表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生記  作者: 河童王子
95/100

三蔵一行の決意!!


衰弱した三蔵を救うべく、万能薬アムリタを求め北の大地にまで遥々辿り着いた三蔵一行だったのだが、そこでまさかの襲撃!それは、この地を支配する妖魔王・鵬魔王であった。さらに孫悟空達三蔵一行は瀕死の状態の上、三蔵をも連れ去られてしまったのだった。

  

ううん…


俺様は孫悟空だ!



これは過去の記憶?



孫悟空「ん~あ~!」



あの時は確か三蔵と旅を始めたばかりで、何度目かの野宿をしていた時だった。

当然、小猿の時だな!


俺様は居眠りをしていたらしく、身体を伸びした拍子に目が覚めたのである。



ムニュ…ん?



見ると焚火の傍に三蔵が座っていた。



いつもの光景だ…



孫悟空「三蔵?起きてたのか?」


三蔵「あっ?なんだ、猿か?起きたのか…」



見ると三蔵が何か紙切れのような物を見ていた事に気付いたのである。



孫悟空「なぁ?三蔵?なんだ?それは?」


三蔵「ん?」



俺様は飛び出して油断していた三蔵から紙切れを奪ったのだ。



紙切れには三蔵と…見知らぬ奴達が写っていた。



孫悟空「おおっ!紙切れに三蔵がいるぞ??」


三蔵「なぁ?貴様ァ!返せ!馬鹿者が!」



三蔵は俺様から紙切れを奪い返したのである。



(その時の三蔵はマジに怖かった…)



孫悟空「悪かったよぉ~!機嫌なおせよ~?それよりその紙切れは何だ?小さい三蔵が入っていたぞ?」



すると三蔵は…


三蔵「フフッ…これは、写真と言う物だ!」


孫悟空「しゃひん?」


三蔵「写真だ!リアルな絵みたいなもんだな?」



孫悟空「すげぇな!それは絵なのか?紙切れにミニミニ三蔵がいたぞ!てか、今にも動き出しそうだったぜ?」



三蔵「お前には珍しい品物だよな?いや…この時代じゃ当たり前か…」



たまに三蔵は意味不明な事を口走るが、その時の俺様には興味なかった。



孫悟空「はっ?それより俺様達はこれからどうするのだ?ただ旅を続けるのか?そんなんはつまらんぞ!俺様を連れ回しているんだから目的を話せ!」



三蔵「…………」



三蔵はタバコってのに火をつけると…


三蔵「そうだな…これから俺達は仲間を見付けなければならないらしい…」


孫悟空「仲間?」


三蔵「うむ。俺も詳しくはわからん…ただ、腕のたつ仲間が十二人必要なのだ!」


孫悟空「十二人もかよ?面倒くせぇーぜ!そんなん必要ないだろ?だってよ?俺様がいれば問題ないだろ!何て言ったって俺様は聖天大聖・孫悟空様なのだからな!」



三蔵「ますます西遊記だな…」



孫悟空「なんだ?西遊記って?」


三蔵「いや…何でもない。ただの昔話だ…」



孫悟空「?」



すると、三蔵は少し真面目な顔をして俺様に言ったのだ。



三蔵「なぁ、猿よ…?もしこの俺がいなくなったらどうする?」


孫悟空「あん?そんなん決まってるだろ?自由だ!自由になって暴れまくる!」


すると三蔵は笑いながら俺様に言った。



三蔵「自由か…まぁ、そう簡単には自由にはさせんぞ?何故なら俺はそう簡単には死なぬからな!」



孫悟空「あん?」



三蔵「なぜなら俺の手相がそう言っているのだ!アハハ!」




…何だそりゃ?



三蔵「それに俺が死んだら絶対に地獄に堕ちるだろしな…地獄は嫌だな…」


孫悟空「…多分、お前が地獄に堕ちたら地獄の連中にも迷惑だしな…」



直後、俺様は殴られた。



孫悟空「いってぇ~!」



俺様は三蔵に殴られ睨みつけると…



三蔵「それに、お前にはいつか…」





いつか…






いつか何だよ!?







なぁ…さ…ん…ぞ…?




突然、目の前の光景が変わっていく!



鵬魔王「アハハハハハ!」


突然現れた鵬魔王が三蔵を吊るし上げ、鵬魔王の爪が三蔵を貫き!




大量の出血が辺りを覆っていったのだ!




目の前が深紅に染まっていく…



三蔵「さ…猿…」



三蔵が俺様の名を呼びながら消えていく…




孫悟空「サンゾオオオ!」



俺様は腕を伸ばした状態で、三蔵の名を呼び飛び起きたのだった。



うっ!身体が痛む…


俺様は一体?




