再会!三蔵の過去?未来への誓い!
フォンは三蔵の制止も聞かずに、金角と銀角の邪魂を己の体内に吸収させた。
三蔵はフォンを止められるのか?
はい!どーも沙悟浄です!
フォン君は三蔵様の制止も聞かずに、金角と銀角の邪魂を己の体内に吸収させたのです!
フォン君の身体から凄まじい妖気が渦巻き始めていく!
フォン「凄い力だ…ふふふ…あはは!この力で、お前達全員屍にしてやるよ!」
フォン君は妖気を掌に集めると、私達に向けて放って来たのです!
『うぐわあああ!』
放たれた妖気は渦を巻いて私達を吹き飛ばしたのです!
孫悟空「三蔵!仕方ねぇよ!こうなったら俺様が転生変化して黙らせてやる!」
三蔵「待て!もう少し俺に任せてくれ!」
孫悟空「三蔵がそう言うなら…でも三蔵が危なそうだと感じたら、今度こそ俺様が代わるからなぁ!」
三蔵「ああ…」
三蔵様は私達を待機させて、再び妖気の嵐の中心にいるフォン君の元へ向かって行ったのです。
三蔵「フォン!あんまり手をやかせるなよ!」
フォン「うるさい!」
ファンさんはフォン君の後ろで、ただ成り行きを見ていたのです。
その顔はどうしたら良いのか解らず、苦痛な表情でした。
ファン「…………」
(私達…どうしたら良いの?本当にこのままで良いの?私はともかく…フォンは…フォンはまだ生きているのに…)
その時ファンさんは三蔵様が自分を見ている事に気が付いたのです。三蔵様の目は「俺に任せろ!俺が二人とも救ってやる!」とファンさんに訴えているようでした。
ファン「さ…三蔵様…」
その時、フォン君の身に異変が起きていたのです。フォン君は妖気を圧縮させて、妖気の刃を作っていました。
フォン「この妖気の刃で串刺しにしてやる!」
《グッ…》
フォン「あれ?」
フォン君は振り上げようとした自分の腕が、自由に動かない事に気付いたのです。
フォン「どういう事?身体が自由に動かない…あっ!」
すると、フォン君は身体を震わせて苦しみ出したのでした。
フォン「うぐわああああああ!」
ファン「フォン!どうしたの?フォン!」
フォン君を心配したファンさんが慌てて近寄ろうと駆け寄ると、フォン君はもがきながらファンさんを跳ね退け、そのまま白目を向いて意識を失ってしまったのでした。
ファンさんはどうする事も出来なく、倒れたフォン君を見て顔を両手で覆い、涙を流す事しか出来なかったのです。そこに、
三蔵「ファン!心配するな!」
三蔵様がファンさんの肩に手を置いたのです。
ファン「三蔵様!フォンは一体?」
三蔵「…フォン」
その時、
フォン君の精神世界では?
フォン『どうなっているんだよ?僕の言う事を聞けぇ!』
フォン君は怒鳴り散らしていたのです。
その相手とは!?
精神世界に響き渡るように、何者かの声がフォン君に答える。
《フフフ…クククッ…
ニンゲン…ノ…ガキガ…
イツマデモ…チョウシニ…ノルナヨ…》
フォン『お前!僕のお陰でこの世に引き戻してやったのに!僕に逆らうなぁー!お前は僕の下僕だ!』
すると、精神世界のフォン君の目の前に巨大な狼の顔が現れたのです!
《オマエガ……
シ…ノ…セカイ…ヨリ
オレヲ…ヒキモドシ…タ!
…ヨミガエ……ラレル…トオモイ…
…イママデ…シタガッテ……イルフリ…ヲシテイタ………》
フォン君の目の前に現れた狼の顔は、間違いなく金角の邪魂だったのです!
