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地下室ダンジョン~貧乏兄妹は娯楽を求めて最強へ~  作者: 錆び匙
3章 貧乏兄妹は強さを求め龍狩りへ
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42.兄妹は狩りを再開する

 

「さて、今日こそはダンジョンに入るか」


 リハビリの意味も込めてぶんぶんと右手を振るけれど、大して問題はなさそうだ。というよりはステータスの影響で上がっている力は筋肉が減っても影響が無いように思える。

 この感じだと、もし何年も寝たきりになっている人がいたとしても、もしその人のレベルが高ければリハビリが無いまま、普通に動けるということになる。まあ、ダンジョンが出現して1年しか経っていない今からすればそんなことが起きるのはいつになるのか。ということにはなるのだが。

 このダンジョン探索をしていない期間で我が家の家具はずいぶんと豪華になった。

 まずは椅子とテーブルをハルが直したもののボロボロな物から、中古だけれどほとんど傷が無い物に変わったし、大き目の金庫も買った。しっかりとネジで床に取り付けて、金庫ごと運べないようにして、錬金を使って金庫の外側をダンジョン産の金属に変えて、俺がそれを手で改良することで、ダンジョン素材ではないようにする。

 内側に使われている金属はしっかりとダンジョン産のままだ。

 中身を盗みたければ、自衛隊のパーティーかアメリカでリムドブムルを倒したパーティーを連れてこいと言うほどの強度にする。

 そして、ダンジョン関係の物は全て中に入れておいた。勿論そのままだとすべては入らないためアイテムポーチに入れてからだが。


 暗証番号と鍵で開く、その強固な金庫を開けて中から装備やら何やらを取り出す。

 久しぶりに着る装備がなんとも心地良い。刀もナイフもしっかりと手になじむ。

 ハルも久しぶりの装備に身を包み、ほぉー。と声を上げていた。


「じゃあ、おにい、行こう」


 ハルが両手に持つトンファーを左右に伸ばし宣言する。


「普通ならリハビリからと言いたいんだけどな」


「こんだけ長い間お預けされてて、リハビリからってのは無いよねぇ」


「今日は少々、大虐殺と行きますか」


 ハルはトンファーを持った手をぶらりと下ろすとダンジョンへとつながる柵の南京錠を開け、ダンジョンへと飛び降りる。

 俺もストンとダンジョンに着地すると、慣れた動作で南京錠を閉める。


 1ヶ月の間道場で鍛えられたその体は、だらりとしながらも全くぶれず、1階層であるのに自然な動作で警戒を絶やさない。


「転移、森林」


 転移の間でそう呟いた兄妹の体は魔力と共に掻き消える。

 消えていく二人の右手には、おそろいのミサンガが巻かれていた。



「久しぶりに来たな。このモンスターの感覚が久しぶりだ」


「だね。そこら中からモンスターの気配がする。レベルが上がった影響か分かんないけど察知の範囲も広がってるし」


 俺たちのステータスはガンセーンを討伐したことでしっかりと上がっていた。


 名前 :ハルカ

 技能 :魔法・工作

 魔属性 :(崩)爆(電)

 レベル:71

 強度 :80

 魔量 :167

 スキル:解析・魔弾・暴走・魔法合成

 魔法 :ボム・タイムボム・インパクト・ナンバー・(プラズマ)・(亀裂)・(剥離)・障壁・(崩壊)

 パッシブ:魔力回復・察知・工作・魔力操作



 名前 :トウカ

 技能 :付与・錬金

 魔属性 :無(呪)

