19.はじめての魔法訓練
とりあえず父のことは後で考えるとして、
「これからなにをするんだ?」
服に入っていたクラウが質問をする。
貴族といえど7歳、そんなに予定が入りまくっている訳ではない。自由で一人な時間も十分にある。
だがその時間も私の最大の目的である私の死亡エンド回避のために費やさなければならない。
命がかかってるからね。流石に無邪気に遊んでるわけにはいかないよ。…別にここ数日の出来事が濃すぎて忘れてたなんてことはないからね?
さて、現在私が進行中の計画は家庭問題を解決すること。それにより、家族にあっさり見放される事を防ぐというものだ。いやまぁ、普通に家族と仲良くしたいってのが大きいけどね。
この結果は良好だ。父様はまだしも母様は前よりも良く笑いかけてくれるようになったし、兄様には説教されるほどに仲良く……仲良くなったのだろう。きっと。
だが万が一があるかもしれない。家族が庇いきれない間違いを起こしたとか濡れ衣を着せられたとか。そのようになるつもりはないが万が一というものがある。
その際、処刑というものは少ないと思うんだよね。というか私が気をつければ中々なるものではないと思うし。
なので危惧するのは追放の方。昨日の狼と戦って分かったように私が一人で外の世界を生きれるとは到底思えない。クラウに私が国を出るとしたらどうするか聞いたら
「我もついていくに決まっているだろう。」
とのこと。とても頼もしいがクラウと一緒にいられない時もできるかもしれない。
まぁつまり私が言いたいことは私自身に力が必要なのだということである。そして小さいうちに体を鍛えるのは難しいし、背が伸びなくなるのは嫌なので物理面は置いておこう。もう少し大きくなったら剣を使ったりしてみたいなぁ。
それはいいとして、二つ目の私の目標。
それは…
魔法を使う!!
折角あるのなら使わないってことはないよね。とっても便利だし、何より人類のロマンですよ。前世の世界でのですけどね。
「そんな訳でクラウさん。魔法のご指導お願いします!!」
「わざわざ怒られる覚悟で森に来てなにをするのかと思ったら…まぁいいだろう。自衛手段はあった方がいいだろうしな。」
兄様と母様に頼み込んでようやく森に来れたのでした。母様はともかく何故兄様まで了承してくれたのかは未だに謎だが…
そのかわり色々色々言われましたけどね。
「まずは魔法の基礎から説明だな。魔法とは………
こうして私の魔法訓練が始まった。
数時間後
「………酷いな。」
「クラウ先生。全く魔力というものの流れが感じられないのですが。」
「ああ…人族は確か幼いと魔力が安定しないなどとあったが…それでもこの結果は……」
…数時間の訓練の成果、ゼロ!!!!!
驚くほど何も得られなかったよ!!
クラウの話によると幼くても魔力の流れを感じることは一時間で大体の人が習得できるそうな。
私ってそんなに魔法向いてないの!?もしかして詰んでる!?
「うぅ〜…魔法、使ってみたいのに〜….」
「レイラは既に使っていたような…いや、その話はまた今度でいいか。」
「?何か言った?クラウ。」
「なにも。そろそろ帰らないとなんじゃないのか?」
「え?あっ、ホントだ!早く帰らないと兄様に怒られる!!急ごう!!」
私の魔法の道は中々に険しい道のりのようです……




