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地下室ダンジョン~貧乏兄妹は娯楽を求めて最強へ~  作者: 錆び匙
2章 貧乏兄妹は資金を求めて東京へ
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34.兄妹はリフォームを終える

 朝起きると外はしっかりと豪雨。そして家の中にあるバケツへと水が滴る音。現在雨漏り進行中です。

 運が良いのか悪いのか豪雨の上に風もそこそこ吹いており外には車1台通っていなかった。そもそも晴れの日でも車はあまり見ないのだが。


「さて、おにい。やろっか」


 ハルは安全のためにいつもの探索用装備に着替えるとその上から合羽を着る。

 俺も同じような服装に着替え、必要なアイテムがアイテムポーチに入っていることを確認してから外に出る。


「うわっ、さすがに雨強いな」


 雨は完全に横降りになっていて防水スプレーなど便利なものが無い我が家の靴はあっという間にびしょびしょになってしまった。それでもしっかりとした俺たちの改造のおかげでスパイクはしっかりとしている。金属製のスパイクなので雨でも氷の上でも滑らないのだ。

 俺の把握やハルの察知で周囲を見てみるが人がいるような感じはない。では。


「作業を始めるか」


 何歩か後ろに下がり地面を蹴って滑らないことを確認する。滑らないことを確認したらぬかるんだ地面をしっかりと蹴り、全速力で家に向かって走り、思いきり上に跳んだ。

 上に上げた手は容易に屋根をとらえ、勢いそのままに屋根の上に上がる。そのまま腹ばいになり、手を下に伸ばすとハルが掴まったので引き上げた。


 まずは、我が家の屋根となっている瓦。これすべてをダンジョン産の石材にしなければいけない。しかしそうしようとすると瓦の枚数だけアイテムが必要になってしまう。

 そこで俺たちは考えた。そういえば地下室にあったコンクリの粉。あれが処分していなかったはずだ。コンクリートは考え方によっては石だろう。よし瓦を全てつなげよう。という訳でコンクリに水を混ぜ、使える状態にしたのをアイテムポーチに入れて持ってきている。

 それをひたすらに細く、瓦をつなぐように付けていき、すべての瓦をつなげたのだ。

 下手に瓦の上に乗っけると雨で流されてしまうのが大変だった。そうして、コンクリは固まってはいないが屋根の瓦がすべてつながったわけだ。さて、錬金に移ろう。

 右手で屋根に触れ、左手をアイテムポーチに入れることで、屋根の材質を順々に変えていく。

 俺たちが集めた石材は余裕で足りて、すべての瓦がダンジョン素材に変えることができた。次に、瓦を1枚はがしその下にある木に触れる。

 おそらくはこの木に水が通ってしまい、劣化なども原因の1つとなってしまい雨漏りしたのだろう。というわけで屋根の下の木にも錬金を使い、ダンジョン素材に変えていく。なお、ここは外から見えないので存分に森林の素材を使った。そして、仕上げに移る。

 このままだと認知や鑑定、看破のスキルを持つ人が見たときにダンジョンの素材だと分かってしまう。それを避けるために、工作スキルを持っていない俺が自力で改造を加えなければいけないのだ。そこで俺は考えた。正確に言えば屋根のコンクリの時と一緒に思いついたのだが。

 つけ足したものは壊さなければいけないだろうということだ。俺はダンジョン素材に変わってしまったコンクリートの線を金槌でコツコツと破壊していく。それだけでダンジョン素材は力を失いダンジョン素材ではなくなっていく。

 しかし強度が落ちるわけではない。ダンジョン内のように強度への補整が無いだけだ。それだけならば普通の石材に比べたら十分硬いだろう。こうして我が家の屋根は、よく見ると素材不明の丈夫な屋根に生まれ変わったのだった。

 次は壁なのだがここはあまりすることが無い。ただ、ダンジョン素材にいっぺんに変えることと、壊すことを考え、家を何周か、麻の紐で巻いた。麻は植物なのだからまとめてダンジョンの素材に変えられるだろうということだ。

 目論見は成功し、壁をまとめて錬金し、麻ではなくなった麻の紐をなんとか切ると、その壁もよく見ると材質不明の丈夫な壁になっていた。

 このように家の中まで同じ作業を繰り返し、夕方までかけて家のリフォームは終了した。


 さぁ、家のリフォーム祝いしますか。


「さあ、おにい。次は地下室のリフォーム行くよ」


 あ、そうですね。はい。


 地下室の壁や地面なども木材と石材で、錬金することになったのだ。ただ1つそこで気づいたこと。

 たぶん、この家って欠陥住宅だな。

 いや、土台とかはしっかりしていて傾くことなどはなさそうなのだが、ただ床の下に空洞があるっぽい。なんか音の響きが違うし錬金をした時に地面と繋がっているはずなのに床下までしか魔力が通らない。調べてみたら最大で高さ2メートルぐらいの空洞ができてた。

