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あなたと恋のワルツを  作者: 杏美
6/14

▼毒と悪意

80件達成!!

ありがとうございます。

 悪意はいつ、どこで買うか判らない。

 なら、それを逆手にとれば、ある程度は予想できるだろう。


 

 息苦しさを感じ、朦朧とした意識で瞼を開けば、見覚えのない天井が目に入った。

 それを不思議に思い、起き上がり、自分の状況を確認しようと思った。

 だけど、それは適わなかった。


「・・・・・・っ」


 声を出そうにも、それも叶わなかった。

 出るのは苦しい吐息と、咳だけ。


「リリー、目を醒ましたのね?あぁ、良かった。リリー。」


 動かない右手を包み、瞳を真っ赤に染め、私を見下ろしてるのはサラ様とアン達だった。

 みんな疲労がたまっているのか、髪も化粧もボロボロだった。

 

 ここは何処?

 そして、なんでみんなそんなに泣きそうなの?

 私は平気よ。


「リリー?どうしたの?まだどこか苦しいの?」

「リリー、まさか、声が出ないの?」

「そうなの?リリー」


 サラ様、アン、ローズが立て続けに私に詰問する。

 その三人の興奮を落ち着かせるように、メリッサとルエナが仲裁に入る。


「サラ様、落ち着いて下さい。」


「そうですわ。辛いのはリリーなんですもの。五日間も生死の境をさまよったんですもの。私達が騒ぐだけ、リリーは心配しますわ」


 メリッサとルエナの二人は、私達グループの中では、どちらかといえば精神的に人を追い詰めるタイプで、口で敵う令嬢はいない。


 この二人もまた、深く、誰にも言えない事情を持っている。


「でも、リリーはっ!!リリーは、私のせいで、私のせいで、あの性悪王女達に!!」


「サ・・・ラ様ッ・・・。」


 それは違う。否、例え真実がそうであっても、それ以上口にしてしまえば、いくら公爵家の令嬢とは言え、無傷ではいられない。しかもサラ様は今、微妙な立場に立たされている身。


 掠れ、ヒリついた喉から発せられた声は、サラ様達の顔を益々不安に染めてしまった。


「リリー、無理しないで。今、侍医を呼ぶから」


「いや、その必要はない。」


 サラ様が呼び鈴を鳴らそうとした時、聞き覚えのある声がした。

 それは私が倒れる前に、サラ様に暴言を吐いた人のものだった。


 その声が部屋に響いた瞬間、サラ様の纏う雰囲気がどこか変わった。


 

 

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