表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地下室ダンジョン~貧乏兄妹は娯楽を求めて最強へ~  作者: 錆び匙
2章 貧乏兄妹は資金を求めて東京へ
32/132

32.兄妹は新スキルを試す

頭のおかしいバイトの時給を修正しました。

幸いこの話までの内容への修正は無いので確認しなくても大丈夫です。

時給1500円になりました。力仕事の高額バイトならこれぐらいかな?

 あれから3週間が経ち、日本の各地のダンジョンで5層のボスを撃破したパーティーが出た。1つのパーティーが撃破してからはそれに追随するように幾多のパーティーが挑んでいったのだ。

 そもそもホブゴブリンはスキルが無くても勝てる相手であるのだからそこまで苦戦はしなかったそうだ。

 一番大変な部分は精神的な部分で、俺たちが経験したようにホブゴブリンはそれまでのモンスターに比べて圧倒的に防御力が高く、何度も攻撃を加えなければいけない。

 人型の相手を殺そうと鈍器や、鋭利な刃物で攻撃し続けるのだから、それに耐えられずに探索者を引退する人も出てきていた。そうなれば当然のように欠員が出たパーティーが一緒に探索できるようなメンバーを探さなきゃいけないわけで。それがまた人間関係の問題を起こすことになるのだ。

 既に過度な勧誘や喧嘩が原因で拘束された人もいるらしい。

 別に俺たちのように4人いなくても探索は可能だしレベル上げの効率もいいのだが、それまで4人でやってきた人たちがいきなり3人になるのは思いのほか支障が出るらしい。

 幸い今のところは死者は出ていなくて、せいぜい重傷者で収まっている。


 俺たちといえば俺は東京に行くためや日々の食事。他にも電気代などを稼ぐために日雇いの高額バイトに行っている。資材運び、時給1500円。ステータスのダンジョン外での影響は少ないとはいえレベル50まで上げたんだから、ステータスの影響で力はそこらのマッチョと同等だ。

 そのおかげか案外簡単にバイトは取れた。

 ハルは今まで解析のクールタイムが1分もあったせいで見ることができていなかったドロップアイテムに看破を使ってにこにこしていた。

 それに加え家事をすべてハルが受け持ってくれたのが嬉しい。そんなつもりはないのだが完全に専業主婦と大黒柱の状態になっている。

 看破のクールタイムは30秒らしく、今までの倍は見ることができるらしい。それに加えてまとめて見ることができるようになったことが大きいのか。解析とは違い看破は自分の頭の処理能力の限り一気にたくさんの物を調べることができたのだ。

 そしてハルはとても優秀だった。一気に何十個という数を調べ、スキルが入っている物を除外、入っていないものも新しいものは説明文を書き残すという作業を行っていた。おかげでハルも俺がいない状態で不安になることもなく平穏無事な数日間が過ぎた。


 そして俺たちは現在、朝食兼、家族会議中である。俺は時給1500円のバイトを19日間やっていたので17万円ほど貯まっている。すべて貯金と生活費に回ったが。


「さて、俺たちはゴブリンキングを倒した、倒れた?日から食料回収に6層で狩りをする以外のことをしていなかったわけだが、昨日ついに朗報が飛び込んできた」


 正確にはバイト仲間のおっさん探索者集団から聞いた話なのだが。


「なんか最近あったっけ?」


 ハルは首をかしげている。そりゃあそうだ。ネットでも正式には公表されていないのだから。


「そろそろホブゴブリンを倒した人が増えてきただろ。で、アイテムの流通が始まった」


「おぉー。これでお金が稼げる」


「ただしだ、安い。今のところ高額で買取が行われてるのは肉と毛皮だけ。他の物は使い道も難しいから安く買い叩かれるらしいぞ」


「えぇ、ってことは」


「今のところは大した金にならないってことだな。どう考えてもバイトした方が稼げる」


「そっかぁ」


 ハルは肩を落とす。まあ仕方がない。というわけで俺たちの娯楽を再開するのだ。


「今日からはダンジョンに潜らないか? 新しいスキルも試したいし」


「うん。行く。行きたい」


 ハルは一気に目を輝かせ乗ってくる。


「よし準備するか」


「了解」


 俺たちはそそくさと装備を整え、組手をしてからダンジョンに入っていくのだった。



「でも、最近ダンジョン探索にレパートリー少ないよね」


「仕方がないだろ。森林より先には行けないんだから。リムドブムルを倒すにはまだまだ遠いからな。よし、ここらへんでいいか」


「うん。じゃあ、いつも通りスタンピードを起こして乱戦の中で実験でいい?」


「いいぞ。頼む」


 俺は素早く三角跳びで木の上に上ると周囲を見渡す。当たり前だが木しか見えなかった。


「いくよー。『インパクト』『ディカプル』」


 ハルの魔法が周囲の木々をなぎ倒していく。


「じゃあ、こっちもだな。『バインド』」


 インパクトで根元を抉られた木に向かって、座標を使用したバインドを使い木の倒れる方向を強制的に俺たちから見て外側にする。ちなみに俺が立っている木も外側に向かって倒れている途中なので飛び降りた。


