雷帝の異名
雷帝ボルテクスがなぜ雷帝と呼ばれるようになったかの小話です。
聖霊獣とはーー
精霊であり、聖獣である存在のことで神に近き者といわれている。
聖霊獣のひとつ、雷帝の異名を持つ雷霆竜ボルテクス。
雷の化身で温和な性格の竜だ。
人型になれば、尖った耳と耳の上に一対の角を持つ眼鏡の優男になる。
ある者は言うーー人型をとっているボルテクスが雷帝と呼ばれる訳は、
昔、ある愚かな人間に激怒した彼が冷たく威圧感と電気を纏い、相手を睨みつけ冷酷無慈悲に言い放ったからだ。
「いい加減にしろ、愚かな人間よ。己の力を過信し、人間以外を下等生物と見下し、精霊たちの命をも奪い……貴様は神にでもなったつもりか?貴様のような愚かな人間に我らが力を与えるわけがないだろう」
その時の彼は何よりも恐ろしかったと。
普段は閉じられた彼の瞼の奥には鋭い瞳が隠されている。
彼自身は冷静さと温和なところを併せ持ち、理知的な性格のため優しい雰囲気を纏っているが、怒ると鋭く冷たい冷気を纏う恐ろしい帝王のようになる。
普段優しい人が怒ったら怖いと言うが、彼は正しくそれにあてはまる。