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第12話:部屋

優ちゃんが学校に通いだしてから、数日が経った。

特に大した事も起こらず、僕の――優ちゃんと過ごす――日常は過ぎていった。

過ぎていくうちに、僕はいろいろと受け入れられるようになった。

例えば、たまに優ちゃんがタオルを巻いただけでお風呂から出てくる事がある。

でも僕は、それに対して笑って

「服着なよ。風邪ひいちゃうよ。」


と言えるようになった。

これが慣れというものなんだろうか。

僕はその『慣れ』をちゃんと受け止めている。

そう、このままでいいんだ。

でもある日、そんな『日常』をほんの少し変える事が起きた。



それは、僕と優ちゃんが学校から帰ってきた時の事だった。

「ただいま〜。」


「あら、お帰りなさい。そうそう。ようやく優ちゃんの部屋が出来たわよ。今日からそっちを使ってね。」


「えっ、部屋!?」


僕と優ちゃんは顔を見合わせて階段を登った。

客間のドアを開けると、確かに優ちゃんが使うような部屋があった。

全体的にピンク色の部屋。

どこから持ってきたのか、可愛らしい人形まである。

見たことはないが、女の子の部屋っていうのはこういうものだろう。

「ここが…私の…」


「そう。ここが優ちゃんの部屋よ。」


いつのまにやら母さんがいた。

「後で明の部屋から優ちゃんのものを移動してね。」


「はーい♪」


優ちゃんはうれしそうに返事をした。

そして、服やら学用品やらを移動させる事になった。

もちろん僕も手伝う。

「よかったね、優ちゃん。」


「うん。でも明ちゃんにもよかったでしょ?」


「なんで?」


「今日からちゃんとベッドが使えるじゃん。」


「……うん。そうだね。」


僕はあいまいに返事をした。

その夜。

確かに優ちゃんはあっちで寝ている。

だから僕はベッドで寝ることができる。

でも僕はベッドではなく布団で寝ている。

優ちゃんがいた時と、変わらない所で寝ている。

別にそうする必要はない。

だけどなんだかそうしたかった。

隣にあるベッドを見れば、優ちゃんがいた。

いつも寝る前にはいろんな事を話しかけてくれる。

今までそんな事はなかった。

一人で普通に寝ていた。

でも僕の部屋に優ちゃんが来てから優ちゃんがいることが普通になっていた。

僕が布団、優ちゃんがベッドということが当たり前になった。

コンコン

「明ちゃん、起きてる?」


ドア越しに優ちゃんの声が聞こえる。

僕は驚きながらもドアを開けた。

ガチャ

そこにはパジャマ姿の優ちゃんがいた。

恥ずかしそうに下を向いてる。

「ど、どうしたの?優ちゃん。」


「あ、あのね。明ちゃんのベッドで寝ていいかな…?」


「え?」


「なんかね、明ちゃんのベッドで寝る事に慣れちゃったから、急に違う所じゃ寝られなくて。」


優ちゃんは顔を上げ、イタズラがばれた子どものような顔で笑った。

「……ダメかな。」


「ううん。そんな事ないよ。僕も同じ事考えてて、布団で寝てたんだから。」


「そうなの?」


「うん。」


その後僕と優ちゃんは、いつも通りに寝た。

僕は、最後かもしれない『当たり前の事』を深く心に刻みこんだ。

最近全然更新してなかった闇太郎です。2004年も後わずかですね。(見る時期によってはあけましておめでとうかもしれませんけど。)最近なぜ更新しなかったというと、実況パワフルプロ野球11にはまっていたからです。いつも読んで下さっている皆様には誠に申し訳ないと思っています。でもおかげで満足するまでやれました。これからはバンバンと書いていっちゃいたいと思います。どうか変わらぬご声援をお願い申しあげます。それでは以上、闇太郎でした(^^)

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