孫悟空の結解の塔訪問?
最初は人間に対して不信感の紅孩児だったのだが、次第に愛音に心を開いていった。その頃、孫悟空は?
う~寒い…
う~よぉ!
俺様は孫悟空だぜぇ!
真夜中に夜空を一人、金斗雲に乗って飛んでいる俺様。
向かう先は…
俺様と紅孩児が倒した炎と氷のボスの住んでいた塔であった。
俺様は到着するなり、先ずは氷の塔の中へと入って行く。
中には氷妖怪達の残党がいたが、俺様にビビって抵抗しては来なかった。
そのまま俺様は城の最上階へ向かうと、銅角の部屋らしき場所があった。そこには確かに何らかの『結解』らしき文字が記されていたのである。
詳しい事は解らないが古く難しい神文字と、やたらに複雑な術式が部屋中に描かれていたのだ。
これは銅角が?
いや、これは多分…
もっと…
格上の…そう!上級神レベルの何者かの仕業に違いない。
おっと!そんな事は今はどうでもよいかぁ?
これは多分、何かを作動させるための装置みたいなもんだと思われる。
しかし、この城の中には結解を作動させるために必要な『核』になる物がなかったのである。
いや…あったはずなのだが無くなっているのだ?
俺様は近くにいた残党に問いただしてみたが、やはり解らないと言う。
確かに少し前まであったらしいが、知らないうちに無くなっていたと言うのだ。
そうなると…
もう一つの城に何か手掛かりがあるかもな?
俺様は改めて炎の塔に向かったのだ。
最上階まで到着すると、やはり氷の塔と同じく難しい神文字と、やたらに複雑な術式が部屋中に描かれていた。
全く同じだ…
そんな事より今は『核』を探さないとな?
ん!
俺様は警戒する。
中に誰かいるぞ?
俺様は隠れて様子を伺った。
そこには…
何者かが炎の塔にある『核』を奪おうとしていたのである。
その『核』だと思われる物質は赤い水晶玉だった。また、その者の手には他に別の水晶玉が握られていたのだ。あれは青い水晶玉?まさかあれは氷の塔から消えた核か?
では、氷の塔から核を奪ったのは奴か?
一体、何のために?
そして二つの核を奪い立ち去ろうとするソイツに向かって、俺様は飛び出し叫んだのだった。
孫悟空「そこを動くな!悪いが、その水晶玉を俺様によこしやがぁれぇ!」
すると、その者!
いや?姿がボヤけて見えるぞ?一人じゃないぞ?三人か!?そいつ達は紅いマントを羽織り鎧を纏った三人の妖怪がいた。
その者達は俺様がいた事に驚く事もなくこちらを見る。すると、その一人の妖怪が俺様に向かって手をかざし、無言で火炎放射を放って来たのだ!
孫悟空「名乗りも無しかよ!クソッ!」
俺様は咄嗟に腕を交差して防御をする。
《ドスン!》
と…所に…!?
俺様は腹に強い衝撃をくらい、無抵抗なまま前のめりに崩れ落ちる。
孫悟空「こ…この…」
それは火炎放射と同時に飛び出して来た他の妖怪二人によって、腹に強烈な拳の一撃をくらったのだ。
俺様は不覚にも、たった一発で気を失ってしまったのだった。
薄れてゆく意識の中…
三人の妖怪は俺様にトドメを刺すことなく放置したまま、俺様の前から消えて行ったのだった。
所変わって、
「お~い!ゴクウ!何処だぁ~?」
紅孩児の奴は目覚めてから、隣で寝ていたはずの俺様が消えていた事に気付き、部屋中を探していたのだ。
紅孩児「何処行ったんだよ…ゴクウ…」
そこに…
愛音「どうしたのさ?友達はどうしたの?」
振り向いた紅孩児は…
紅孩児「ゴクウ…いない…いない…」
泣きそうになっている紅孩児に愛音は優しく言葉をかけたのだ。
愛音「そんな顔しなくても大丈夫よ!きっと散歩か何かじゃない?直ぐに戻って来るわよ!そうだ!良かったらさ?私と一緒に買い出しに行く?」
紅孩児「買い出し?お前と一緒に?」
愛音「どうするさ?」
紅孩児「う…うん」
そんな訳で、紅孩児は愛音と一緒に買い出しに行くのであった。
愛音は紅孩児を連れて、この村を案内しながら店を見て回る。
紅孩児「おおお!あれは何だ?あれは何というもんだ?あれは?あれは?」
愛音「はいはい!あんまり、はしゃがないの!」
紅孩児「へへへ!」
愛音(…この子…旅をしていると言っていたけど…世の中を全然知らないのね?)
愛音は紅孩児と一息つくと、自分自身の過去を話して聞かせたのだった。紅孩児は目をキラキラしながら聞いていた。
ただ…この話…少し曰くつきでもあった。
愛音「私はね、この時代の人間じゃないのよ…いえ、実際には私と父さん…」
紅孩児「ん?時代?時代って何だ?国か何かか?」
愛音「ふふふ…」
この時代の人間じゃないって?愛音は一体何者なんだ?
