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ウインターミッドナイト

【ヨル】


夜に忍び込んで

ぼくはすっと息を吐く

ぼくは伸びをして

当てもなく路地の

闇の中へ溶ける

夜は包み込んで隠すね

月は眠そうにまどろむ

見たことのない路地

珍しいマンホールのふた

塀に描かれたスプレーアート

静かに鳴く最後の虫の音

しぼんだなにかの花の蕾

打ち捨てられた自転車

遠く光る街灯

通り過ぎるサイレン

冷たくしみてくる夜風

闇の貴婦人はぼくの肌を撫で

星の明かりが一際に明るい

物音のしない畑の脇道

ぼくは ぼくは

今だけは ぼくは

夜の闇の一部




【綴り病】


恋をすると

詩を書くからか

やめればいいのに

恋の気持ちを綴ってしまう

綴っただけ

見せはしない

見せるつもりは

ないのだけれど

恋がかなり熱を上げると

うっかり捧げてしまったりして

ばっさり降られたりします

それで

降られたフラれた って

その悲しさを

また性懲りも無く

詩に書いたりするんだから

ぼくのこれは

たぶん病気なのだろうね



【オツキアイ】


好きって

言われたことがあるよ

付き合いたいって

結構言われるんだよ

でも、それって

ずっとじゃないのでしょう

今は あなたが好きだから

飽きるまで一緒にいて って

言われてるようで

たまらなくて

ぼくはいつも

お断りをしてしまう

そりゃ 必ず結婚なんて

もちろん無理なんだけど

別れる前提で

抱きしめたりキスをしたりなんて

できないと思ったんだ

使い捨ての恋は

まだしたくないと

思ってしまったんだ




【冬】


みかんをたべると

冬って気持ちになる

口の中の あの

甘酸っぱい甘みじゃなくて

皮を向いた時の あの

ぷち、という

剥がれる音が

ああ って

そんな気にさせる


落ち葉を踏んだ

あの感覚に近いのかなって

不思議がったり

してみる


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