金角『が、それも…これまでだぁーー!!』
フォン「!!」
フォン君の身体はまるで金縛りにあったかの様に動けなくなったのです。すると狼の顔は金角の姿へと変わっていく。
フォン「何だよ?これは!僕に何をした?僕を放せ!金角!お前なんか僕がいなければ存在すら出来ないのだぞ!」
金角『フフフ…人間のガキごときが俺の魂を支配出来ると思ったか?調子に乗るから馬鹿をみるのだ!今からお前の精神(魂)を喰らって、お前の身体をも乗っ取ってやろう!俺はお前にとって代わり再び甦るのだぁ!』
フォン「そ…そんな…そんな馬鹿な…そんな事出来るはずない!嫌だ…やめろ!やめろー!」
再び巨大な狼の顔となった金角が、身動き出来ないでいるフォン君を喰らおうと口を広げ吸い込もうとする!
フォン君は狼の口の中に吸い込まれまいと、逃げようとするが足が動かない…
これは恐怖からでした。フォン君はなすすべなく泣き叫ぶ。
フォン「嫌だ…死にたくない…死ぬのは…嫌だぁ!僕は死にたくないんだぁー!」
その時です!
『気をしっかり持て!フォンよ!』
フォン君は声の主に腕を掴まれ、力強く引っ張られたのでした!
フォン「えっ!?」
そこに現れたのは…
フォン「三蔵!!」
金の錫杖を構え立つ三蔵様だったのです!
現実世界では三蔵様が倒れたフォン君の身体を抱き抱え、その手を握りながら目を綴じて念仏を唱えていました。
三蔵様は己の精神(魂)を、フォン君の精神(魂)の中へと送り込んでいたのでした。
孫悟空「…何故こんな無茶すんだよ」
私達はフォン君達に出会う前から、三蔵様に言われていた事があったのです。
それは・・・
三蔵「今回、俺は少し無茶をするだろうが、お前達は何も言わずに黙って見ていてくれないか?』と…
三蔵様が私達に頼み事をするなんて珍しい事であり、私達はその指示に逆らう事なんて出来るはずがなかったのです。
場所は変わり再びフォン君の精神世界。
フォン「何故お前が?」
三蔵「言ったはずだぞ?お前を救ってやるとな!」
フォン「馬鹿か!僕はお前を殺そうとしたんだぞ?」
三蔵「ん?そんな小さい事気にするな?俺の言う事をきかず、我が儘で、強情っ張りな奴には普段からうんざりするほど悩まされているからな!もうすっかり慣れているのだ!むしろお前の方が可愛いもんだぞ?」
《クシャン!》
現実世界でクシャミをする孫悟空兄貴。
孫悟空「?」
すると狼の姿をした金角が、三蔵様とフォン君に迫って来たのです。
金角「フォンだけでなく憎き三蔵まで現れるとはな!お前逹みたいのを飛んで火に寄るお馬鹿者と言うのだ!」
三蔵「それは夏の虫だろ?」
フォン「ですよね?」
金角「………」
沈黙の後、
金角「お前達まとめて喰らってやろう!」
フォン「うわあああ!また来たぞ!」
三蔵「俺にしっかり掴まっていろ!フォン!」
フォン君は言われるがまま三蔵様に抱き着いたのです。
フォン「!!」
フォン君はその時、三蔵様の力強さ?熱さ?人の温もりみたいのを肌で感じたのでした。
三蔵『臨!兵!闘!者!解!陣!烈!在!前! 』
三蔵様は素早く九字の印を結ぶと、
三蔵「さぁ!フォンの身体より出て行くが良い!亡霊金角よ!」
『破邪退魔術法!』
三蔵様の印より凄まじい閃光が放たれると、狼の顔(金角の亡霊)は光に飲み込まれるかのように消えていったのでした。
フォン君はその時、自分の中に何かが流れ込んで来るのを感じたのでした。
フォン「えっ?これは何?何かが僕の頭の中に…いや?魂の中に入り込んで来る??」
それはフォン君と三蔵様の精神(魂)が繋がっていたため、三蔵様の魂に刻まれていた記憶がフォン君へと流込んでいたのです。
そこには、知らない世界に住む幼少期の三蔵様と両親らしき夫婦の姿が見えたのです。夫婦は幼い三蔵様に向かって何かを叫んでいた。
父親「お前が死のうと関係ない!いや…俺が殺してやる!化け物のガキが!」
金属バッドで何度も幼少の三蔵少年を殴りつける父親らしき人物…
場面が変わり、
一人の女が震えながら三蔵少年を見て
母親「いや…こっちに来ないで!お前なんか知らない!嫌!来るな化け物!近寄るなぁ!お前なんか消えてしまぇ!」
フォン君は意味が解らないまま、意識に入り込んで来た三蔵様の過去を見ていたのです。
更に場面が変わる?