そして愛音の過去とは?
かつて愛音と愛音の父親は日本の神戸市と言う場所で、親子二人料理店を営んでいたと言う。
それが1995年…突然強烈な揺れを感じたかと思うと、父親と幼かった愛音の運命が一転してしまったのである。
それは阪神大震災と言われる大地震であった。この震災で炎に追われて逃げ迷う親子は、逃げ場を失い死を覚悟したと言う。
そんな時…
二人の親子の目の前で空間が歪み?人が入れるくらいの穴が開いたのだ!
その穴は愛音と父親を吸い込んだのだった。
二人が意識を取り戻した時、愛音と父親はこの時代に流れ着いていたのだそうだ。
それから流浪の末、この村に辿り着き…父親と一緒に料理店を立ち上げたのだった。
そこでの料理が評判だったらしく、店は繁盛したのだったが、その父親も突然の病で三年前に他界。繁盛した料理店も一人で営むには無理があり、その時に知り合った今の旦那と一緒になったのだった。二人は今の宿屋を切り盛りしながら、そこでも愛音は父親から引き継いだ料理を振る舞っていたのだ。
てか…全くもって意味不明な話だな?
紅孩児は意味解らないまでも一生懸命聞いていたが、やっぱりちんぷんかんぷんだった。
愛音「ふふふ…」
紅孩児「とにかく、お前も苦労して来たのだな…頑張れよ!」
愛音「ありがと!」
その愛音の笑顔に、紅孩児は少し照れたと言う。
そんな紅孩児と愛音のいる村に今、不穏な3つの影が近付いているとも知らずに…
その者達とは?
「ガルルル…匂うぞ…この近くだ…」
「ああ…ボスの敵討ち!」
「我等、牙獣三匹衆が、ボスの仇討ちをしてやるぞ!」
この者達は炎狼のボス・獄狼の直属の配下であった。三匹が獄狼の命令で旅から戻ると、ボスはもちろん里が二人のガキの妖怪達…つまり、俺様達に滅ぼされた事を聞き、仕返しに来たのだ。
「あの人間の村に間違いないな!」
「我が里と同じく滅ぼしてくれよう!」
「臭いは向こうからだな!」
三匹の妖怪は、臭いのする方向に向かって行ったのだった。
その方向には今?
愛音と、妖怪の力を失った紅孩児がいたのだった。
そうとも知らずに紅孩児は今、愛音と食事をしていた。
紅孩児「ん~これも美味いけど…愛音の料理の方が俺様は好きだなぁ~」
愛音「あんまり褒めても何も出ないよ?」
紅孩児「いや!マジだから!俺様は嘘は言わないぜ?だから信じろ!」
愛音「もう!恥ずかしい事を照れもしないで!でも、ありがと?」
紅孩児「へへへ!」
紅孩児は今まで感じた事のない幸福感を感じていたのだ。
(…愛音が母上だったら?)
紅孩児は愛音と、見た事のない母親を被らせていたのである。
そこに…
「きゃああああ!」
村中に響き渡るような悲鳴が聞こえたかと思うと、至る場所から人間達が逃げ走って来るではないか?
紅孩児「一体何だ?」
愛音「下手に動くんじゃないよ!」
愛音は逃げて来た一人の男を呼び止めて、状況を聞き出したのだ。
男「突然、妖怪が現れて村を襲っているんだよ!お前達も早く逃げるんだな!」
そう言うと男は逃げて行ったのだ。
愛音「妖怪って…この村に?」
紅孩児「妖怪?俺様、全然気付かなかったぞ?」
(あっ…そうか!俺様は今妖怪の力を失っていたんだった)
グィ!
(えっ?)
愛音が紅孩児の手を引っ張ったのだ。
愛音「私達も離れるよ!」
紅孩児「あっ…ああ!」
愛音に手を引っ張られ、握られた手から伝わる温もりを感じて紅孩児は大人しくなっていた。
(何か…嬉しい…)
二人は外に出て、他の人間達が逃げる方向へと走った。
「…見付けた!」
が、二人が向かう先で爆音と強烈な爆風が二人を襲ったのだった。
『うわあああ!』
愛音は紅孩児を守るように抱きしめる。
その二人の前に怪しい人影が近付いて来たのだった。
『!!』
その者達は?
(…ミツケタゾ!)
紅孩児「愛音の過去が更なる伏線になっていた。まさかの時間移動?それは転生記の物語にどのような展開を・・・って、何だよ?これ?設定資料?また設定資料かよ!これ読むとネタバレになるからゴクウがダメとか言ってたっけ?」
紅孩児「て、あれ?ゴクウがいないぞ?お~い!ゴク~ウ!何処だ~??」
ゴクウ・・・いない。




