性の事なんて気にしないでほしかった
「えっと、はい、これ鍵ね」
「えっ、これって?」
「?これってって、この部屋の鍵よ?」
あれから数時間、明と菖は火事の日から今日の日まで一体何をしていたのか、どう生活していたのか、と話し込んでいた、勿論二人だけの時間を作るため化野は疲れた、そう言葉を残しては事務所から出て行った、悲しい事に二人は完全に話し込んでしまい気づいた時にはとっくのとうに化野はいなくなっていた、そしてお礼については後日話す、そう決めた、そして今何をしているのかというとアパートに来ている、目的は勿論明の部屋についてだった、今目の前にいるこの女の人は事務所の一員で名前は天羽紋と言うらしい
「えっ、いえ、そういう事じゃなくて・・・」
「?どうしたの?」
「あ、あの紋さん」
何か困った様な、でもなにか言いにくそうにしている明に天羽は何か不都合でもあるのかと思っていると菖が話しかけた、菖は菖でまた何か困った様な、でも苦笑い気味でいる
「ん?」
「実は私と明兄はその、ずっと一緒にいまして、ですね?つまり、寝る時とかもずっと一緒だったんです、だから、つまり、私と明兄は一緒に住むのでそのお部屋はいらないって事が言いたかったんです!」
菖はそう言っては何故か誇らしげな表情をした、そして言い終わった事によるなにかしらの達成感かわからないがすごく嬉しそうな、でも疲れたような顔をしている、そして数秒間沈黙が続く、明、そして菖は額に汗を掻く、なぜ汗を掻いているのか、それはせっかく部屋を手配してもらったのにここに来て断っている自分達が非常識、または罪悪感からの汗だった、そしてその沈黙を破った天羽の言葉は意外なことだった
「えっ、あ、貴方達って、仮にも思春期の年齢、よね?」
「・・・え、は、はい、そうです、けど?」
「は、はい、そうです、よ?」
天羽からのまったくもって違った反応に明と菖は互いに見つめ合っては再度天羽を見てはそう力が抜けたような声で言った、そして一方で一体何を心配しているのか天羽は顎に手を持っていっては何かを深く考えている、その様子に明と菖は互いにまた目を合わせては頭上にクエスチョンマークを浮かべた
「・・・一つ、聞いていいかしら?」
「!は、はい、なんでもいいですよ?」
「は、はい、できる事ならなんでもいいます」
一体何を聞かれるのか、そう思うだけで明と菖は何故か警戒気味になる、そして天羽から出た言葉、それは
「・・・っ、貴方達って、そ、その・・・と、特に明君は性の事について、どうやって対処しているのかしら・・・?」
「 」
「っ・・・ぇ…っちょ…」
天羽から出たその衝撃的すぎる言動に菖は目を大きく見開いては段々と顔を真っ赤にしていき後ろを見ては明を見た、そこで明も顔を真っ赤にさせてあたふたと手を違う、と一生懸命アピールしている、何故そんな事をやっているのか、それはわからない
「っ・・・そ、そういえば明兄って…ううん、明って、そ、その・・・な、なにを想像して、やってるの・・・?」
「っ!!ちょ、ちょっと天羽さん!!」
「ね、ねぇ、教えてよ明!」
「ちょ、ちょっとぉ!?菖も菖でお、落ち着いてって!」
何をどうしてそんな事がそんなに知りたいのかわからないが菖は明の肩を掴んでは乱暴に降り駄々をこねては無理やり聞き出そうとしている、そして明はそんな菖を落ち着かせようと抱きしめている、明と菖は大体10cmぐらい身長の差があり明の胸元に菖の顔が埋まる位置になっている、実にこの光景は奇妙である、第三者から見た場合なにかの修羅場にしか見えない状態にある、完全コピーとまではいかないが仮にも双子で髪色も同じ色で顔の作りもそっくりなそんな二人が大声で性の事について話し合っている、そしてその目の前では若い女の人が顔を赤くし唖然としている、実になにか誤解されてしまいそうな光景である
「だ、だって・・・その…二人は家族で双子で、兄妹…だけど…菖ちゃん凄く可愛いし…それに、そんな仲が良い二人が一緒に寝てるって聞くから…明君が獣になっちゃって菖ちゃんを・・・その、ね?」
「っいやいや!!全然ね?、じゃないですよ!!?まだ全然子供達である僕と菖になに言っちゃってるんですか!?」
「っあ、明ってもしかして…私で、その…やってたりする、の…?」
顔を真っ赤にさせては大声でツッコむ明に対し胸に顔を埋めていた菖は顔を上げては頬を紅色にしてはどこか照れくさそうにし、明にそう言い放った、そんな菖に明はより顔を真っ赤にさせた
「っあ、天羽さんが変な事言ったせいで菖が変になっちゃったじゃないですかぁ!?」
「だ、だって、ねぇ?」
「いや、だってねぇって・・・」
舌をベロりと出しては苦笑いした、まるで子供の悪戯のような、そんな顔を、そんな天羽に明は顔を青くさせた
「・・・う~ん…そうねぇ…とりあえずここじゃ他の家に迷惑だからとりあえず菖ちゃんの部屋で話しましょうか」
「!そ、そうですね!ほら、菖!部屋入るぞ!」
「…わかった」
菖の部屋へ入って行った天羽を追いかけるように菖も部屋に入った、だが相変わらず視線はずっと明を追ったまま、その視線に明は顔を青くさせては苦笑いした
「・・・明兄…早く…」
「!う、うん・・・」
ドアの目の前でぼーっとしている明に対しドアからひょこりと顔を出した菖にそう言われ明は溜まった疲れを吐き出すかのように深くため息を吐き、そして部屋に入った