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7日目の満月  作者: 井ノ上 成也
3/12

胸騒ぎ

「ただいま〜」

帰宅した健介は、自分の部屋に上がるとバックを床に置いた。

下からはカレーのいい香りがしてくる。

脱いだワイシャツをベットにほおり投げ、健介はリビングへと向かった。


リビングにはもうすでに夕飯が並べられていた。

母の手作りカレーだ。

健介は席につくと、目の前のカレーにがっついた。

「おかえり。

あんたさー、ただいまくらい言いなさいよね」

「はんといったは」

「もう!ゆっくり食べなさいよ!」

いつもと変わらない夕食の風景。

ふとテレビを見ると、朝と同じニュースが流れていた。

「多嘉島街でここ連続して起こっている連続怪奇殺人事件ですが、被害者は全て女性と見られており、性的暴行の痕跡はありません。」

性的暴行が目的じゃないってことは何が目的?

ふと、健介はそんなことを考えた。

「ほんと怖いわよね〜

しかも隣町って聞いたから尚更よ

知春、あんたも気をつけなさいよ!」

横で同じように聞いていた母が言う。

「ほんとだ〜

私可愛いから襲われちゃうかも兄ちゃん」

「お前はブスだからない」

ぶりっ子してきた妹に一言。

その後頭に1発喰らう。

「もうお兄ちゃん、RINEツルツルのハートあげないかね」

それは勘弁してくれと健介は頭を下げた。


夕飯も終わり自分の部屋へと戻った健介はベットに寝転がった。

スマホを開き、「RINEツルツル」を開く。

キャラクターのマスコットを滑らせて得点を競うスマホゲームで、最近は里紗や達也とも競っている。

その中でも里紗はダントツのスコア数で俺も勝ったことがない。

「くっそ〜、またアイテムとれないじゃんかよ」

気づけば30分が経っていた。

ふと里紗のアカウント欄を見ると、最終プレイ時間が2時間前となっていた。

「2時間前って俺が帰ったくらいの時間だよな...

そんなに早く帰ったんかなあいつ...」

健介は不思議に思ったが、里紗のアカウントのハート欄を押してハートを送った。


なんとなくバックを見ると、プリントの切れ端が飛び出していた。

取り出してみると、それは課題のプリントだった。

「げっ!齋藤に明日までに出せって言われてたプリントじゃん!

やべー、忘れてたわぁ」

健介は肩を落として机に向かった。

数分、プリントとにらめっこしていたが、全く解けない。

「こりゃあ、里紗に聞くしかねーなぁ」

健介はスマホを取ると、RINEを開いた。

「そーいえば、いっつも帰ったらメッセージ来るんだけどな...

なんで来ないんだろ...」


その時だった。

健介に突然妙な胸騒ぎがした。

言葉では言い表せない不吉な何かを感じた。

「なんだよ今の...」

気持ち悪いと感じながらも健介は里紗にメッセージを送った。

「悪い里紗。課題のプリントの答え教えてくれ」


しばらくして、健介はスマホを手に取った。

里紗からの返信はまだない。

おかしい、いつもならすぐくるはずなのに。

妙な胸騒ぎがまた健介を襲う。

「電話してみるか…」

里紗の電話番号を選択し、かけた。

「お留守番サービスに接続します…」

何度かかけてみたが、里紗は出なかった。

ふと時計を見ると23時を回っていた。

寝てるのだろう。

健介は無理やり、そう思うことにした。


明日の朝、里紗に会って理由を聞こう。

健介は布団に入り目をつぶった。


しかし、朝になっても里紗からの連絡はなかったのだった。


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