完全爆睡とはこの事なのか
「・・・なるほどね~、貴方達相当苦労したのね~…」
「は、はぁ・・・まぁ・・・」
あれから菖の部屋に入ってからは少しの間先ほどの性の話について話をしていたが流石にこのままではまずい、そう思った明は性の話題から自分達の過去の事について話をする事にしたのだった、そしてたった今話し終えた所だった
「…そっか、それじゃあ今までずっと二人だけで支えあって生活、してきたって事よね?」
「あっ、はい、まぁ、それなりに・・・」
「…まぁ、そうですね、こんな問題ですから友達もできなくて…まぁ、でも明兄がいたから、一緒に支えあってこれたから今もこうやって明兄と一緒にいられるんですけどね!」
天羽からの同情のような、憐れむようなそんな視線に気づいたのか菖はそう笑みを浮かべては隣にいる明の腕に腕を絡ませ抱き着いた、流石にこの状況に慣れたのか明は菖を見ては苦笑いした、そんな明に天羽も苦笑いした
「・・・そう、ね、明君がいたから菖ちゃんは今まで頑張ってこれた、つまり菖ちゃんがいたから明君もこうやって頑張ってこれた、違うかしら?」
「全然違くないですよ、天羽さんの言う通りです!俺も菖がいたからこうやって頑張ってこれたんです!まぁ・・・最初菖が行方不明ってなった時は全然生きた心地がしませんでしたけど・・・」
「明兄・・・」
明はそう言い頭の中であの時の焼き焦げた跡の家を思い出していた、必死に警察に探索を続けさせるもまったく見当たらず、焼き焦げた遺体の中には菖の遺体らしき者はなく、ただ焼き焦げた醜い母親、そして醜い父親、二人だけの人だった、残骸しか残されていなかった事だけだった
「・・・そういえば、気になったんだけど、そんなに家全体が燃えるほどって隣の家とかには火、移ったりしなかったのかしら?」
「!あぁ、それならたまたま隣が空き地になっていましてね・・・それで偶然二次災害とかにならなかっただけですよ…なってたら今頃僕達は・・・」
「・・・借金地獄…」
二人はもしそうなっていたらと、そう想像してはため息を吐き、暗くなった、そんな二人に天羽は苦笑いしては茶を啜った、茶からでる香ばしい香りは風に乗せられ二人の鼻へ持っていかれ、その匂いを吸い込んだ二人は我に返った、どうやら茶にはなにかリラックス効果でもあるのかもしれない
「…あっ、そういえば天羽さん」
「・・・ん?」
「…えっと、さっきの話しなんですけど…やっぱり俺は菖と一緒の部屋で過ごしたいんでその鍵は申し訳ないんですけどぉ・・・」
両手を合わせては申し訳なさそうな表情をした、そんな明に天羽はまた茶を啜っては少し、深くため息を吐いた
「…わかりました、特別に私が二人が共に部屋で暮らせる事を許可します」
「!!」
「っ!や、やった!」
先ほどまで何回もダメ、そう言われていた事がなんとか今承諾をもらえた事に二人は笑みを浮かべ互いに抱き着きあった。やはり双子なだけあって似ている部分がかなりあり、そしてどこか精神的に幼い部分が多少はある、そう天羽は思った
「・・・ただし、明君」
「!は、はい?」
「・・・ムラムラしたからって襲っちゃだめだよ?」
「ッ!!し、しませんよ!!そんな事!!」
「・・・あっ…そういえば、明兄…ううん、明って、その・・・なにでやってるの…?」
「菖…お前はもう気にしないでくれ…後、呼び方も違ってるぞ…」
またしても先ほどと同じ話題に変わってしまった事に深くため息を吐く明、そして無理やり聞き出そうと明の肩を掴み揺らす菖、そしてそんな二人を見てほほくそ笑む天羽、そんな天羽に明は絶対わざとやっている、そう思ったのだった、そしてそれと同時にとてつもない眠気がやってきては倒れるように明は床に横たわった
「っ!!あ、明兄!!?」
「すぅ~…すぅ~…」
突然横に倒れた明に菖は急いで近寄り揺すった、そして目の前で見ていた天羽も最初は動揺するも寝息を立てている事に気づいた
「菖ちゃん大丈夫よ、明君ただ寝ちゃってるだけだから」
「っへ?」
天羽にそう言われた菖は顔を明の顔へ近づけていき口元へ耳を持っていった、すると微かにだが寝息が聞こえてきた、そこでただ寝ている事に気づいた菖は安心からか尻もちつくかのように後ろに倒れた、本当に心配していたのか微かに表情が強張っている事がわかった
「・・・今日色々とあったからね、疲れちゃったんでしょ、もう完全に爆睡ね」
明の元へ近づき頬をペチペチと叩くように触ってみても無反応、そこから天羽はそう判断した、そして
「それじゃ、私はもう帰るから、これ明君に渡しておいてね」
「!これって・・・」
天羽がそう言い菖に渡した物、それは服と靴だった。どうやらいつの間に用意されていたらしい
「さっき明君が来る前にね化野が電話で用意しておいてくれって言ってきてね、速攻で用意したのよ、結構疲れたわぁ、って事で私は帰るわね」
「!は、はい!また明日です!天羽さん!ありがとうございました!」
部屋から出て行った天羽に菖は急いで部屋から出てはそう言った
「えぇ、また明日、明君によろしくね~」
「はい!伝えておきま~す!」
そう言うと天羽は手を振り帰って行った、そして天羽が目の視界から消えた所で部屋の中に戻り明を一旦起こす事にした、理由はその布団でもない場所で寝られた場合風邪をひくからである
「ちょっと明兄~!起きてよ~!こんな所で寝ちゃったら風邪引いちゃうよ~!」
「・・・」
「・・・はぁ…完全に爆睡しちゃってるよぉ・・・」
仕方ない、そう判断した菖は自分の布団を持ってきて明兄と一緒に寝ようと思った、何故明の布団をもってこないのか、それはただ単純に面倒くさいのと出す時間がかなり長くなってしまうからだった、そしてそう思った菖は移動しようとしたが何かに足首を捕まれたのだった
「っ!!あ、明兄?」
「・・・あやめぇ…すぅ~…すぅ~…」
「!…明…おかえり…」
久しぶりの明の寝顔に菖はつい懐かしくなり笑みを浮かべ、そう言った