第7話:日曜
今日は日曜日。
だから何時までも寝ていられる。
でも世の中はそんなに上手くいかないもんで、
「あ〜き〜ら〜ちゃ〜ん〜!!」
優ちゃんが僕を起こそうとする。
僕はせめてもの抵抗として、毛布を体にくるまらせた。
でも優ちゃんは僕を起こそうと無理矢理毛布をはぐる。
「ふわっ!!」
「明ちゃん起きてよ!」
「ぅ〜ん……今、何時なの?」
「えーっと、九時ちょっと前だよ。」
まだ早いじゃないか。
僕の日曜日の平均起床時間は十一時なのに。
「あと…二時間〜」
僕は優ちゃんから毛布を取り、もう一度くるませた。
「なに言ってんの!起きてよ〜!」
優ちゃんは僕を転がした。
それはもうゴロゴロと。
右へ転がしたと思ったら左へ。
左に転がしたと思ったら右へ。
あまりにも思いっきり転がすもんだから、僕は次第に気持ち悪くなってしまい、ついにギブアップした。
「もう起きるからやめて〜……」
「よろしい♪」
僕は開放されてホッとした。
目を開けると、まだパジャマ姿の優ちゃんがいた。
「アハハ、明ちゃん。」
「な、何?」
「髪の毛がピョンッてはねてるよ。」
「そう?でもそのうちなおるからいいや。」
それが僕の髪の毛の特徴だ。
特にいじらなくても元通りになる。
僕の数少ない自慢だ。
それから僕と優ちゃんは一階に降りて行った。
リビングではすでに母さんが朝食を作っていた。
というよりもう食器を運ぶだけのようだ。
「あら、二人ともおはよう。珍しいわね、明がこんな時間に起きるなんて。」
「私が起こしたの♪」
「そうなの?ありがとう優ちゃん♪」
「どういたしまして♪」
なんだか優ちゃんと母さんは妙に仲がいい気がする。
女同士だからかな。
ま、なんにしてもいい事だと思う。
「ねぇ明ちゃん。あのさ、今日ヒマだよね?」
「ん〜、はぁほうはへほ?」
一応
「まぁそうだけど?」
と言ったつもりだ。
しかし、朝食のパンを口に含んでいたので上手く舌がまわらなかった。
それでも優ちゃんには通じたようで、
「よかった〜♪」
といつもの笑顔で言った。
「それがどうしたの?」
「実はね、この街を案内してほしいなって思ったんだ。」
なるほどね。
優ちゃんの住んでいた所はここではない。
別の所だ。
優ちゃんがここに来たのはほんの2日前。
外に行ったのもせいぜいデパートぐらいだ。
「分かった。じゃあ行こうか。」
「ありがと♪」
「よかったわね、優ちゃん。」
「うん♪」
そんなわけで、僕は優ちゃんを案内する事になった。