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109.兄妹は隠し扉に憧れる

新作、『“ぼっち”な迷宮製作論』(仮題)を投稿しています。

地下室ダンジョンとも絡めていますので、興味が湧いた方は是非そちらも

見に来ていただけると幸いです。

 俺の腕が復活を遂げてから数日。俺はだんだんと以前の生活を取り戻していた。とはいえ、感覚が戻るまでは大変だった。腕がなくなった時と同様、歩けばこけるし、ご飯を食べるときは茶碗を持つのを忘れる。

 当然ダンジョンには潜れないし、下手な運動もできない。ここ数日の日課は家の近くの散歩とストレッチだ。これがリハビリになれば良いなと思う。


「でだ、ハル。普通に動けるようになったからそろそろダンジョンに行ってもよいと思うのだが」


「だめ。動けるようになったら、次は刀を振れるようにしないと。刀振りながら全力で走れるぐらいにはならないと危ないから」


「やっぱだめかー」


 ハルが怪我をすればダンジョンに入るのを止めるのは俺の役目だが、自分の怪我だとどうしてもそのハードルが下がってしまう。

 そうなれば俺がダンジョンに入るのを止めるのはハルの役目だ。俺たちは互いを少々過剰なまでに心配しあうことによって、ダンジョン探索での安全を確保しているのだ。

 当然片方が押し切ることも無いように、ダンジョンに入るのは互いにダンジョンに入って良いと認めたときだけになっている。


「ほら、おにいは運動。私も早くダンジョンに行きたいんだから」


 ハルは横に置いてある、紐で鞘から抜けないようにした刀を俺に放り投げる。俺が刀を受けとったのを確認したのちハルはパソコンの前に戻り、調べ物を再開する。

 俺のリハビリでダンジョンに行けない間、特にすることの無くなったハルはその時間をとことん調べものに使っていた。

 今パソコンの画面に表示されているのは俺もハルも全く読めない英語のブログページと有名翻訳サイトだ。性能はあまり高くないのでうんうん唸りながら調べ物を続けていく。

 調べる内容は当然レベルの解放と開示情報、神の祝福。

 今のところレベルの解放はいくつか例があるらしいが、その解放が何を解放したのかは分からないらしい。

 普通に考えればレベルの上限の解放だろうから、今のところレベルの上限まで達した人は誰一人として存在しないのだろう。いや、もちろんレベル上限の解放と決まったわけではないのだが、それ以外には思いつかない。

 開示情報に関しての情報は今のところ皆無だった。いくら検索を繰り返しても、自称研究家や物好き探索者、作家などの推測のものばかりだ。そんな人たちには実際にダンジョンの深いところまで潜っている人が少ないため、見当違いなことを言っていることも多々見つかる。

 宇宙人の侵略だとか、どこかの国が秘密裏に開発した兵器だとか。宇宙人の侵略だとしたら出てくるモンスターが人の想像したモンスターや地球上に存在する生物に酷似しすぎていておかしいし、ダンジョンが兵器だとしたらここまで意味のない兵器作る意味がないだろう。

 実際ダンジョンは人間に大きな被害を与えているが、少なくとも日本では受けた被害に比べダンジョンの生み出した経済効果が圧倒的だ。

 しかも日本人しか使わない日本語という言葉が人化牛に通じたことを考えると、もしダンジョンが兵器だった場合には作成国は日本である可能性が高い。そうは考えたくないという意味も込めてありえないだろうと思っていよう。


「あれ、おにい。何か起きてる」


 ハルが口を開いたのは俺が刀を持ち、立ち上がった時だった。刀を振るのが面倒だったこともあり、俺はすぐにハルの後ろに回り込み画面を覗き込む。


『ダンジョン遺跡エリアの入り口付近に隠し部屋を発見‼』


 その記事を読んでみると、最初にその部屋が見つかったのは外国のダンジョンらしく、その部屋の場所は一部の人の間で少しずつ知られていったらしい。

 今回それを聞いた1人の探索者が本当に部屋はあるのかを検証し、その部屋を発見したらしいのだ。

 ただし、噂があったのとは別のダンジョンで、だ。

 部屋を見つけた人は部屋が本当にあったことに驚き、その日のうちに思わずSNSに投稿したのだ。

 誰も見つけられない隠し部屋と、その部屋の入り口は目で見ても壁にしか見えず、触ると壁のような感触があるという、意味不明な言葉の影響も受けてその情報は世界中にデマとして伝わった。そして今日、改めて隠し部屋が日本の東京ダンジョンで見つかったのだった。

 ちなみにダンジョンの隠し部屋の存在をSNSで公表してしまった外国人の男性は現在行方不明らしい。


「ハル、俺たちも見にいかないか? 戦わないようにそれだけ見て帰ってくるようにして」


「うーん、大丈夫かなぁ。最悪私一人でもどうにかなる場所だし。遺跡の入り口って話だし。おにい、もう走るのは平気なんだよね」


「少しスピードは落ちるが、こけることはもう無いな」


「わかった。おにいはモンスターが出たら私の後ろに下がって。一応私に付与もお願い。それならいいよ」


「了解」


 俺たちはすぐに刀の鞘の固定を外し、装備を整えダンジョンに潜った、俺たちもはっきりとした隠し部屋の場所と入り方はわからない。目では見えず触っても分からないのだ。

 おそらくその入り口は闇雲に壁を叩く程度では見つからないのだろう。

 とはいえ、俺たちには様々な魔法とスキルがある。俺たちの中には入り口を見つけることが可能だという確信があった。

 ハルの『看破』『察知』『魔力操作』。俺の『物質認知』『支配』『把握』。

 俺達には目に見えない魔力を察知し、それに干渉する手段が多くあるからだ。


「この程度の仕掛けで俺たちは止められないよな。ふぅ」


「だよねぇ。簡単だった、簡単だった‼ はぁ」


 先の6つのスキルをふんだんに使い、ハルの宝具である液体魔力すらも使った。俺たちの魔力はほぼ底をつき、隠された入り口を発見したのはダンジョンに潜って4時間が過ぎた頃だった。



twitterやってます。

https://twitter.com/sabi_spoon


次作『“ぼっち”な迷宮製作論』連載中です。

https://ncode.syosetu.com/n4830gw/


漫画連載中です。

https://seiga.nicovideo.jp/comic/49313?track=keyword_search

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