001 いつもの朝
某所。
そこに三人組はいた。
今日もやかましい奴等の日々は、全くもって止まることを知らない。
『おはよーおはよー』
【おうおはよう】
『おやすみ』
【なんでや!?】
【三番目】がぺちっと一発頬を叩く。今にも夢の続きを見ようとしていた『二番目』は筆舌し難い言葉を発し、起き上がる。
『おいおい。ちょっと今から寝ようと思ってたんだけれど』
【だが実際はー?】
『寝ます☆』
【寝るなぁ!】
再び三番目の平手が炸裂。平手はないわーと呟きながら朝ごはんの準備をする。そこに、まだパジャマ姿の「一番目」が顔を出す。
「おはようマジネミスヤァ」
【何語だよ】
「ジャポン語。ご存じなくて?」
【そんな日本語知らねぇな!】
別の相手とはいえ三連撃。確実に決まった。
一番目は予想外の不意打ちによろけながら後ろへ下がる。
「ククク……流石はツッコミの王と呼ばれし三番目。だがその程度の攻撃……私には効かぬ!」
何とも言えないポーズを取りながら髪をかき揚げる様は、恐らく実に奇妙だ。
だが今こいつの相手をしているのは、やかましい三人組のメンバーなのである。
【だが俺はまだ、本気なぞ出しておらん!】
『知ってるぜ』
「な、何ですとおおおおおう!?」
『知らなかったんかーい』
そう言ってゲラゲラと笑い転げる。その笑いもやはり止まることを知らない。
【てかツッコミポジション盗むなよ】
「ヤツは大変なものをー?」
『うまく盗めなかった!』
【シロートかよ!】
また笑い転げる。その声は周りに反響してボリュームは最大値を超えている。無論、そのスピーカーは全く気にしてはいないようだ。
「というわけでHEYHEY朝ごはーん」
『朝ごはんの準備をした人ー』
【お前や!】
「そんで出来たの?」
『眠いのでまだです(キリッ)』
【それじゃあ準備するか】
「オウケイオウケイ」
三人組は台所へ向かう。辺りはまたすっと静まり返る。
これこそが三人組の日常であって常識である。
大変変わり者故、その存在を知って近づこうとする者はあまりいない。
このお話は多分、そんな某所の三人組の話。