 遥か地中から伸びるダンジョンが支柱になっていて沈むことはなさそうだが。

 ダンジョンができたせいか、時の流れで沈んだか、もともとの欠陥住宅なのか。よく分からんので、アイテムポーチを持って家の近くの林に行き、土をもらってきて、空洞はしっかりと埋めときました。ついでに余った石材で錬金しておいたから問題なし。

 ゲームばかりやってると忘れそうになるけど土だって圧縮して長い年月が経てば岩になるから。余裕で錬金できるのだ。

 ちなみに床下の空洞への土の入れ方は、まずドリルで床に直径5センチほどの穴をあけます。そこに土がたくさん入ったアイテム袋の口を突っ込みます。土だけを中から取り出します。ほら簡単。

 というわけで、やっと家のリフォームが終わった。


「お疲れー」


 後ろではハルがパチパチと手を叩いている。


「じゃあ夜ご飯作って。おにい」


「少しは休憩させてくれ」


 文句を言いながらも夕飯はしっかりと作る。

 日課になっている今、疲れていてもしっかりやるのだ。と言いたいが昨日は作らなかったことを反省しさっさと作り2人で食べ始める。


「そういえばハル。勇者御一行っていつ東京来るんだ? 一応見ておきたいんだが」


「ん? んー、飛行機とか東京についてもすぐに探索じゃないから、数日後じゃない?」


「じゃあ、その日に東京行くか」


「わかった」


 俺たちのランニングは大雨なのでお休み。おとなしく風呂に入りしっかりと睡眠を取ったのだった。

 そして1つ気づいたことがある。


「今日、ハルってほとんど何もしてなくね?」


 それに気づいたときにはハルはもう寝ていて、俺は泣き寝入りを決め込むのだった。ちなみに俺は細かなことは寝たら忘れるタイプである。




 高等探索隊のメンバーは今日も東京ダンジョンの調査を進めている。隊の中でも戦闘が得意なパーティーや偵察が得意なパーティー。支援が得意なパーティーなどと色々なパーティーが作られている。

 現在は安全第一ということで2パーティーの計8人で行動している。

 ダンジョンには4人より多い人数で探索するとデメリットが発生するというものがある。デメリットの内容は経験値とドロップアイテムの取得停止。5人以上で倒した敵は、何も残さないのだ。

 疲れるだけ。骨折り損。それなのにどんな人が大人数で行動するというのだろうか。それが経験値やアイテムを目的としていない人たちだ。

 例えば。

 ある特定の強力なモンスターを駆除しなければいけない人など。

 現在ボスは9層内を動き回っているため、一般人の9層への侵入は禁止されている。とはいっても転移陣があるので1度でも黒狼を倒した人は9層を通る必要がない。

 そもそも9層まで行ける探索者のパーティーが片手で数えられるほどしかいないのだから文句など出るわけがない。


 そういえば1度だけユニークモンスターが8層に上ろうとしたため交戦した。ユニークモンスターの強さは規格外としか言いようがなかった。高等探索隊も強いスキルを持っているがそれは戦闘系に限ったことではない。それでも全員がパーティーで黒狼を倒すレベルには上がっているのだ。

 そんなメンバーがデメリット無視で16人で戦って、結果は敗走。なんとか9層に逃げることでモンスターを9層に戻し、逃げたメンバーはパーティーごとに別の道を進み合流した。


 勇者御一行が東京ダンジョンに着くのは明後日。情けないと思いながらも高等探索隊は勇者御一行の到着を待ち望むのだった。




 おまけ情報

 高等探索隊の平均レベル…約22

 勇者御一行の平均レベル…約29

 御一行リーダー、勇樹のレベル…32

 通称最強の5パーティーの平均レベル…27


 政府が出した、ボスを討伐するには階層の2倍のレベルを持った人4人が必要と判断したもの。

 これは黒狼討伐時点の話であり、人化牛はその見積りで挑んだ自衛隊が容易く壊滅。

 リムドブムルに至っては階層の10倍のレベルの人4人で勝てるのだろうか。ということになっていた。


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