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12.森のクラさん


「はっくしゅん!!」


おかしいな…だれか私の噂でもしてるのかな?兄様が探してるとか?でもまたすぐオタトークになるから平気でしょ。


森の中へ入り、奥へと進んでゆく。するとあるものを見つけた。



「….….これ…血痕?」



紅色の痕は更なる森の奥へと続いている。



「もしかしてこの先にさっきの声の主が……?」


しかしこれ以上奥へ進むにはそれなりの覚悟が必要だ。このような状態の者が急に襲って来るかもしれない、魔物が出てくるかもしれない。いずれにしてもこの貧弱な体では対応できるはずも無いだろう。前世でも無理だろうけど。


けど、あんな辛そうな声を出してこ血を流している人が居るかもしれないのに見過ごして帰れないよね。



「…よし、行こう。」



レイラは進んで行く。



「でも流石に手ぶらじゃあなぁ…」


当たり前のように襲われた時に少しでも対抗手段はあった方がいい。


すると近くに落ちていた手頃なサイズの棒切れを拾い満足そうに振るった。


「これでヨシ、と。」







射す光が少なくなってきた森の中でレイラは拓けた場所に出た。そこはまるでおとぎ話にでも出てきそうなくらい素敵な場所だった。


木々の合間から差し込む光、小さな水辺の前に花が咲き乱れその中心には傷ついた金色のなにかがいた。



『何の用だ、人間。お前も我を狙ってきたのか。』



傷つきながらもその声は威厳に満ち溢れていた。


「…鳥?」


黄色くて翼が生えていることから先程見たサンダーバードが連想できる。


「いや、サンダーバード?」



『そんな下等な魔獣などでは無いわ!!!』


めちゃめちゃ怒られた。どうやら違いらしい。というか…喋った?えーと、こういう時ってどう言えばいいんだろう。


「ごめんね!あまりに可愛らしかったから」


フォローのつもりで言ったが、その言葉で更に顔が険しくなった。



『可愛らしいだと…?貴様、我を馬鹿にして…グッッ!!』



傷から紅色の液体が溢れ出る。



「.うわ!傷が…血を止めないと……えーと、何かあったっけ……うん!仕方ない!」


『貴様、何を……「動かないで!!止血するから!」



包帯の代わりに身につけていた服を木の枝で破り傷口に巻きつけた。



「後はこっちも止めて……これで平気かな?」


自分の体が血だらけになるがきにしないように手当てをした。鳥のような物は驚いたように私を見る。


『貴様、この国の貴族とかいう奴ではないのか?』


「とりあえず動かないでよ。もうこれ以上破けないから替えはきかないよ。スカートすごい短いし。…で、貴族?一応そうだよ?嫌だった?」


『いや、我の記憶では貴族なる者はケダモノや血、醜いものを嫌う筈だ』


「ケダモノって…そんな風には見えないけど?綺麗だし。」


『…そうか』


あ、今少し照れた?


「まぁ、血は怖いかな。ここまで多く流れてるとね」


『貴様…己の姿を分かっているのか?服はボロボロになり、肌は血で汚れているぞ。何故そこまでして我を…』


「血塗れで倒れてるのを放っておけるほど神経図太くないから。それにあなた…って、名前教えてくれない?私はレイラ・クリスタル。レイラって呼んでね」


『フン…普通なら貴様に名乗る名など無いと言うところだが…良かろう。我はクラウ。全魔獣の中でも頂点に立つ…「クラウ!分かった、よろしくねクラウ!」


『言葉を被せるな!!それに勘違いするなよ、貴様のようなやつと仲良くなる気などさらさらないのだからな!』


「なんでよ。別にいいじゃんか〜」





それから少し時間が経ち…



『…何故まだここにいるのだ、人間。』


「レイラですー。…怪我してる子を置いていける訳ないでしょ。でも私担いだりできないから。」


するとレイラはそうだ!と何かを思いついたように手をつく。


「おまじないでもしようか。それで魔法か何かで治るかもしれないし。」



『…は?ふざけているのか?おまじないだと?貴様分かっているのか、回復魔法は古代に失われた伝説の魔法の1つで…「冗談だけど」



『だから言葉を被せるな!!なんなんだ貴様はぁ!』


「気休めくらいにはなるでしょ?いたいのいたいのとんでいけ〜。そして怪我なおれ〜なおれ〜なおれ〜。」


アドリブを付け加えておまじないを唱える。すると…


『貴様…ぬっ!?』


突如クラウの身体が暖かい光に包まれ始めた。


『これは……』


「えっ?嘘でしょ?あんな適当なおまじないで!?いや、もしかしたら呪いの呪文になった!??どうしよう!!」



すると次の瞬間には怪我ひとつも無い光り輝く小さなドラゴンが姿を現していた。







「はっ?」




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