23.レイラ7歳、仕事を始める。
はい、レイラです。7歳のレイラです。
突然ですが皆さん、私は今何をしているでしょうか!
………
はい、答えはですね、
「この書類はこっちにまとめておくよ。」
「ありがとうございます。これは領地関係のですね。」
「父様、これらの印鑑お願いしますね。」
「ああ、助かる。」
なんと、執務室にて9歳の兄と共にお仕事をしているのでした〜〜!!
いや、本当。何故こうなった。
仕方ないと言えば仕方ないんだけどさ。
まず、父様の執務室に到着して部屋を開けたら部屋の端までビッシリと仕事らしき書類が積まれていたんですよね。
で、何故こんなことになるのか聞いたところなんでも父様の所には国中の問題や承認の必要な書類が入って来るそうです。
そして驚いたのはそれを二人でしているということですよ!!なんで秘書の一人や二人もいないのか!!!しかも書類の種類はバラバラで何がなんだか分からない状態。そんなの終わるわけがないに決まってるでしょうに。
流石の兄様も引いてました。あれだけ父様が家に帰って来ないで仕事をしているのにこの状況なわけですから無理もない。
二人はすぐに仕事を始めたんですけどね。進み具合は決して悪くはないけれど、入ってくる書類の方が圧倒的に上回っている。
書類を届けに来た人を父様が軽く睨むレベルで酷かった。そしてそれを見て何故秘書がいないのかもなんとなくわかってしまった。
二人が慌ただしく動いていく中、無情にも積み重なっていく書類たち……
そんな中でゆっくりとお茶してろと言われてもね。
日本人の性というか、気の毒に思えたというかで手伝うことにしたんですよね。
まず期限がギリギリのものから処理をしていき余裕のあるものは種類別に整理してチェックだけで済むように。似たような内容ならば父様に報告して一つとして数える。
前世の社会人時代を思い出して仕事しましたよ。こんなにしたことは流石になかったけど。
そこで驚いたのは兄様。なんとあの方、10歳にして私と同じくらいの働きを見せているのです。
いや、何年も仕事してきた私と互角……
兄様に仕事をしたことがあるのか聞いたところ
「え?初めてだよ?」
とのことだった。
これだから天才は………
私より兄様の方が知識チートな気がしてきます。
ちなみに書類を運んでいたのはクラウ。魔法で収納して運んでくれたようです。やっぱり魔法って便利だなぁ。早く私も使いたい…
みんな必死に仕事をしていて気づいていないようでしたので係の人が取りにきたということにしておいた。
そして現在、一旦休憩を取ることにした私たちです。
部屋中の書類が今では机周り程度に収まりました。これなら夕飯前には帰れそうだなぁ。
「お、お嬢様たち……ありえねー。あんだけ終わらなかった仕事がこんなに……癒し効果だけじゃなかったのか……」
天井を見上げて脱力しながら呟くフィズ。
「僕はレイラに言われて動いていただけなんだけどね。よくレイラはここまで効率化できたね?」
割と痛い所を突いてきますね兄様。でもあなたも大概ですからね。
「なるほど。レイラはもしや……」
え?父様?まさかのバレた!?ちょ、心の準備が……
「神の遣わせた天使だったのか。」
全然違かった。父様、私は人間です。勝手に人外にしないで下さい。
「それならこの可愛らしさも納得がいくだろう。」
父様、究極の親バカ発言しましたね。恥ずかしいのでやめていただきたい。
フィズ。お嬢様マジ天使とか呟いて拝むな。人間だから。あいあむヒューマンだから。
「その話しはどうでもい……おいておくとしてさっさと終わらせようよ。早く帰って魔獣の様子を見に行かなきゃなんだけど。」
兄様は近くの書類を手にとって動きを再開した。
嫌味を言いつつちゃんと仕事を手伝ってくれる兄様はやっぱり優しいです。
妹バカ?になるかもだけど兄様はカッコイイイケメンです。………たまに性格悪いけど。




