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顔を向けると、片方の眉を下げてあたしの顔を見る男の子がいた。
「え?」
その男の子が言いたいことが、いまいるちわからなかった。
「さっき、玄関で、頭。」
まるで、キーワードを出すように、ひとつ、ひとつを彼は言った。
「あ!!!!!」
あの時の!
との声は、出なかった。
驚きすぎて。
「大丈夫?」
「あ、え?あ、うん。だ、大丈夫。ごめ、ありがとう。」
明らかな挙動不審な対応。
また、失敗した。
顔が赤らいでいくのがわかる。
「んじゃ、よかったわ。なんま、いたそうだったもん。」
くしゃっと笑ってから、彼はあたしにそう言った。
あたしはまた
あ、うん。なんて、愛想のない返事をして目をそらしてしまった。
「つか俺、大石。これからよろしく~…誰さん?」
「えと、佐伯。佐伯なつき…です。」
「よろしく。佐伯。」
くしゃっと笑う癖に、落ち着いて話す彼は、あの時のあたしから見たら余裕そうで、少しだけ大人に感じた。
もしかしたら、この時からもう。
この時から、あたしはあなたが気になっていたのかもしれないね。