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驚く事がありすぎて頭が追い付かない

「っ・・・」


「・・・まぁ、別にそんな緊張しなくても平気だよ、特に怪しい集団とかじゃないからさ」


化野はそう言いながら注文したコーヒーを口にし、飲み込んだ、そしてそんな呑気にコーヒーを飲んでは苦笑いしている一方で明は相変わらず冷や汗を搔いている


「・・・いや、そんな表向きになってない会社…じゃなくて、じ、自警団??なんか聞いて冷静でいられるほうがおかしいですよ・・・」


明は名刺を掴んでは溜息を吐いては背中を椅子に付け上を向き唸っている


「ははは、まぁ確かにいきなり能力者自警団なんて言われても意味不明だよね、きっと『頭のいかれた人に関わっちゃたよ~!!どうしよぉ!!』とか考えてるんだろね~」


「っ!え、あ、いやそ、そんな事は・・・」


「大丈夫、そう思ってもらってもかまわないよ、ただ一つ言っておきたい事があるんだけどね」


化野はそう言ってはテーブルに肘を付き、どこか冷徹な、冷たい瞳を浮かべ、そして不適に微笑み、言った





「人の常識なんてものはなんの役にも立たないんだよ?」


「ッ!!」


微笑んでいる、でもその笑みはすごく冷たくて、冷徹で殺伐としていて、普通に暮らして生きてきている人間では身につけようがない、嫌な雰囲気を出している、そしてそんななんとも言えない居心地が悪いような雰囲気を感じ取った明は恐怖からなのか、体を震わせ、動けないでいた


「・・・まっ!それだけを伝えたかっただけなんだけどね!」


「っ!あ、あはは・・・」


冷徹とした表情から一瞬にして悪ふざけ、からかい遊ぶ無邪気な子供のように笑い頭を掻いている、そんな化野に明は苦笑いしては疲れたのか深くため息を吐き、俯いた


「あっ、そうだそうだ、まだ君の名前聞いてなかったね、教えてくれるかな?」


「!あ、はい僕の名前は平盛明つねもりあきらって言います…えっと、その、色々と訳あって、こうやって衣食住なしって感じでして・・・」


頭を掻いては俯き、どんどん表情が暗くなっていく明、衣食住なし、何をどうしたらそんな事になるのかと疑問が浮かぶ


「・・・そっか、明君がどうしてそんな事になっているのか、その事については教えてはくれないのかい??」


「…別に、いいですよ話しても、僕にはなにもないですからね、減るものもなにもないですし・・・」


自分の事について話をしたところで何かデメリットがあるわけでもなく、メリットがあるわけでもない、だったら別に話してしまっても良いのではないか、そう明の中では出ていた


「・・・僕の両親は小さい頃から凄く暴力的でしてね、いつも仕事から帰ってきてはストレスの捌け口になっていて、僕達に八つ当たりの毎日でしてね…顔を殴ってきては腹、足と毎日毎日・・・当然ご飯や衣服なんてなんて買ってくれる事もなかった…ご飯はともかく服については買えるわけがない・・・だから学校ではいじめの毎日・・・そしてそんな毎日を耐えて耐えて、それでやっと高校生になって…高校生になったからアルバイトを始められるって事でアルバイトを始めた・・・でもある時、アルバイトが終わった帰り僕の家が火事でなくなってて・・・それで住むところもどこもなくなって・・・」


「・・・一つ聞いていいかな?」


「?はい」


「・・・さっき明君は僕達、って言ったけど他に誰かいるのかい?」


明が話していた途中に僕達、これを聞き逃さなかった化野は疑問に思い問いかけた、そしてその化野の問いに明は顔を暗くした


「・・・その火事の日、両親がその家事で死んだって事はわかったんです・・・でも、僕の、双子の妹がどこかに消えてしまって・・・死亡したとかなんて聞かされてなくて・・・ただ、失踪したって・・・」


「・・・そうか、その双子の妹さんとの仲はどうだったのかな?」


できる限り暗い雰囲気から明るい雰囲気にもっていこうと思った化野はそう聞いた、明はその化野からの質問にどこか和らいだ表情で言った


「・・・そうですね、妹は唯一僕の理解者でしたよ・・・いつも僕と一緒に遊んでくれて、一緒にご飯も作って、休日は一緒に外に遊びに行って、一緒にバイトもして・・・ただ、あの火事の日だけ運悪く妹は忘れ物したって戻って・・・それっきり会えてなくて・・・」


