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82.兄妹は調査を開始する

投稿が遅れてしまい申し訳ありません。

そして報告が。

数日前に活動報告に詳細を上げましたが、『地下室ダンジョン』の書籍化が決まりました‼

本日まで応援してくださった皆様。ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

「世界、救ってみない?」


 ハルの発したその言葉は俺の中に一瞬の引っ掛かりを生むが、それもすぐに掻き消える。


「そういえばハルって勇者系のRPG好きだったよな」


 俺たちがまだ前の家に住んでいた時、俺もハルも通常の高校生程度にはゲームをしていた。とはいえ家事のある俺と美術部に所属しているハルとでは一緒の時間があるわけもなく、だからといって社交性の無いハルに一緒に遊ぶほどの友人がいるわけでもない。

 俺とハルは基本的に、別々でゲームをしていた。そんな中でハルがはまったのがRPGだった。ちなみに俺はアクションゲームだった。

 そんなハルだが、中でも好きだったのが勇者物のRPGらしい。


「勇者が世界を救うために1人で戦うの。困ってる人を助けたりして。定番だけど良いストーリーだよね」


「最近のゲームだと大体勇者も複数人で戦っているがな」


「それぐらいなら1人とあんまり変わんないでしょ」


「そうかもな」


 つまりハルは今回のスタンピードで勇者の真似事をしたいというわけなのだろう。

 とはいえ、それは。


「ハル、俺たちが人に見られたら騒ぎになるぞ」


 誰かに知られれば今まで通りの穏やかな生活は送れないだろう。実際ダンジョンに潜る日々が穏やかといえるのかは微妙なところではあるが。


「前みたいに黒服で隠れれば?」


「さすがに、探されたら動きにくくなるだろ。正体がばれるのも時間の問題だろ」


「あー、そっかー」


 黒服で正体を隠したとしても、黒服として有名になってしまえばそれを探す人も増えてくる。人の目は多いのだ。行動範囲や身長。技能などは隠しようがない。

 勇者御一行のリーダーである勇樹などは、強度のステータスでは俺たちを超えているだろう。

 魔法や付与を使わない俺たちでは所詮そこそこの戦力にしかならない。

 それではハルの言う勇者にはなり得ないだろう。

 だとすれば。


「俺たちが成るとすれば頑張っても陰の英雄ってとこじゃないか?」


 いつかのガン・セーン戦のように本物の勇者を助け、正体を明かさず、存在すらも気付かれることなく。勝利の栄光すらも捧げる。

 勇者御一行を光照らす勇者だとすれば、その立場は陰の英雄というところだろう。


「あ、陰の英雄ってかっこよくない?」


「正体を隠す方法があればな」


 他の探索者の中に紛れ込み戦闘の助けになることはできるかもしれない。ただ、それでは普通の探索者が戦えないような強いモンスターとのところへは行けない。


「結局は堂々巡りなんだね」


「そうだな。まあ、考えても無駄なら」


 俺は自分たちの装備を取り出す。


「簡単なことから試してみるか。行こうぜ、ダンジョン」


「ん、了解」




 分からないことを考え、無いものねだりをしていても無駄だと判断した俺たちは、森林の探索を始めていた。


「んー、モンスターが少ないね」


「あぁ、さすがにこれは少なすぎるな」


 ダンジョンの中は異質だった。いつもなら少し歩けばモンスターと出会う森林で、未だにモンスターの気配すらほとんどない。


「ハル、試しに音出してくれ」


「了解【インパクト】」


 ハルの手に魔法陣が現れ、そこから光の玉が飛び出すと、その球は遠くの木、目掛けて飛んでいき、爆発する。

【インパクト】が当たった部分の木は消し飛び、轟音とともに倒れていく。しかし。


「数匹来ただけだな」


 音に引き寄せられた4体の狼の首を飛ばし。【把握】で周囲を確認する。

 今倒した狼以外に近寄ってくるモンスターはいない。


「もしかして、生み出された階層から出て殺されたモンスターは補充されないとか?」


「あのスタンピードでは森林のモンスターも空っぽになったと思っていたが。もしそうだとしたら、1階層なんかはもう何もいないかもな」


「うん、一応魔法陣の部屋に入るまではモンスターの気配無かったしね」


 しかし、そうだったとしたら今殺した狼たちは何故この階層から出なかったのだろうか。偶然?

 それに。


「リムドブムルも復活してないよな」


 試しに木に登り、見上げてみても龍の影は見えない。あの巨体なら、遠くにいても見える。

 そうこう話しながら森林を駆け抜けていくと見覚えのある場所につく。


「リムドブムルの巣だね。なにこれ?」


「前からこんなのあったか?」


 リムドブムルの巣の真ん中にあったのは半透明の球体。それはまるで。


「卵、だよね」


「大きさ的にはそうだな。半透明なのを除けば卵だな」


 半透明の塊は明らかに卵の形をしている。

 試しに触れてみれば、手は卵に触れることなく貫通し。手にこびり付くような嫌な感覚が残る。それはまるで魔力のようなもの。前に1度感じたあれによく似ている。

 アンガスの傭兵団がリムドブムルに施された封印に使った魔力のようなものと同種の何かだ。

 だとすれば。


「ハル、石碑に行くぞ」


「うん? 分かった」


 このヒントはあの石碑にあるに違いない。


すいませんが。

小説ページの一番下にリンクとイラストを貼る方法を知っている方がいたらご教授願います。

調べてもわかりませんでした。


2019年6月25日発売‼

挿絵(By みてみん)

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