2‐2
「やった!同じクラスだね!」
舞が顔を赤らめて、あたしに話しかける。
あたしと舞は顔を見合わせて飛ぶように喜んで、玄関へと足を運ばせた。
馴れない玄関。
中学生の頃とは比べ物にならないくらいの数だ。
佐伯、さえき…。
古びた靴箱にはられている真新しい名前が書かれたシールを追って開けてみる。
「あ゛!!あぶ…っ!!」
靴を下駄箱に入れて立ち上がろうとしたときだった。
聞きなれない、その声に気づいた時は遅かった。
ガンッ…ーー!
「…ったぁーーい!!」
あたしは、下駄箱の開き扉に頭をぶつけたのだ。
「ちょっ!なつき大丈夫?!」
慌てて駆け寄る舞。
状況を把握するのに時間はかからなかった。
あたしより上段の開き扉が開いていることに気づかず、その扉に運悪く頭をぶつけてしまったのだ、
正直、大丈夫じゃない。
血は出てないし、なんていったって今日は記念すべき初登校なわけだし、お互い嫌な気分にはなりたくない。
どんくさいあたしが情けないのやら、朝から不運なスタートに気が落ちてしまいそうやらで、複雑な気持ちに襲われながらも、必死に笑顔を作って「大丈夫、大丈夫」と返事をした。
「うわ、まじごめん。」
パッと見上げると、あたしより少し背の高い男の子が気まずそうに立っていた。
「こっちこそ、ごめん。」
なんて、返事をしていいのやら。
とにかく、恥ずかしさで早くその場から立ち去りたくて、あたしはそれを伝えて舞と一緒にその場を去っていった。