「起きたらか?猿?」



声のした方向を見ると目の前で焚火の灯が揺れていた。辺りは真っ暗で八戒が焚火をおこして座っていたのだ。



俺様に記憶が蘇る。



そうだ!



三蔵が鵬魔王に連れ去られたんだ!



孫悟空「豚!三蔵はどうなったんだ!?」


俺様は八戒の胸倉を掴み強引に聞き出すと…



八戒「三蔵の旦那は奴に連れて行かれたらよ…」


孫悟空「ナッ!」



やはり夢じゃなかった…



孫悟空「お前!みすみす何をやっていたんだ!何とか言えよ!」


八戒「ボソッ…オラに何が出来るらよ…」


孫悟空「あん?」


八戒「それより三蔵の旦那なんか放っておいて、オラ達だけで旅をしないらか?オラはお前達は嫌いじゃないらよ?三人でこれからも楽しくいくらよ!」



…コイツ何を!?



孫悟空「豚!本気で言ってるのか?」


八戒「アハハ!本気も本気らよ!無理して命を落としたら馬鹿者らからな?」



孫悟空「!!」



俺様は八戒の顔面を力いっぱい殴ったのだ!


八戒は唇を切り顔を俯かせたまま指差したのだ。そこには河童が呻きながら眠っていたのである。



孫悟空「か…河童!大丈夫なのか!?」



八戒「あぁ…しかし、危ない所だったら…もし治癒処置が遅れたら…本当にやばかったら…心の臓をかすめていたのだからな…」



孫悟空「………!!」



俺様に再び怒りがこみあがっていく。



孫悟空「がぁ!クソ!クソ!クソォー!」



俺様は地面を何度も叩きつけたのだった。



鵬魔王の言葉が脳裏を過ぎる…



鵬魔王『美猴王兄貴!この人間は連れて行くよ!取り戻したければ三日後の夕刻までに私の城まで来るんだよ!ただし昔の兄貴に戻ってだよ?もし間に合わなかったら…解ってるよね?それまで、この人間の命は残しといてあげるよ!アハハハハ!』




俺様は立ち上がり空を見上げた。



孫悟空「そうだ!急いで三蔵を助けに行かないと!」


俺様が如意棒を杖にして向かおうとすると…



八戒「待つら!」


孫悟空「何だよ?豚!」


八戒「今のお前に何が出来るら?頭を冷やすら!」



孫悟空「お前…この豚!また臆病風に吹かれたか!」


すると今度は八戒が逆に俺様の胸倉を掴み…



八戒「今出て行っても返り討ちになるだけらと言ってるらよ!」


孫悟空「臆病者のてめぇには関係ねぇ!それに今度は絶対に負けねぇ!」



すると今度は、八戒が俺様の腹を殴ったのである。



孫悟空「ウグッ!」



俺様は痛みで蹲る。



八戒「お前…内臓がグチャグチャじゃねぇらか!」



鵬魔王の炎は火傷だけでなく俺様の体内までも浸蝕していたのだ…



孫悟空「だ…だから、そんなの関係ねぇって言ってるだろ!」



だが…


俺様は力を振り絞り再び立ち上がろうとする。



力が出ない…


視界がボヤける!



孫悟空「クソッタレ!立つのもやっとかよ!」



すると…


『猿の拳…効いたらよ…』


孫悟空「!?」



『これで気合い入ったら!』



見ると八戒の背中が奮えていたのだ?



それは恐怖からではない。三蔵が連れ去られ沙悟浄が瀕死になり、頼みの綱の俺様までやられ…


ただ一人、何も出来なかった自分自身への怒り…



八戒「猿!身体を治すら!気合い入れて治すらよ!時間は明日までら!それに間に合うまで死ぬ気で治すらよ!」



孫悟空「…お前?」



そうか…


こいつも同じだったんだ…



八戒「明日は…暴れるらよ!」


孫悟空「当然だぜぇ!」



すると背後から声が?