「・・・その妹さんの名前はなんていうんだい?」


妹の話をしている最中ははきはきと自慢げに、嬉しそうに話していたがその火事の一件で一気に暗くなった明を出来るだけ元気づけてあげようと、聞いた


「・・・妹の名前は平盛菖つねもりあやめって言います・・・僕とそっくりですごく可愛いんですよ?前までは写真を持ってたんですけど、この有様でしてね・・・」


あはは、と苦笑いしながら穴の開いたポケットを立ち上がり見せては椅子に座りなおした


「・・・そっか、良くわかったよ、まぁ実際に私が体験したってわけじゃないからどれぐらい大変な生活をしてきたかって、事はわからない」


「・・・はい、受け取り方は人それぞれですし、そこらへんはちゃんとわかってますよ」


明はそう言いながら食べ残しの食べ物をまた食べ始めた、それはある意味では心の中にぽっかりと空いた物を埋めようといて食べているのかもしれないが


「・・・ただ一つ、聞いていて明君に一つ、嬉しい提案があります」


「もぐもぐ、?提案?」


「そう、その提案というのは私の所属している会社、能力者自警団に入らないかいって事なんだよ」


「・・・・・・へ?」


人差し指を突き付けて微笑み言う化野に明は顔をグシャっと歪めた、嫌な予感しかないと


「話を聞いてる限りだと明君は誰かに頼れる人なんて誰もいなくて、そして無一文で寝床も服も何もないって状況なんだよね?」


「っくぅ…もう少し遠慮して言ってくださいよ・・・」


次々と胸に突き刺さる現実に明は胸を押さえ苦笑いする、だがその一つ一つはすべて事実で頼りになる親戚も従兄弟も誰もいないのである


「全て認めざる負えない事実だからね~、って事だからぜひ私の会社に入ってみてはどうかな?って事なんだよ」


「・・・確かに働ける場所なんて僕にとっては凄い幸運な事です、でも僕みたいな一般人、いや、一般人にすら届いてない僕に化野さんの、その、そんな自警団なんかで働けるとは思えないんですけど・・・」


それに下手をしたら死ぬ可能性だって高い筈、そう言おうとしたが明は止めた、理由はなんとなく、それは失礼なのではないか、そう思ったからだった


「その事については私の会社に入ってみればちゃんとわかるよ、明君でも生きていける会社、いや、組織だって事がね」


「・・・組織…」


その二文字だけでもだいぶ怪しさが増した、なんて事は言えるわけなく苦笑いした


「もし明君が私の組織に入ってくれたら衣食住の事については解決するんだけど、どうかな?」


ここで入ってしまって後悔はないか、そう明の中に渦巻いていた、だが飢えて死ぬよりは死ぬような仕事をして生き残った方がまだいいのでは?とそんな思いが出ていた


「・・・そうですね・・・このまま飢えて死ぬなんかより、死ぬ勢いで仕事をして生きた方がいいですよね…」


「・・・それは君が決める事だよ、私が口出しする事じゃない」


「・・・はい、そうですね、決めました、僕を能力者自警団に入れてください」


心から決心したのか明は頭を下げ、頼んだ、そしてそんな明に化野は少し呆然としては微笑み手を差し伸ばした



「よろしく、そして能力者自警団にようこそ、明君」


「!はい、よろしくお願いします、化野さん!」


明は笑みを浮かべ両手で化野の手を握った、そして明は思った、ここから頑張って生きていこうと


「あぁ、そうそう一つ明君に嬉しい知らせがあるんだけどね?」


「?え?」


にやにやと笑う化野に明は眉を吊り上げ疑問に思った、嬉しい知らせとはなにか、と






「明兄~!!会いたかったよぉ~!!」


「   」


「あはは、実は一か月ぐらい前にね地面で横たわって雨の中打たれてるの見てね、保護したんだよ、それで明君と同じで寝床もないしお金もないし服もないしって事で今こうやって雇っているんだ」


化野に連れられて来た場所、そこはその能力者自警団の事務所だった、そしてそこに付いたかと思えばいきなり大泣きしては抱き着いてきた者がいた、それはずっと行方不明になっていた双子の妹、平盛菖つねもりあやめだった


「  」


「うわぁぁぁぁ~!!明お兄ちゃん~!!」


顔を涙でグチャグチャにしては抱き着いてくる菖に明はただ抱きしめ返してやる事しかできなかった、理由は簡単、いきなりの事過ぎて頭が追いついていないのであった





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