扉開けるとステキなMyHouse
お帰りなさい。
家の扉を開けると、そんな言葉を聞ける人は幸せなのだと思う。
そう、幸せなのだと思う。
ああ、幸せなのだろう。
いや、幸せなはずだ。
ただ、幸せであってほしい……。
さて、皆様。今ここに立っている俺はどうだろう。頭から白い粉をかぶっている俺は……。
事は数刻さかのぼる。
いつも通り学校から帰ってきた俺はドアノブに手を掛けた。
ふと、今日からは家に”人”がいるのだなあと思い、一人暮らしの長い俺は何となく心がホッコリしていた。ただいま。その言葉をかける相手がいることに……。
まあ、言ってしまえば、そんなほんわかした気持ちは、ガッチリとセメントよろしく固められることとなったのだが。
扉を開ける瞬間、確かに違和感はあった。しかし、自分の家の扉に何か仕掛けられているなど、どこぞのゴルゴでもない限り気づかないだろう。
かく言う俺は、ご多分に漏れず、そこいらの一般学生なわけで。上から降ってくる何かには気づきません。
玄関に舞う白い粉。
眼前には銀髪赤眼《ぎんぱつせきがん》の少女。細く笑んだ口元には刃がこぼれる。
そうして、粉まみれになった俺を確認した彼女は一言、
「おかえり~!」