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サイボーグとキラーマシン


交通事故にあって

玉突き事故になって

両横から軽自動車

真上から軽トラックで

前からは貨物車だし

後ろからなんかダンプで

ああ、もう駄目だな

覚悟しました。18歳初冬。

買ったばっかりでした このバイク

乗ったばっかりでした 高速道路

走馬灯と目の前と

どちらもなんだか大変なので

とりあえず目をつぶった

それがどうやら3日前


気がついたら病院のベッドで

にこやかな医師たち

大泣きの家族に囲まれ

両足には機械

両腕にも機械

心臓まで人工になって

ぼくは目を覚ました

生きててよかった ああよかった

成功です 大成功です

大喜びのさなかに

ぼくは涙をこらえた

わからないよ

きっとわからないよ

嬉し泣きじゃないんだってこと

だってこれは

これはぼくじゃない


夜中に寒くて目が覚める

冷たい気配に襲われて

瞳を開けると 悲しくなった

そう そうだった

もうぼくは

ぼくじゃないんだったね


リハビリをすることになって

院内ジムに行った

機械式の義手義足には

慣れがいるんだというので

機械式スポーツとやらを

することになった

ルールは簡単単純で

相手の身体にくっついた

風船を割るボクシング

なんだか簡単そうだなと

リングにひょいとあがってみると

向かいに登ったお相手は

ディーゼル式のごつい機械の

小柄な可愛い女の子


ごおんと轟音 風圧びりびり

顔をかすめるメガトンパンチ

当たれば卒倒 確実で

ピストンエンジン搭載の

ジャブは見えない早さです

コンマ数秒 風船割られ

呆気にとられた初心者に

はん、と笑った

小癪なえくぼ

目に焼きついて離れない


夜中の病室

そっと抜け出し

走って飛んで腕立てた

豪腕女の風船に

一発見舞ってやりたくて


リベンジマッチ

敗者復活

再挑戦にタイトル戦

使える肩書き全部使って

ぼくはそいつと戦った

そいつは旧式 パワーは全開

ぼくは新型 小回りがきく

ビデオも見たし研究したし

小技もたくさん覚えたさ

パンチをかわして

死角へもぐって

軸足さらって

よろめきざまに

風船ガラ空き いただきだ

狙い澄ましてみたけれど

いとも容易く吹き飛ばされた

身体をひねった

だけだよな?

なんだよ今の この威力

風船もなく倒れたぼくに

小癪なえくぼは

遠かった


ロードワークが日課になると

あいつと重なるようになり

負けじと走ると

あいつも速い

新型の方が速いけど

あいつはぼくを ねじ伏せる

おい待てそれは 卑怯だろ

ぼくが叫ぶとあいつは小癪に

お前変だね

微笑んできた

どうして私に突っかかるのさ

ぼくは素直に 言ってやったよ

お前が強いし勝てないし

負けっぱなしは悔しいし

お前は笑うと可愛いからな

向かって立ってもいたくなる

あいつはなんだか

変な顔して

お前変だよ 繰り返す

やってらんない、先いくよ

ガシャンと振り向く横顔が

夕焼け色に 小癪だな


リリリベンジ

不屈の挑戦

ネタもそろそろ限界だけど

まだまだ勝てない

小癪なあいつ

お前弱いよ 諦めろよな

笑っていつも言うけれど

結局付き合ってはくれる

ここ最近の話しだが

ロードワークの帰り道

一緒にカフェに行くようになり

小癪なえくぼは

まだまだ小癪

全然勝てないぼくだけど

まあまだ今はね

チャレンジャーでさ

いるのもいいかと

思ってる


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