プロローグ
初めまして。成也と申します。
この「7日目の満月」という作品はサイコホラー小説となっております。
グロテスクな描写がありますので、苦手な方はご遠慮下さい。
素人で一般投稿なので誤字や読みにくい部分があるとは思いますが、是非私の独自の世界を体験して頂けたらと思います。
読んでみての感想などありましたら、是非教えていただけると有難いです。
どうぞ宜しくお願いいたします。
外はまだ雨だ。
秋の終わりということもあり、少しひんやりとした空気が漂っている。
この部屋では、今にも崩れそうなこのアパートの屋根のきしむ音と、雨の音しか聴こえない。
僕は軽く深呼吸すると、隣に座っている女を見た。
「んん...」
猿ぐつわを咥えさせられ、手足を縛られて、自由に身動きが取れない女。
哀れだ。
僕は少し可哀想になり、彼女に問いかけた。
「怖いかい?」
女は僕のことを獣を見るような目で睨みつける。
「んんー!!」
女はガタガタと椅子を揺らし、抵抗しようとする。
よく見ると顔立ちの整ったいい女だ。
肩まで伸びた髪はさらりとしていて、恐怖からか首筋には汗が流れている。
そんな彼女を見ていて興奮を覚えた。
と同時に、普通に生きていれば、いい人生を送れただろうなという思いが生まれた。
そう思うと少し腹が立った。
何かに突き動かされるように、机に向かった。
散らかった机の端から1本のカッターナイフを取った。
幼い頃からずっと使っているカッターナイフ。
彼女を、このカッターナイフで殺してあげれると思うと、優越感を感じた。
「今から君を殺してあげるからね。」
そう言うと彼女の顔は青ざめ、さらに激しく抵抗した。
「んんー!!んー!」
もちろん、叫んでも声は出せない。
暴れても手足に縛られた縄が解けることは無い。
僕は彼女の首元にカッターナイフを当てた。
「やめ...て...」
そう微かに彼女の声が聞こえ、左手に暖かいものが触れたが、僕は迷うことなく首元に当てたカッターナイフを引いた。
噴き出る鮮血。
僕のお気に入りのシャツはどんどん彼女の色で染まっていく。
なんて素敵なんだ。
僕はこの瞬間が好きだ。他人の色に染まれるこの瞬間が。
しばらくの沈黙が続き、我に返る。
彼女は水槽から出したばかりの魚のように、身体を震わせていた。
もちろん彼女も自身の色に染まっていた。
外ではもう雨は降ってないみたいだ。
ふと窓から空を見る。
雲の隙間からぼんやりと光る月が見えた。
月明かりに照らされた彼女は美しかった。
僕はずっとこのまま彼女を見ていたかった。
そんな僕のことを彼女は睨むような目で見ていた。
僕は彼女に微笑んで、ありがとうと伝えた。
外からは小さな雨の音が聴こえる。
曇天に浮かぶ月はまるで嘲笑うかのように、僕を見ていた。