 レベル:71

 強度 :104

 魔量 :139

 スキル:隠密・座標・物質認知・支配・ショートカット

 魔法 :スピード・パワー・ガード・バインド・チェイン・スロー・ロス・アンプロテクト

 パッシブ:把握・加速・錬金



 相変わらず魔量と強度の合計である戦力はハルの方が高いのだが、ハルは魔力特化で俺は近接もこなす器用貧乏へと成長の差が大きく出ている。

 死んでも復活ができるMMORPGとは違い、2人だけの、命が1つきりの現実では器用貧乏も需要がある。

 特化でもいろいろな特技を持つ人が自由に集められるようなゲームとは違い2人でしか戦えないのだから、なんでもできた方が動きやすいのだ。

 そして俺たちには双討の証がある。ペアとなる装備を持っているハルと共に行動しているからステータスに補正が掛かるのだろう。



「さて、やるか」


 俺は木の枝に跳び、木の上を伝って走る。

 後ろにはトンファーを掲げたハルが見えた。


「久しぶりに暴れる。『インパクト』『ディカプル』」


 俺の横を光の玉が突き抜ける。

 それは俺の先にある木へと向かう。


「そろそろ降りるか」


 爆風に巻き込まれないように。モンスターを狩れるように。下へ、木の裏へと隠れながら木々の間を突き進む。


 ドォーーン‼


 頭上で爆音が響き渡ると共にすさまじい熱風と光が広がる。

 その熱風は人を殺すほど強力だが、俺の強度からしたら問題はない。少し熱い程度だ。

 その連携には何も問題はない。

 その爆発は前よりも明らかに大きくなっていて、周囲の木々を砕く。

 炎の音、幹が砕かれる音、木の倒れる音。そしてモンスターの叫ぶ声。


 俺が降りた周囲にも沢山のモンスターがいる。


「どうせなら刀で行くか」


 体を思いきり傾けて足に力を籠める。そのまま地面を勢いよく蹴ることで急速にモンスターに近寄る。俺の蹴った地面には砂ぼこりが舞う。

 急所を狙って最速で。狙いは違えず一息で。

 居合切りの要領で近くにいたモンスターの中でも一番強そうだった奴の首を飛ばす。

 そのまま屈み、モンスターの足の間を駆け抜け次々と首を飛ばしていく。

 後ろから強力なモンスターが近づいてくる。ユニークだろうか。速さと位置から判断するに鳥系統。本来なら陰から背後から近寄り、一撃で殺すのだろうが残念ながら死角であっても把握している。

 それに。


「空間把握の性能からしたら敵じゃないよな」


 ガン・セーンから得たアイテムであるスキルシール。それにより使うことができるようになった空間把握は非常に強力で。

 近寄ってくる鳥の形から空気の流れ、魔力の流れ。戦闘に必要なすべてが把握できる。

 だから俺は鳥に背を向けたまま、ほんの少しだけ体をひねる。


「『スピード』『パワー』」


 自分に2つの付与を添え、刀に強斬のスキルを乗せる。

 居合切りである必要はない。鳥が自ら俺の刀に当たりに来るのだから。

 流れるように刀を頭上に掲げ、一瞬だけ力を込めながら刃をゆっくりと振るう。


「グギャーーッ」


 鳥の上げた声は断末魔の咆哮のみ。俺の刀に突撃した鳥は翼を捥がれ、腹を切り裂かれ。その勢いのまま空中で黒い霧となって死んだ。

 その勢いのままドロップしたアイテムは慣性の法則で遠くに転がっていった。


「刀をぶれないようにするだけで随分と斬りやすいな。『バインド』」


 俺の周囲に茨が立ち上がり残ったモンスターを弾き飛ばし、串刺しにする。

 それと同時に少し離れたところから爆音が響き渡った。


「ドロップ品を拾うのも面倒だしな。とりあえず戻るか」


 ドロップ品はそんなすぐには消えない。

 とりあえずは、と俺はそのアイテムを放置して爆音の方へと、ハルの方へと歩くのだった。




「全力で殲滅はするけど久しぶりだから無理はしないようにだよね。『インパクト』『ディカプル』」


 刀で敵を切り裂く一方で、ハルの周りには10の光の玉が縦横無尽に飛び回っていた。

 飛ばしたインパクトの魔法を魔力操作で強制的に動かしているのである。


「まずは一発」


 ハルの周囲を飛び回る光の玉が1つだけその場を離れていき、寄ってくるモンスターの群れの中心に落ちる。


「まだまだある」


 爆風と共にこちらに飛んでくるモンスターをトンファーで殺しながら次のインパクトを飛ばす。次はモンスターがこちらに跳んでこないように向きを調整してから。


「んー、2つ使えば簡単かな」


 再び敵の中心に落ちようとしていた魔法は少し向きを変えて、モンスターの群れの少し後ろよりの場所に落ちる。

 爆風で死ななかったモンスターが前に飛び出すがそこにはもう1つのインパクト。


 そこにあったモンスターの群れは、あっけなく。ハルの魔法をたった3つ使わせただけで全滅していったのだった。


「むぅ、弱すぎ。もっと呼ぼっと」


 余った7つのインパクトを等間隔で森の中に並べて起爆させる。モンスターの反応が多い方へと。

 連鎖的に爆発していったインパクトは再び森の中へと爆音を届けるのであった。


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