか!




