2‐7
入学してあっという間に二ヶ月が経った。
早く感じた授業も、今じゃ6コマもあって、あーとうとう始まったかという感じ。
まだしわのつかない教科書と真新しいノートに蛍光ラインとシャーペン文字を並べる。
お昼ごはんを終えると、ほとんどの生徒はお昼ねタイムと移り変わる。
大石も、そのひとりだ。
しかもこいつは隠そうともせずに、机に寄りかかり寝息すら聞こえる。
先生の一定の声の音も相まって、こっちが眠くなる。
いつも、顔隠してるんだよなぁ~。
なんて、時々覗き込むけど、今日も寝顔は拝めなかった。
「大石、寝過ぎっしょ」
こそこそと隣の彼が言う。
千葉くんだ。
けらけら笑いながら、消しゴムのカスを丸めて大石に投げてる。
でも大石は気づかないで、かみのけに白のつぶが貯まってく一方だった。
「寝る子は育つってゆうけど、大石寝過ぎだよ。」
呆れながらあたしが言う。
「こいつ、中学んときからそう。」
またけらけらと笑って千葉くんが続けて話す。
「でもさ、要領いいからこいつテストとか外したことないんだよね。実は寝てるふりしてこっそりメモしてたりして。」
まさかぁ、とあたしが笑うと千葉くんは続けて大石の話をした。
小学校からの友達だってこと。
小4のときに、大石が引越ししてきたってこと。
昔から小さくて、一番前でいつも腰に手を添えていたってこと。
でも、運動も勉強も出来て、昔からクラスの中心で笑っている子だったってこと。
そして、学年で一番じゃないかって子に既に告白されてるんだってこと。