第13話:部活
数日経つと、僕と優ちゃんはちゃんとお互いの部屋で寝るようになった。
さすがにいつまでも一緒というわけにもいかない。
別に一人で寝れないわけでもないし。
僕たちは一応中学二年生なんだから。
まぁそんなわけで、学校にも行かなきゃならない。
正直めんどうではあるが、みんなと話したりするのは楽しいのでちゃんと行っている。
それに北原さんにも会えるしね。
それからいつも通りに授業を受け、優ちゃんと帰ろうとした。
その時、
「ちょっと、神田さん。お時間あります?」
妙にかしこまって林田さんが優ちゃんを呼んだ。
僕もなんだか胸騒ぎがしたのでついていくことにした。
林田さんがつれてきたのは、教室の端の方。
「な〜に、乃理ちゃん。」
「の、乃理ちゃん!?」
林田さんは驚いたように言った。
そして、少し照れたような顔をした。
「ま、まぁいいですわ。それより神田さん。部活動に興味あります?」
「部活?う〜ん、今さら入るのもな〜。」
「もしよろしければ私たちの部活に入って下さらないかしら。」
「乃理ちゃんたちの?」
「えぇ、まだ同好会みたいなものですけど。」
「林田さんたちの部活って何をやってるの?」
「ふふ。その名もミステリー研究部、略してミス研ですわ。」
そう来たか。
そんな気はしたよ。
だから優ちゃんを誘うんだろう。
「それって楽しいの?」
「えぇ、とっても。」
そりゃ、そういう人にはたまらない楽しさだろうね。
「ねぇねえ、何話してるの?」
するとそこに、北原さんが来た。
「部活動についてですわ。」
「ふ〜ん。優ちゃんそこに入るの?」
「う〜ん、どうしようかな〜。」
その時優ちゃんがチラッとこっちを見た気がした。
「そうだ。よろしければ北原さんもどう?」
「わ、私?そうだなぁ……優ちゃんが入るならいいよ。」
「じゃあ一緒に入ろうよ!!」
優ちゃんは北原さんの手を握り、言った。
少しうらやましかった。
でも、そのうらやましい相手が優ちゃんなのか、北原さんなのかはよくわからなかった。
「うん。そうだね、入ろっか。」
北原さんは眩しすぎる微笑みで優ちゃんに言った。
「では決まりですね。」
眩しくはなかったが、林田さんもニッコリと笑った。
「あ、あのっ、僕も…いいかな……。」
北原さんがそこに入ったという事と、優ちゃんを見守るという二つの理由で、僕も入ろうとした。
林田さんは最初、驚いた顔をしたがすぐに僕を迎え入れてくれた。
それですべてが終わったと思った時に、
「はいはーい。俺たちも入るー。」
調子よく佐藤と谷本が乱入してきた。
もちろんそんな二人にも林田さんは
「もちろんいいですわよ。」
と言った。
「なんで入るんだよ。」
僕がこっそり二人に言うと、
「だって、クラスで一、二の可愛さをほこる二人が入るんだぜ。お前だけおいしいおもいはさせないぜ。」
佐藤が会心の笑みで言った。
なんだかますます優ちゃんから目を離せなくなった。
そして改めて北原さんの人気をおもいしらされた日だった。