「私も行くです!」



それは沙悟浄だった。


沙悟浄は怪我した胸を抑えながら立ち上がろうとしていたのだ。



孫悟空「お前はダメだ!おとなしく寝てるんだ!」



これから始まる戦いに沙悟浄の実力では必ず死ぬ…


しかも、あの身体じゃ間違いないだろう…



沙悟浄「わっ…私だって!私だって三蔵一行です!何を言われようと絶対に行きますからね!」



孫悟空「聞き分けない事言うな!」


八戒「猿!解ってやるらよ!」


孫悟空「なぁに?」




俺様は再び沙悟浄を見た。


その目は…


覚悟を決めた目だった。




孫悟空「沙悟浄…」


沙悟浄「私は…仲間ですよ!例え足手まといでも…ほんの少しでも何かが出来るのであれば、兄貴達と一緒に戦いたいです!それに…」



八戒&沙悟浄「三蔵(様)を助けたい気持ちは一緒!!」



孫悟空「お…お前達…」



八戒「オラ達は…」


沙悟浄「運命共同体ですから!」


八戒「猿が止めてもオラ達が目差す先は同じ道ら!」


孫悟空「豚…河童…」



キョトンと二人の決意を見る俺様に向かって八戒がニヤニヤしながら言った。



八戒「なんら?オラがカッコ良すぎらか?」


孫悟空「貴様!偽物か!」


すっころぶ八戒。



アハハ…



八戒「この猿ぅ!」


孫悟空「アハハ!冗談だ!冗談!」


八戒「猿よ!オラが囮をかって出てやるらよ!猿はオラの屍を越えて行くらよ!」


俺様は覚悟を決めた八戒の胸に拳を軽く当てて言った。



孫悟空「解ってないなぁ~お前!」


八戒「?」



孫悟空『俺様達は三蔵を助ける!だがな?俺様達の誰一人欠けてもダメなんだよ!俺様達は皆生きて戻る!それが出来ない奴に戦いに向かう資格はない!』



八戒「そうらな…オラ達は…」


孫悟空「強欲だからな!」


沙悟浄「三蔵様の性格が移ったみたいですね~私達?」


孫悟空「そりゃ良いぜ!」


『アハハハハ!』



俺様達は顔を見合せ可笑しくなって笑っていると、



沙悟浄「あ~~!」


孫悟空「今度は何だよ?」


沙悟浄「これを見てください!」



そこには三つの貝殻が落ちていたのだった。



孫悟空「何だよ?その貝殻がどうしたんだ?」


沙悟浄「これ!宝貝【パオパエ】ですよ!」



宝貝とは?昔…とある神様が造ったと伝えられている神具である。その宝貝は様々な能力を秘めた武器へと変わるのだが…



…どうしてこんなモノが落ちてるんだ?



沙悟浄が宝貝を拾い上げて神気を送ると…


三つの宝貝はその形を変化させたのだった。




それは…





竜神の札袋…術札が無限に現れる札袋。


豚骨の刀…大型の刀。重量もあり折れにくい刀。


治癒妖花草…煎じると妖気が回復し治癒が早まる。



…だったのだ。



沙悟浄「一体誰が?」



俺様達は治癒妖花草を煎じた後に三人で分ける。竜神の札袋は沙悟浄に渡し、豚骨の刀は八戒に渡したのだった。



まるで俺様達のために用意されたかのようだった。



薬のおかげで俺様達の身体は半日近くで動けるくらいまで良くなった。



そして決戦の日…



俺様達三人は絶壁の岩山の上から空を見上げていた。


視線の先には上空に浮かぶ巨大な天空城が見える…


あれが鵬魔王のいる鵬魔城に間違いないだろう。






俺様達は三人腕を挙げて拳をぶつけ合った後、



孫悟空&豚&沙悟浄「ほんじゃあ、行きますか!」




孫悟空「来い!金斗雲!」


八戒「来るら!黒斗雲!」



俺様と八戒は自分達の雲に乗り上がる。すると沙悟浄が懐からさっきの宝貝とは別の宝貝を出したのだ?



沙悟浄「水仙鞭杖!」



あれは沙悟浄の新しい武器か何かか?宝貝は杖の形へと変化したのだ!



沙悟浄「さぁ~没頭雲よ!出て来てくださ~い!」



杖の先から没頭雲[ボットウウン]と呼ばれる雲が現れたのだ。



八戒「何ら?それ?」


沙悟浄「色々役に立つ私の新アイテムですよ!」



…沙悟浄の奴も少しずつ逞しくなっているんだな。



俺様達は決意を胸に各々の雲に飛び乗ると、鵬魔城に向かって飛んで行く!



俺様達、三蔵一行に喧嘩を売った事…



死ぬ程、後悔させてやるからなぁ!





鵬魔王!




そして、俺様達を信じて待ってろよ!三蔵!!








俺様達が飛び去る姿を離れた場所から見ていた者がいた。





この者こそ意識を失っていた孫悟空達を安全な場所に移し、三つの宝貝を残した者であった。






金色の髪を靡かせ、錫杖を手に白き僧侶衣を纏った若者!





天界のお尋ね者であり反逆者!



謎の美麗神・金禅子であった。



金禅子「お前達がこの戦いに出向く事になるのは、本来はもっと先の事だった。時の因果率があるべき歴史を再び捻じ曲げた結果、この未来を呼び寄せたようだな・・・。宝貝はせめてもの選別だ!後はこの救いようのない逆境をお前達の力で切り開いてみせよ!」




金禅子の言葉の真意は一体?



そして、三蔵一行の命運は・・・?




ついに三蔵一行が本気になった!


数万の鵬魔の軍との激戦!


孫悟空!八戒!沙悟浄!


彼等は三蔵を取り戻せられるのであろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