 遠くから数々のモンスターの叫び声が混ざったものが聞こえてくる。混ざりすぎていて言葉で表現できないほどだ。いつもより少し多いだろうか、よく分からん。


「じゃあ、私がこっちで」


「俺がこっちだな」


 俺たちは背中合わせに歩き出し、新しいスキルを発動する。


「『支配』」


 魔法ではないのだから本来は出さなくてよい言葉を、何故かそうした方が良い気がして口に出す。

 頭が急速に冷めてきて、体の中にある魔力が噴き出してきているのがよく分かる。魔力は俺の周囲を渦巻いていき、俺が前に手を出すと魔力も大きな手の形になって前に出された。


「自己の魔力の支配か。ハルの魔力操作の進化系みたいなもんなのか?」


 魔力がまるで体の一部化のように動かすことができる。ただ、スキルのはずなのに魔力が常に消費されていく。さっさとやった方がよさそうだ。


 ドォォオオン‼


 後ろから10や20では済まされない爆発音が聞こえる。ハルも始めたようだ。この様子だと暴走を使ったのだろうか。


「よし、俺もやるか」


 魔力を体の一部のように使える今、魔法の制限を取っ払うことも容易である。

 俺は言葉もなしにスローの魔法を行使する。座標の力も合わせ、超広範囲で、敵全体を覆うように。

 そのままその範囲にバインドを使用。ただし拘束するためには使わない。

 手を、指を動かすようにバインドでできたいつもより巨大な茨は動き回り、モンスターを切り裂き、抉り、弾き飛ばす。自分が描いた魔法陣の中心に向けて、1匹の脱走も許さない。

 茨は正確にモンスターたちをとらえ真ん中に集めて。

 俺は力強く両手の手のひらを合わせ合掌をする。するとたくさんの茨は一気にまとめたモンスターたちに迫り、まとめ、握りつぶした。

 それを最後に自分の魔力を使い切ったようでふらっとしてしまう。周囲にモンスターの影は無かった。いつの間にかハルの戦闘音もやんでいた。


「お疲れ。やっぱり私の方が早いね」


「無理言うな。そもそも俺は殲滅に向いてないんだよスキル構成が。で、新しいスキルはどうだった?」


 ハルは迷った風な様子を見せてから話始める。


「正直言うとよく分かんないって感じなんだけど暴走ってちょっと気分がハイになって、自分の魔力的制限がなくなってた。だから属性関係なしにインパクトと剥離とプラズマを同時に使ってたの」


「つまり暴走の効果は制限の解除か」


「うん。それと自己の強化。多分それだけだと思う。魔弾は魔力そのままの不可視の弾丸かな。私とかおにいみたいに魔力が直接見えたらただの速い遠距離攻撃だけど。おにいのはどうだった?」


 ハルのスキルを大体理解したのでこちらも説明を始める。


「まず、暴走と同じように制限が外れた。魔法を無言で同時に使うことも可能だったからな。で、魔力が体の一部みたいに動かせた。多分魔力操作より完璧なものなんじゃないか。それと大した量ではないが空気中にある魔力にも干渉できた気がする」


「へぇ。ってことは。おにい、少しの間だけ支配使える?」


 ハルの質問に体の中を意識してみると少しだけ魔力が回復している気がする。


「数秒ならできるな」


「じゃあ、私が看破をおにいに使うから支配を使って抵抗して。行くよ。せーの」


「『支配』」


 ハルの一方的な制限と共に細い魔力がこちらに向かってくる。あれをそのまま支配するのは難しいだろう。

 支配を使用し、魔力を使ってハルの方からくる魔力に壁を作る。ムラも隙間もないように。そうすればハルの看破はこちらに来ることができない。

 そのまま絡めとるようにハルの魔力を俺の魔力で包み、そのままハルに返す。それと同時にハルの看破による魔力が何故か俺の魔力と混ざりあい、それがハルに当たった瞬間頭の中に文字が浮かんだ。


 名前 :ハルカ

 技能 :魔法・工作

 魔属性 :(崩)爆(電)

 レベル:56

 強度 :64

 魔量 :132

 スキル:解析・魔弾・暴走

 魔法 :ボム・タイムボム・インパクト・ナンバー・(プラズマ)・(亀裂)・(剥離)・障壁

 パッシブ:魔力回復・察知・工作・魔力操作



 先程ハルが自分に看破を使った時とほとんど同じ表示。つまりは。


「人のスキルを乗っ取ることもできると」


「そうだね。私が抵抗しなきゃ、だけど。もっと丁寧に魔力動かさないと簡単に抵抗されちゃうよ」


「分かった」


 ハルにアドバイスをもらいながらそこらに散らばるドロップアイテムを拾っていく。

 すべてアイテムポーチに入れ、階段のある洞窟の部屋に行き、アイテムポーチに入れたドロップアイテムを全て出す。

 ハルは看破になりまとめて見ることができるようになり、俺は物質認知によりアイテムの素材とスキルが入っているかだけならハルよりも早く調べることができるようになったので帰る前に要るものと要らないものを分けようということになったのだった。

 で。


「今日のごみスキルは2個で、持って帰るのはこれだけだな」


「うん。他の物は捨てていこ」


 こうして俺たちはいつも通りダンジョン探索を楽しむのである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