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プロローグ
窓の外一面は、白色に染め上げられていた。味気のない単調な、色合い。
国を統べる王は、窓の外に視線を向けたまま顔を顰め、宰相に言う。
「まだ、判明せんのか」
「……はい」
申し訳なさそうに、側に控えていた宰相は返答する。すると、王はまた別の問いを口に出した。
「あの子は、見つかったか」
宰相は口を真一文字に結んでから、無念そうに口を開いた。
「残念ながら、未だ」
「……そう、か」
沈黙が、静寂が二人に訪れた。
この王が統べるは、季節巡る国・シキ国。そのシキ国は、二つの問題に悩まされていた。
一つ目は、厳しい寒さの季節・冬が終わらず、暖かく麗らかな季節・春を連れてくることができないということ。
そして、二つ目。
シキ国の第三王子と、春を司る女王様が謎の失踪を遂げているというものであった――。
どうぞお付き合いをよろしくお願いします。