97.兄妹は新たな魔法を見つけ探求する
本日、2巻発売‼
仕事帰りのお父様、お母様。
学校帰りのお兄様、お姉さま。
本屋へlet's goよろしくお願いします。
指から突如現れた炎に数秒困惑したがすぐに、そのわけを探る。
とりあえず炎が出たということは俺の仮説が合っている可能性が高い。
魔法とは本来このような形で使われるものなのだろう。
「おにい、ステータス見るね」
「あぁ、頼む」
ハルが俺に【看破】を使い、不思議そうな顔をする。
「ステータスに変化は無いね。強いて言うなら、キメラと戦った時の戦闘でレベルが上がってるぐらい。2つも」
名前 :ハルカ
技能 :魔法・工作
魔属性 :崩・爆・電
レベル:84
強度 :98
魔量 :209
スキル:看破・魔弾・暴走・魔法合成・陣作成
魔法 :ボム・タイムボム・インパクト・ナンバー・プラズマ・亀裂・剥離・障壁・崩壊・獄門・
パッシブ:魔力回復・察知・工作・魔力操作・二重属性
名前 :トウカ
技能 :付与・錬金
魔属性 :無・呪
レベル:84
強度 :127
魔量 :180
スキル:隠密・座標・物質認知・支配・ショートカット・
魔法 :スピード・パワー・ガード・バインド・チェイン・スロー・ロス・アンプロテクト・カース・封魔・セーフゾーン
パッシブ:把握・加速・錬金
ハルにステータスを教えてもらうが、スキルや魔法、魔属性や技能まで何も変化がない。
「おにいは何か変化ない? 体調がどうとか、魔力がー、とか?」
俺は首を傾げ、もう一度指を前に出し唱える。
「炎よ」
唱えると共に指先に大量の魔力が集まり、小さな炎が浮かぶ。今回は先ほどより長く数秒。はっきりと俺の指に炎が揺らめいていた。
「かなりの魔力を使ってるよね」
「あぁ、この数秒だけで付与魔法が10は掛けれるぐらいの魔力を使った」
「指は熱い?」
「正直、それなりには熱いな。ステータスが上がってなかったら火傷したかもな」
ハルはしばらく考えた後、自分の指を前に出す。
「【ボム】」
ハルの唱えたのはいつも使う魔法。ハルの指に光の玉が浮かび、とどまる。
「今私の指にある魔法は全く熱くないの。温度を上げようとしても、私には熱く感じない。出てる光は強くなってるから、温度は上がってるはず。おにいはこの状態の【ボム】の熱さは感じる?」
ハルの指先にある待機状態の【ボム】に手を近づけると、ある程度離れていてもしっかりと熱さを感じる。ハルの手の辺りまで近づければ、今のステータスでさえ火傷をしそうだ。
「かなり熱いな。多分、俺がその【ボム】に触れたら指が焦げる」
「つまり発動者だけが得するようにできてるんだよね。それに対しておにいの炎は発動者も熱く感じる。完全に劣化版。それか大本」
「俺はハルの【ボム】がかなり改良を加えられた物のように思えるな。本人に都合が良すぎる」
ハルの手から【ボム】の光が落ち、地面に当たると小さな破裂音と共に地面が焦げる。
「昔から色々便利な道具とか技術が発明されてるけど、そういう物って、発明者が頑張って人への害を減らしたり無くしたりしたものだと思うんだよね。もとから有益なだけの物ってかなり少ないと思う」
ハルは指を突き出し、唱える。
「炎よ」
ハルの手には何も浮かばなかった。
「炎よ」
ハルの指先に魔力が集まり、そのまま大気に放出されていく。
「今のは?」
「自分で指先に魔力を集めてみた。意味はなさそう」
ハルは苦笑すると、もう一度自分の指先を見つめ唱える。
「着火」
ハルの指先に魔力が集まり、小さな炎が浮かぶ。しかしそれも一瞬で、すぐに消えてしまった。
「あぁ、そういうことかな。炎よ」
ハルの指先に先ほどの何倍もの魔力が集まり、再び火が現れる。その火はすぐに消えることなく、数十秒間、ハルの指の上を漂っていた。
ハルの指先に現れた火が消えるのを見届けながら俺は質問する。
「何か分かったのか」
「うーん、原理は分かんないけど方法は分かったかな。たぶん」
ハルは前に出していた手を下ろし、心臓の近くに魔力を集めた。ハルは口も開かず、手も動かさない。それなのにハルの胸元には小さな炎が浮かんだ。
「おにい、見すぎー」
ハルは少し口を膨らませると、その炎を自分の顔の横に移動させた。炎の移動した経路には大量の魔力が集められ、消え去っていた。
「多分この魔法のトリガーは想像と魔力。そういうことができるって信じ込むこととそこに魔力が流れることかな。私とおにいは普段から魔力を見て、動かしてるからできるんだと思う」
「ハルは『魔力操作』で俺は【支配】ってことか」
「うん、そう。多分間違ってないと思う。私の仮説を話すね」
ハルは笑みを浮かべ、再び胸元に炎を作り出した。