「なぁ…あのガキだぜ?親を殺した悪魔のガキってよ!」
「近寄ると呪われるぞ!くわばらくわばら…」
三蔵少年に陰口を言い一人一人去っていく者逹。次第に孤立し誰も三蔵様に関心を持たなくなっていく。やがて三蔵様は一人闇に心を蝕まれていった。
「うわあああ!俺は…殺したくないんだ!近寄るな!誰も近寄るな!俺に近付けば誰であろうと殺してしまう!呪われている。俺は愛する者の運命まで不幸にしてしまうんだ!!!」
しかし、そのような過去はまだ序の口だったのでした。
雨の中を膝をつき天に向かって泣き叫ぶ若い三蔵様。
「どうして…俺なんかのために…皆…死ななきゃいけないんだよ…俺は…俺は…もう誰も愛せない…」
更に地獄の様な辛い記憶がフォン君の中に流れ込み、フォン君は初めて他人のために涙を流したのでした。
(…同じだ…
いや…この人は…
僕なんかよりも…
もっと!
なのに何故?
この人はこんなに強くいられるの?)
すると闇に閉ざされた記憶の中に、流れ込んで来た僅かな暖かい光が?
それは…
孫悟空兄貴や仲間達との旅の記憶…
辛く険しい事もあった。しかし、共に乗り越え…今ここにいる。
人は一人ではない!
足掻きもがき、それでも信じて差し出され伸ばす手は、必ず誰かが掴み返してくれる。
それを三蔵様に教えたのは、三蔵様を支えるかつての友人らしき四人の男逹の手でした。
その中心に…
美しい長い髪の女性が三蔵様に向けて優しく微笑み返していた。
そして、もう一人?
幼少期の三蔵様の前に現れる…
老人の姿!?
(あの老人は?
まさか…そんな!?
そうか…
そうだったのか…!)
その時、フォン君は何かを悟ったのでした。
(僕は…死ねない…
生きなきゃいけないんだ…
僕は…僕は…ハッ!)
そこでフォン君は目覚めたのです。目の前には三蔵様が見つめていたのでした。
三蔵「気分はどうだ?」
フォン「悪夢から覚めた感じ…かも」
ファン「フォン!」
目覚めたフォン君にファンさんが泣きながら抱きしめたのです。
フォン「お姉ちゃん…僕」
ファン「フォン!もう良いのよ!良いのよ!」
「うわあああ!!」
二人は抱き合いながら泣き出したのでした。
そこに…
《…シナヌ…
オレハ…シナヌゾ!》
禍々しい妖気が集まっていき、私達の目の前に現れたのです。
三蔵一行「なっ!?」
驚く事にそこに現れたのは、完全に消滅したかと思われていた金角の怨霊だったのです。
そして辺りに放置されていた屍達を念力で一カ所に集めると、巨大な肉の塊を作り上げたのでした。
沙悟浄「あわわ!」
八戒「しぶといらよ!」
金角の怨霊は肉の塊を宙に浮かばせると、その中に同化していく。次第に肉塊は狼の顔へと形作っていったのです!
そしてその牙が三蔵様目掛けて向かって来たのでした!
狼悪霊「ガアアアア!」
三蔵「しぶとい奴め!」
三蔵様は印結び不動明王を召喚しようとしたのでしたが、
《…ズキン!》
「なっ!?」
その時、三蔵様は自分の眼に激痛を感じたのです。
一体何が?
