101.兄妹は考察し魔女は動き出す
今回かなり短いです。
コミカライズの配信中です。
https://seiga.nicovideo.jp/watch/mg498843?ref=nicoms
「森林を1人で探索ってだけでもかなりのレベルだよな」
「魔法で戦ってるみたいだからね。魔力が無くなったらゲームオーバー」
「しかも一撃で倒してるんだろ。勇者御一行のメンバーより強いんじゃないか?」
本来ならば魔法系技能はそれ単体で戦うものではないと思う。同じレベルの近接戦闘系技能と比べると強度は半分になってしまい、モンスターから1度攻撃を受けるだけでかなりのダメージを負ってしまう。
だからと言って弱いレベルの敵と戦っていてはレベルが上がらない。
「んー、どっかのパーティーで活動してた人が独立したのかな」
「そんだけレベル上げられるぐらい活動しているなら1人になるデメリットぐらい分かりそうだけどな」
長くダンジョンに潜っていればいるほど仲間と戦う心強さが分かる。というより集団で戦うのに慣れた人が1人で戦うのは難しいだろう。
俺たちは最初から1人でも戦えるような戦い方をしているが、4人でパーティーを組んでいる人たちは事情が違う。
後ろで活躍する魔法技能の人はモンスターの攻撃から逃げる術を知らないし、普段巨大な盾を持ち仲間を守る人は効率的なダメージの与え方を知らない。
独りで戦えそうに見える武器を持った前衛技能の人も実際は仲間から回復させてもらったり、守ってもらったり、一人では足りないダメージを補助してもらったり。
「あとは、実は人じゃないってところかな。可能性は低いけどあり得ない話じゃないし、そこら辺の強い探索者ってよりは信ぴょう性があると思う」
「女性とは書いてあるが見た目に関しては他に書いてないからな。どこで女性と判断したのか」
「顔よりは髪とか胸とかの方が分かりやすいよねー」
考えが堂々巡りになっているのを感じ、小さくため息を吐く。
「まあ、話が逸れたがその女性がしたことはハルもできるだろ?」
「当然。森林のそこらへんにいるモンスターなら【ボム】だけで倒せるよ」
「じゃあ、現状はなんとも言えないか。底は知れないが、探索者だったら警戒するのもお角違いだしな」
そもそも俺たちが話していたのはリムドブムルが消えたことについてだった。改めてSNSで調べてみるがダンジョンの異変の情報は無い。
あるのはどこかで珍しいアイテムを入手しただとか、マナーの悪い探索者がいたとかその程度だ。
「これだけ強いんだ。探索者ならいつか話題にも上がるだろ」
「目撃情報が無いか定期的にネットで調べるぐらいはした方が良いかもしれないけどね。もしかしたら私たちみたいに隠れたダンジョンを所有している人かも知れないし」
その時、炊飯器から電子音が鳴ったのを聞き、俺はパソコンを閉じる。
「まあ、まずはご飯食べるか」
その日、再びダンジョンに潜ることはせず、のんびりとした一日を過ごした。
次の日もダンジョンに潜り、その次も、その次も。
ダンジョンに異変が起こることは無く、モンスターは普段通りたくさん発生している。黒衣の女性の情報が再び見られることもなく、SNSで見られる情報は勇者がどうした、とかレアアイテムがどうしたとかその程度。
森林のさらに下の階層にも潜るようになり5階層分、21層まで潜ることができていた。
現れるモンスターはダンジョンの浅い層と同じで、速さやスキルを使う所が違うとはいえ慣れたらさほど難しくもなくなった。
気付けば1週間が経ち、1か月が経った。
そして。
「君は何者かな? そこにいるのは僕たちと同じ探索者だ。手を放してもらおう」
勇者と1人の魔女が対峙していた。
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