その痛みは一瞬でした。三蔵様はすかさず体勢を整えようとしましたが、狼の姿へと変わった金角の牙が、既に三蔵様の前にまで迫って来ていたのです。
(ヤバイ…間に合わん!)
三蔵様は一瞬死を覚悟しようとした時!
「何を諦めてんだよ?三蔵!」
そこには襲い掛かる金角の狼の頭を片手一本で押さえつけ、余裕の表情で笑みを見せてた孫悟空兄貴が立っていたのです。
しかも、その姿は間違いなく…
三蔵「猿…お前、その姿は?」
孫悟空兄貴の姿は『転生変化』した少年の姿へと変わっていたのでした。
三蔵「お前…自力で転生変化したのか?」
孫悟空「ん?あっ…」
どうやら孫悟空兄貴は無意識に転生変化していたのです。
金角「ウガアアア!貴様放せぇーー!!」
孫悟空「とりあえず…この犬コロを始末しないとな!」
孫悟空兄貴は片手で狼と化した金角を持ち上げ、一気に地面に叩きつけたのでした。
金角「グゥッハァ!」
大地にめり込む金角に、
孫悟空「あんまり何度も手間かけさせるんじゃねぇぞ?今度は二度と復活出来ないように完璧見事に消滅させてやんよ!」
孫悟空兄貴は金角に向けて中指を立て、
『さぁ!俺様の前にひざまずけ!』
一気に中指を下げたのでした!
孫悟空兄貴は叩きつけた金角を上空に放り投げると、両手に集めた巨大な妖気弾を金角に向けて放ったのでした。
孫悟空「ハアーーー!!」
妖気弾は金角を飲み込み、
金角「うぎゃあああ!」
今度こそ完全に消滅させたのでした。
それを見届けた孫悟空兄貴の姿は、再び猿の姿に戻っていたのです。
金角の件を片付けた後、私達は場所を変えてファンさんにお別れをしていたのでした。
三蔵「では、良いな?」
ファン「はい…」
三蔵様はファンさんに向けて念仏を唱えていました。
ファンさんは一度死んだ身なので、このまま放ってはおけません。
ファン「皆様…迷惑をかけた私達に…何て感謝をすれば…本当にありがとうございます…」
ファンさんは涙を流しながら、三蔵様に感謝をしたのでした。
フォン「…姉さん」
ファン「フォン…私は死んで消えても、いつまでも貴方と一緒にいるわ。私達は離ればなれにはならないから」
フォン「うん…」
フォン君は涙を流してファンさんを見つめていました。
三蔵「フォンの事は心配するな!俺達が後の事は必ず責任持とう…」
ファン「何から何まで…」
フォン「僕は姉さんの分も強く生きるからね…だから、心配しないで…お姉ちゃん!」
三蔵「いくぞ?」
三蔵様は念仏を唱えていくと、ファンさんの身体は光に包まれながら宙に浮かび静かに消えて逝ったのでした。
三蔵「…サラバだ!」
三蔵様は念仏を唱え終えた後、残されたフォン君をさんのいる寺院に預けたのでした。
そして私達も再び旅に出たのでした。
フォン君は立ち去る私達を見届けた後、一言何かを呟いたのです。
「…三蔵様…
遠い未来、次にまた会う時は…
必ずこの恩と償いをさせて貰いますから…
それまで・・・」
『再会』 ※サイチェン
沙悟浄「金角と銀角の話からフォン君とファンさんの話への展開!更に三蔵様の過去が少しばかり覗けた今回の話は、後々語られるであろう物語への伏線話だったのです。その話まで忘れないでいてくださいね?」
孫悟空「また、読めば良いだろ?」
沙悟浄「身も蓋もないことを~」
八戒「・・・・・・」
沙悟浄「あれ?珍しいですね?八戒が大人しいなんて?」
八戒「いや、次話はオラにとてつもない不幸が降りかかるみたいなんら・・・」
沙悟浄「自業自得なんじゃ?」




